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「すべて私の責任です」ゴルフスタジアム堀社長との一問一答

 2017/04/03 社長の記事
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ゴルフスタジアム(GS)は、アソボウズのゴルフ部門から分離・独立して2004年9月に設立された。資本金は5100万円(2016年8月現在)で、スイング撮影機・ソフトの「モーションアナライザー」などを販売する一方、ゴルフ関連会員サイトやゴルフ施設にCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を提供し、2015年1月には伊沢ゴルフアカデミー(都内)を開校するなど業容を広げた。

前期売上高は30億円超とみられている。一連の騒動は、同社が高額のスイング解析ソフトを零細事業者に販売し、その返済契約を被害者が信販会社と交わしたことから、GSの業況とは関係なく、返済が続行するところにある。総じて債務不履行となれば、多くの破産者を出しかねない。

なぜ、このような事態を招いたのか? 堀新(ほり・あらた)社長を取材した。取材日は3月31日夕刻。以下、要約を一問一答で再現しよう。

今回の騒動について一言。

「取引先や業界関係者の皆様に多大なご迷惑を掛けたことを大変申し訳なく、心からお詫び申し上げます。すべては私の拡大主義が招いたことであり、責任を痛感しております」

事業の推移を振り返ってください。

「当社はソフトウエアの販売だけではなく、スクール運営や解析機の販売など様々な展開をしています。練習場の場合はインソールのフィッティングイベントや試打会の企画・提案もあり、当初はスイング診断機器の販売会社でしたが、機械はあまり売れず、ソフト販売に注力しました。

また、以前は自前のホームページ(HP)をもたない業界関係者が多かったので、当初は有料もありましたが、近年は無料でHPを制作・提供し、これと併せてソフト販売に注力するようになりました」

当初はHPとソフトの抱き合わせ販売ではなかった?

「はい。当初は練習場が大半で、広告を柱や仕切り版などに掲出するアナログな事業が好調でしたが、そのうちHP制作を絡めた広告展開に注力して、10年前には2億円の年商が前期で30億円まで急成長。当初は関東が中心でしたが、全国展開を進めまして、今となればかなり無理をして広げたことを反省しています。

成長期には、広告クライアントも楽天など大口を確保でき、その一方で地域の高級レストランや外車ディーラーなど、富裕層向けの地域企業がクライアントの多くを占めました。ここから月々数万円頂いて、当社がマージンを取ってからバナー広告費としてHPの契約者に支払うもので、クレジット会社からの収益と広告収益があったため、一時は高収益企業でした」

ところが、2月に顧客への広告費が払えなくなった。

「売掛金の未回収や広告のキャンセルで、当社への入金が止まってしまったのです。そのひとつが広告出稿の代理店的な機能をもつ会社であり、当社のソフトウエアを前金で買ってくれたところも業績が下がり、当社への支払いが滞った。取引先のHPには当社の広告出稿もありましたが、これは完全に逆ザヤで持ち出しです。

この間、銀行から融資を受けて取引先に(広告費の)支払いを続けましたが、厳しくなり、2月末にすべての取引先に支払えない旨を連絡しました」

「被害者の会」は、GSのHPに掲載された取引先約1400人が被害者になり得ると推計していますが、その取引先名が先日、HPから消去された。

「消したのは、二次被害を懸念したからです。今回の件が公になって、複数の業者から取引先に『残債処理を手伝います』という営業があったのです。明らかに当社のHPから得た情報で、怪しげな業者も含まれていたので、混乱を未然に防ぐため消去しました」

「被害者の会」の西村國彦弁護士は被害総数1400人、総額70億円規模と推定しているが、このあたりの事実確認を。

「信販会社と契約者間の数字なので、私の口から確たることは言えませんが、1200人前後だと思われます。HPに掲載されていた取引先は返済を終えていたり、返済額が月々数千円のケースもありますので」

70億円の6掛け程度?

「おそらく、それぐらいだと想像されます」

標準的な返済月額は5万~8万円とみられますが、問題は、信販会社との契約額が300万~1000万円程度と高額なこと。その理由は?

「先ほど申し上げましたように、ソフト販売と絡めたイベント提供など個々の契約内容が異なるので、これによって額は変わります。お客様の月々の支払額を想定して、個々に割引幅を設けたり、サービスを組み合わせ、その代り(返済に充当する)『広告費はこれぐらいで』という提案だったと思います」

ソフトはオープン価格ですね。

「はい」

ソフトの価格は300万円程度とされますが、法外じゃないか。

「う~ん、法外といわれると、少し心外な面はございます・・・。販売価格はお客様との相対で決まり、提示額を了承されていますので。それと、最終的には信販会社がその価格で審査を通したので、それがなければお客様が当社と契約を交わしても、ローン自体が成立しないわけですから」

弁護士を通じて信販会社と交渉する

取引先の業種は?

