ぷらっと寄った本屋で見つけた司馬遼太郎さんの「韃靼疾風録」(中公文庫)に、はまりました。本にはまるのは、久しぶりです。移動中の電車内はもちろん、帰宅後もテレビを一切つけず、まぶたが閉じるまで必死にページをめくっていました。
本は、江戸時代初期の東北アジアの海陸を舞台に、長崎・平戸の武士が武士らしく、命をかけて力強く生き抜く物語です。実際は主人公の武士(架空の人物=桂庄助)は著者の司馬さん自身で、往時の東北アジアの歴史舞台に自分の身をおきながら物語を進めるといった印象でした。
内容は、平戸島に一人の女性が流されてきます。彼女はアビアという名の韃靼人(清朝を建てた女真族)で、その後、公主ということが判明。主人公が属する松浦家は彼女を厚く遇し、松浦家では彼女を無事に韃靼へ送り返すことで、当時中国東北地方で力を付けつつあった女真族とのコネを作ろうとしたのです。彼女を無事送り返すと同時に中国(明)と女真族の行方を調べさせるべく、庄助を韃靼の地に向かわせます。彼女を送り届けるまでの波乱万丈、そして送り届けてから中国が大きく変わる(明朝から清朝へ)時代の渦中を、庄助が逞しく生き抜くドラマが繰り広げられます。
特に面白かったのが、髪型や服装など、民族固有の文化の違いを互いに面白がったり不思議がったりするところ。「なんで、お前は頭の真ん中をタテに剃ってる(武士の月代)んだ?」とか、「じゃあ、なんでそっちは後頭部だけ髪を伸ばして、それを編んでいる(辮髪)だっ?」などなど。生きるか死ぬか、刺すか刺されるかの緊迫した人間関係の中にも、ユニークなカルチャーギャップを楽しむ人間臭さもよかったですね。いずれにしろ、自分もそんな時代を生きてみたいと思うのは、グローバリゼーションの反動なのでしょうか。

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