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  • ゴルフスタジアム問題で原告団33倍に

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    第2次提訴で原告232名 

    「ゴルフスタジアム信販問題被害者を守る会」(被害者の会)は7月6日、信販大手ジャックスを被告とする集団訴訟の第2次提訴を東京地裁で行った。 ゴルフ関連のIT事業を主業務とするゴルフスタジアム(GS)が、レッスンプロや練習場、ゴルフ工房向けにホームページ(HP)を制作・提供し、併せて数百万円のスイング解析ソフト「モーションアナライザー」(オープン価格)を販売。 GSが契約者のHPに広告費を支払ってソフト代金の返済を相殺するはずが、2月から広告費が止まってしまい、被害者1000名超、総額40億円規模の借金が残ったという案件だ。 被害者の多くはレッスンプロで、返済が滞ればブラックリストに登録されるなど日々の業務に支障を来たし、多くの生活破綻者を出しかねない。事態を重く見た西村國彦弁護士(さくら共同法律事務所)らが弁護団を組織して、被害者の債務不存在等を主張したもの。 5月の1次提訴は原告7名に過ぎなかったが、この日の2次提訴では232名と組織率を高め、7月末に予定する3次提訴ではさらに100名以上の原告を加えたい方針だ。 「GS問題」の争点は、被告の信販会社が「GSと一体になって、本件被害の拡大を助長した責任がある」(訴状要旨)に集約される。西村弁護士は4月、本誌の取材に対して「信販会社はプロだから、割賦販売法とか熟知して巧妙な契約書を作っているはず。 法律論だけで対抗したら被害者は分断され、生活破壊されてしまうので、この案件を社会問題化させながら社会運動との両輪で争いたい」と話していたが、2次提訴終了後の会見では、「割賦販売法」の適用を視野に入れて、今回の契約が法的に無効であることを主張した。 「社会運動だけではなく、法律論としても十分に戦える理論根拠を得つつあります」(西村弁護士) 2次提訴の被告はジャックス(被害総額約8億円)に絞り込んだが、ほかの信販7社に対しても債務不存在の確認と支払い済み代金の返還を求める構え。

    証拠の録音テープは?

    法理論で対抗するときに重要なのが割賦販売法だという。これは購入者保護を目的とする法律で、西村弁護士が配布した説明資料によれば、 割賦販売法35条3の10 契約の申し込みの撤回もしくは契約の解除(いわゆるクーリング・オフ) 同35条3の13 販売業者(GS)による不実告知があったことを理由とする契約の取り消し 以上の2点が同法を適用するための「根拠条文」になるというが、ただし、営業用の商品の購入時には「適用除外」になるという前提がある。これを突き崩すための主張については、「本件では、原告らがソフトをまったく利用しておらず、利用する意思もありません。 ですから過去の裁判例等の基準に照らし、被告ジャックスとの間のクレジット契約が『営業用』の商品購入に当たらず、割賦販売法による保護規定が適用されると考えます」(西村弁護士) つまり、営業に使っていないから営業用ではない、との主旨である。会見に出席した「被害者の会」世話人の飯塚由美子さんによれば「送られてきたソフトを開封さえしていない被害者が多く、GSからそのような説明もなかった」など、被害者側の認識は「営業用」とは程遠かったという。 そこで注目されるのが、GSの営業内容である。セールストークの中でスイング解析ソフトの活用法に触れていなかったり、事実とは違う説明があれば「不実告知」を理由として契約の取り消しを主張できる。その際に重要なのが証拠だが、営業トークの録音テープ等はあるのだろうか? 「現在、700名ほどの被害者を対象に、そのような証拠を集めている最中です。いつ提出されるのか、その内容はどんなものかなど、確定的なことは話せませんが、依頼者(被害者)に提出の呼びかけを行っています」(西村弁護士)

