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地上波のゴルフ中継は、死んだ

 2017/07/04 三田村昌鳳の「荒ぶる」
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月刊ゴルフ用品界2013年9月号掲載
なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。


地上波の民放テレビのゴルフ中継が、面白くないという声をしばしば聞く。特に、ライブ中継でなく、そのほとんどが録画であって、いまの時代ではフェイスブックやツイッターで、結果が先に解ってしまうから、興ざめであるという理由。

さらにいえば、JGTOなどがスコア速報をやっていても、テレビと連動して、途中でストップしてしまい、TV放映時間にあわせてロックされてしまうという興ざめ。もちろん、解説陣や特定の選手中心の画作りなど、こまかく言えば不評のネタは尽きない。総じて、つまらないから視聴率も下がるという結果になる。

何故、ライブ中継ができないのか。スポーツは、生中継に限ると言われているにも関わらず、敢えて、ライブをやらない理由は、どこにあるのか。

風が吹けば桶屋が儲かる式に話せば、こうなる。

例えば、日曜日の午後にゴルフ中継を放映する。その視聴率が、4、5、6パーセントあたりだとする。すると、問題は次の週の日曜日の同じ時間のスポットCMの料金だ。スポット料金は、前週の同時刻の視聴率に対して価格が決まる。例えば、前週にテレビ朝日が人気ドラマ「相棒」の再々再放送をしたとすると、いまでも15パーセントは下らないという。

すると翌週のスポット料金は、15パーセントの視聴率の価格になる。つまりゴルフ中継で、3パーセントなら価格は5分の1に落ちるのだ。それがひとつの理由。金にならないわけだ。

次の理由。トーナメントのゲーム展開が予定時間内で終わらなかったとする。

かつては「スポンサーのご好意により時間を延長します」というテロップが流れて、15分単位で延びて決着まで見られる可能性が多かった。ところが、いまは、この延長というのがない。

で、ゴルフファンは、ならばBSチャンネルで続きをやればいいではないか、と思う。

ここにも、問題がある。そう簡単にBSチャンネルで残りを放映するというわけにはいかない事情があるのだ。

技術的には、別に地上波からBSチャンネルにスイッチすることは問題ない。事実、そうしているスポーツ番組はいくらでもある。

でも、である。例えば東京のキー局が、ゴルフ中継をして、放映時間内に決着がつかないで「続きはBSチャンネル」で御覧くださいというテロップを流すとする。当然、キー局は、そのBSチャンネルの親会社だから問題ない。

けれども、系列のローカル局にネットしている場合、そのローカル局とBSチャンネルは、なんら関係がない局なわけだ。つまり、ローカル局にとっては、続きをBSチャンネルに持って行かれると、当然、ゴルフ中継の次の番組の視聴率に影響がでる。ゴルフ中継の結末が見たい視聴者は、そのローカル局からBSチャンネルに移ってしまうから、その視聴者数だけ減るというわけだ。

営業局が反対する

僕が知る限りでも、ゴルフ中継を担当しているスポーツ局のスタッフは、当然、ライブ中継のほうが緊張感もあり、スポーツは生中継という信念も強く、ライブ中継をしたいという情熱はある。

でも、編成局、広告・営業局にとっては、直接にその局の全体視聴率の足を引っ張るし、コマーシャル料金の収入も減るわけだから、反対するのである。

それでも、無理やりトーナメントの中継をするには、やっぱりコマーシャルに乗ってくれる提供スポンサーが必要になってくる。そのときに、当然、その提供スポンサーと関係している人気選手がいれば、それをきっかけにセールスするのだから、中継のときにでも、他の選手よりは長い時間映像を流さざるを得ないわけだ。

で、風が吹けば桶屋が儲かる式の図式が、見事に成立してしまうのである。

もうゴルフ中継を地上波で流すという意識を捨てるべきだと思う。これは無理なのだ。視聴率至上主義、利益追求主義だけの地上波では、トーナメント中継をするということは無理だと思う。

昔のように、テレビ局、その関連の新聞社が協賛、あるいは共催して「これは局の事業部マターだ」と英断を下すならともかく、いまの時代に赤字覚悟でそんなことをする余裕のある局は、まずないと思っていい。

でも、と思う。この論理は、すべてテレビ局側のものであって、ゴルフトーナメント側の論理は、まったくない。

なぜ視聴率が低くなってしまうのか。なぜ、トーナメントに興味が薄れてしまうのか。なぜ提供スポンサーが興味を示さないのか‥‥ と、突き詰めていけば、やっぱり、選手たちの資質の低さや、開催コースの甘さ、あるいは、解説者などを含めたゴルフ業界の問題も浮き彫りにしなければいけないと思う。

6週間の空白

あるテレビ関係者に言わせれば「視聴率が獲れないのが最大の理由」だと言った。確かに。

昨年、ヤマハレディースが、ユーストリームで本格中継をするという初めての試みがあった。これが大成功だった。いまやメディアの汎用が多く、地上波だけが映像を流す主流とはいえなくなっている。

むしろBSチャンネルやCS地ャンネルのほうが時間枠もたっぷりととれて、日本全国をカバーしてくれる。
それに加えて、ユーストリームやフェイスブック、ウエブ、スマートフォンなどを連携させれば、もっと面白く伝えることもできるはずだ。

マスターズや全米オープン、全英オープン、全米プロと世界の四大メジャーのスマホの情報は、とても素晴らしかった。
もう地上波に高い放映権料を支払うのではなく、そういったマルチメディアをうまく活用する方向でお金を使ったほうが、ゴルフファンの手元にしっかりと情報を与えることができると思うのだ。

さて、こうなるとまずゴルフ界側は、選手の資質の向上とコースセッティングの面白さをどうするか。次に、それを伝える解説者やレポーターの資質。さらには、情報をどういう風に料理するか。

どんな情報を流せば興味が持たれるか。つまりソフトの充実を図らなければならない。ライブ中継ができない地上波なんていらない! と叫ぶだけではなく、以上のものを

生み出す努力も必要ということになる。

だいいち、7月から6週間も日本の男子ツアーが開催されず、テレビ中継がされなくても、誰も、驚きもせず、つまらないとも言わないのだから、それも問題ですよね(笑)。

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ライター紹介 ライター一覧

三田村 昌鳳

三田村 昌鳳

1949年2月24日神奈川県逗子市に生まれ。立正大学仏教学部を経て、週刊アサヒゴルフ副編集長ののち、1977年に独立。著書に「タイガー・ウッズ伝説の序章」「伝説創生」など。2011年春に「ブッダに学ぶゴルフの道」(中央公論新社)を発売。日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員。日本ゴルフ協会オフィシャルライター。日蓮宗の僧侶。

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