10月は「ゼクシオマークダウン特需?」により、久し振りに(ゴルフクラブが)前年同月実績をクリアしたゴルフ用品市場ですが、11月は一転してマイナスにて推移しました。
(数字は全て矢野経済研究所の小売店定点観測調査「YPSゴルフデータ」の結果に基づいています)
中でも「ウッド」「アイアン」を中心としたギア関連の単価ダウンが大きく響き、調査対象となっている商品(クラブ、ボール、シューズ、キャディバッグ、グローブ)合計で、前年対比90%弱となりました(金額ベース)。
小売店さんに行った取材では、
「10月のゼクシオマークダウン販売の反動減」
「12月以降に出てくる新製品を待っている"様子見"」
などといった要因が聞こえてきましたが、やはり「ドバイショック」や「事業仕分け」などといった、マクロ経済におけるネガティブな情報というものが消費者の財布の紐を固く閉ざしているという面が大きいようです。
更にはそれに加え、連日のように報道される「ユニクロが勝ち組」系のニュース。
つまり結果として「安くて品質の良いものを買うことが今の時代のトレンドだ」という"刷り込み"をされていることが、その対極にあるとも言えるゴルフ用品市場の「足を引っ張っている」面があると言い切ってしまっても差し支えないのではないかと思います。
と、ここまでの話をまとめると「世の中の流れが悪い!」という結論になってしまう訳ですが、そのように結論付けてしまうのにも違和感を覚えます。
それは、用品以外のゴルフ業界は総じて「悪くない」状況にあること。
男女共に国内のプロツアーが盛り上がっている(盛り上がった)のは言うに及ばす、ゴルフ場の入場者データやゴルフ練習場の入場者データを見ても、前年と比較して「横ばい」若しくは「微増」という傾向が今年は続いています。
(但し客単価はダウンしており、収益面では厳しさが増している状況ですが)
更に当社が今年の8月から調査を進めてきた「ゴルフスクール市場動向調査」の調査結果を見ても、規模は小さいもののゴルフクスール市場は成長しています。
マクロ経済は厳しい状況にあるものの、ゴルフ業界全体という視点では決して悪くない状況であるけれど、用品市場だけが「置いてけぼり」を喰らっているという事実。
そう考えると、「世の中の流れが悪い」とばかりも言えないという事実が見えてきます。
今までの用品市場の成長(新規参入者促進)ロジックはこうでした。
1.トーナメントに「ヒーロー、ヒロイン」が登場すれば試合が盛り上がり、今までゴルフに興味がなかった人も興味を持つようになる
2.その中の何人かがゴルフプレーに興味を持ち、練習場やゴルフ場に行くようになる
3.スコアや技術に対する欲求が高まれば自然と道具に対する興味も高まり、結果として用品市場も盛り上がる
非常にシンプルで分かりやすいロジックです。
そして現実的に、2までの現象が今起きているのだと思います。
でも、なかなか3までに到達するゴルファーがいないというのが、用品市場が厳しい一つの要因になっています。
それは一体何故なのでしょう?
プレーフィーや練習場代に比べてゴルフ用品の価格水準が高すぎるから?
昔の(安く売られている)モデルと新製品とに「価格差ほどの性能差が見出せない」から?
中古品やマークダウン品、更にはネットオークションなど、安く商品を揃える環境が充実しているから?
様々な要因が考えられ、それらの要因が複雑に絡み合って現在の市場環境を形成しているのでしょうが、もしかしたら上述した1~3の成長ロジックが通用しなくなっているのかもしれません。
極論すれば、ツアーがどんなに盛り上がろうがゴルフ場や練習場に人が入ろうが、それが用品市場に与える恩恵は減ることはあっても増えることはない、という考え方。
要するに、1人の消費者の財布の中身を「ゴルフプレー代」や「練習場代」、「用品購入代」といった「同じグループの異なる属性」達が奪い合っているということです。
残業カットやボーナス減などで可処分所得が減る中、「モノ(用品)」と「コト(プレー)」を量りにかけた時に、多くのゴルファーが「モノ」を削り「コト」を優先させている、ということになるでしょうか。
今年の「ゴルフ業界全体」と「用品市場」のギャップを見る限り、「プレーヤーが増えれば結果として用品市場も活性化する」という、ある意味他力本願的な思考が用品市場に残っているとするならば、そのような「幻想」は早急に捨て去らなければならない、そんな気がします。


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