「おそらくインストラクターが300~400人、練習場施設が約300、独立系のショップ・工房が300ほどだと思われます」

信販会社への返済を滞納すれば、ブラックリストに掲載される。これにより他の金融機関から事業資金の一括返済等を求められれば、窮地に追い込まれる契約者は後を絶たない。

「それが大問題だと認識しておりますので、契約を進めたのは当社ですが、審査を通したのは信販会社なので、当社の弁護士を通じて信販会社と交渉し、信用不安が起こらないようにお願いしたい。もっと言えば、(信販会社は)当社に請求してくれていいと思っているんです。払えるかどうかは別にして、本気でそう思っています。相手にはされないでしょうが・・・」

焦点は、GSと信販会社の癒着性、つまり両者が一体的にソフト販売とローン契約を進めたのではないかとの疑念ですが、その際「被害者の会」は契約が無審査だったと主張している。この点について。

「信販会社がどのようにしたのかわかりませんが、過去10年間、明らかに中小零細企業や個人に対するOKの出し方は、一般的なそれ(ローン審査)を考えれば、感覚的には簡単だったのかなぁと。

それほど収入のない方でも800万円のローンが通ったことが問題として起きているので、そのような感覚をもっています。ただ、当社とお客様と信販会社の三者において、一番悪いのは当社です。我々がお客さまへの支払い(広告費)を継続できていたら、何も起こらなかったわけですから」

論点はそこではなく、事業モデルそのものに問題はなかったのか。HPへの広告費でローン返済を相殺する仕組みが不安定であり、しかも大半のレッスンプロが低収入という現実をみれば、300万、500万、800万円の返済はムリでしょう。

「それは、ムリだと思います。ですから、契約上5万円とか7万円の返済になっているのは、本来目指す額はそこなんですね。それができていなかった。

当社が本当にやりたかったのは、HPを作って、会員化して、スイング画像を作って顧客カルテを作る。これによってレッスン市場の底上げをシステム的にやりたかったわけですが、私の売上至上主義というか、拡大主義のシワ寄せが当社の営業マンに及んでしまい、(ソフト販売による)大きな売上を求めたことが一番の間違いでした。

信販会社から入ったお金は、ゴルフ三昧に投資したり、新しいバックボーンへの投資に回しましたが、本来投資すべき先は顧客のHPをより活性化すべき方向性で、これができていなかったのです」

地道なHP運営より、高単価のソフト販売に邁進した。

「はい。そうしなければ厳しい面もありました」

3月24日付で取引先に「今後の提案」を送付した。その中身は?

「当社は信販会社に対して、契約者の債務減額を要望できる立場にありません。逆に『回収に協力する立場でしょ』と言われかねませんから。

そこで、当社ができることは、当社の費用で弁護士を立て、契約者の返済について『1年間猶予をください』、つまり『1年間返済を停止してください』とお願いすることに加え、債務減額の交渉だと思います。

この間、我々は新しいビジネスモデルを構築して、取引先の収益に貢献し、その結果をみて『新たに支払額を算定してください』と。当社から広告費を得なくても、プロによるチケット販売やゴルフのマッチングサービスを提供できれば、直接的な収益が発生する。

仮に現在の返済額が8万円の場合、新しい収益が3万~5万円となれば、当社の弁護士から『このヒトは月々3万円でどうでしょう』という交渉を、1年後にお願いできる態勢にしたいのです。この提案に対するお客様からの回答を4月3日までにくださいという案内を送付しましたが、おそらく7日くらいまで掛かるのではないか。10日の週にはほぼ固まると思います」

取引先の反応は?

「99%の第一声が『ふざけるな!』という反応ですが、今後の計画を丁寧に説明し、一人でも多くご理解を頂けるように努力したい。その際、ひとつの手法が相互送客です。今、空き枠ビジネスが盛んで、月極め駐車場の空きを時間貸ししたり、店の軒先を借りて販売したり、空車タクシーの活用もそうです。これをゴルフに当てはめると、練習場とインストラクターに双方空き時間があるので、HPを介して合理的に埋めることも今後の青写真です」

仮にGSが倒産したら、破産配当は数百円、数千円でしょう。

「多分、それぐらいの世界だと思いますが、そうならないよう他社との業務・資本提携を含め、スピード感をもってやらねばと考えています。

すでにIT系の複数社から話がきており、先方が大手であるほど『信販会社はどうにかならないのか』という声もあります。ですから、最優先課題はHPを閉鎖しないことで、これはかなりの確度で可能だと思います。

大手との提携に際しても、皆さんがHPを活用している姿を見せることが大事です。一番深刻なのが信販会社とお客様の問題で、理屈上は当社を除いた二者の問題ですが、道義的な責任を含め、極端に言えば当社が倒れたとしても、私自身が負っていくべきだと考えています。すべての責任は私にあります」

責任をどうやって取るんですか。

「お客様が円滑に返済できるよう、新ビジネスを立ち上げることに尽きます。信販会社に対する1年間の支払い停止や債務の減額交渉も含めまして、できることを着実にやらせて頂きたい。『被害者の会』がお客様のためになるのなら、たとえ我々に何が振り向けられても、事実をきちんと受け止めたい。そのようにして進めたいと思います」

事業再構築の要諦は、1000件を超えるHP会員の「資産価値」を有効活用することで、その際、自主再建にこだわらず、他のIT系企業との業務・資本提携を含めてスピード感が不可欠となる。

顧客であるHP会員が連鎖的に破産すれば、「資産価値」を著しく損なうため、信販会社との交渉が今後の流れを決定する。また、GSそのものが信用を失ったことで、取引継続に難色を示すムキも増えるだろう。

このあたりをどのようにクリアできるかが、今後の焦点といえそうだ。次回は「GS信販問題被害者の会」を取りまとめる西村國彦弁護士との一問一答を詳述する。(片山哲郎)

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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。月刊ゴルフ用品界を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長として、ゴルフ用品産業の動向を中心に取材活動を行っている。ゴルフ市場活性化委員会(GMAC)のマーケティング委員も務める。2014年4月、日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)会長へ就任。信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために正確、迅速、考察、提言を込めた原稿を書く」――。

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