    ディズニーランドは「夢の国」

    実際、GSの営業マンはどのような営業スタイルで顧客の獲得を行っていたのか。本誌は6月、GSの堀新(ほり・あらた)社長にこの点を取材しており、「(営業マンは)個々のクライアントに合わせた提案をしていたので、基本的には販売マニュアルではなく、それぞれの提案です」との回答を得た。 つまり、個々の営業スキルに任せているとの主旨である。 「被害者の会」の増田敬子世話人は、10坪ほどのインドアスクール(大阪府)に携わっており、「店としては今回の契約で600万円の債務を抱えてしまった。応援してくれるお客様も多いのですが、スクールを維持する方法を考えなければと思っています」と前置きして、GS流の口説き文句をこう述懐する。 「GSの営業マンは大阪の店に何度もやって来て、長い時は3~4時間話し込んでいきました。わたしはディズニーランドが好きなので、『あそこは本当に夢の国ですよねえ』と意気投合したり、『お仕事、大変ですねえ』『お互いに頑張りましょう』といった話で、気を許してしまった。 そういった会話がほとんどですから、ソフトの話はなかったと思います」。表情に後悔を浮かべながら、「夢の国」で意気投合したことを反省する。 これは「不実告知」が疑われる一例だが、同様の声はほかの被害者からも寄せられている。 弁護団はこれ以外にも、今回の商行為が「公序良俗」に反する点も争点にあげた。 GSと信販会社が行った事業形態はキャッシュバックスキームであるというもので、具体的には「GSが信販会社から目先の支払いを得、一時的な運転資金を得ることが目的で、購入者に無価値な商品を購入させて、その月々の分担金支払いをGSが負担するスキームのこと。 一連の取引でGSは利益を得られず、自転車操業的な取引であり、早晩破綻が見込まれる」(訴状要旨)ことを予期しながら、GSと信販会社は営業活動を行ってきた。 ゆえに「公序良俗」に反しており、過去の判例に照らしてジャックスに対して無効であることを主張できるというものだ。特に経営破綻が現実味を帯びた後に交わされた契約については、詐欺性が強く疑われると強調する。 まとめれば、2次提訴で弁護団が行った主張は「割賦販売法違反」と「反・公序良俗」に集約できる。

    ブラックリストに登録しない

    弁護団は今後、3次提訴に向けて原告(被害者の会)の組織率を高めるため、信販会社に対して「ブラックリストからの削除」も働き掛けるという。「ブラックリストに登録されると銀行口座の開設を拒絶されたり、クレジットカードの与信枠も大幅に減額、ローン取引が不可能になるなど日常生活に支障が出ます。 これをチラつかせて債権回収に走る信販会社の行為は乱暴であることから、今回の案件については被害者をリストに載せないよう強く訴えました」(西村弁護士) 事実、リストへの登録を恐れて返済を続け、原告団に加入できない被害者もいるとか。このシバリを取り除けば組織率が高まると考えており、「(信販会社の)セディナは当初からブラックに登録しない方針を示し、ジャックス側からは6月20日、当弁護団から受任通知をもらった被害者についてはリストに掲載しない旨の回答を得ています」(西村弁護士) 西村弁護団に加入すれば、ブラックリストへの登録を回避できる可能性大。この点を訴求することで、原告の組織率を高めたい考えだ。 以上が2次提訴終了時点までの経緯である。一連の「GS問題」は図らずも、ゴルフ業界関係者の契約意識の低さや社会常識の希薄さを浮き彫りにした格好だが、一方で、小口リース・ローン等に関わる巧妙な手口や「詐欺性」も解明されつつある。 一連の取材で印象的なのが世話人の一人、飯塚さんの獅子奮迅ともいえる活躍だ。日本女子プロゴルフ協会の会員が複数被害者になっていながら、今回のケースで同協会が積極的にサポートした形跡はない。 飯塚さんは千葉県の被害者を取りまとめ、同地区の組織率95%を達成しており、報道関係者への告知や事実確認の電話連絡など、寸暇を惜しんで対応している。 「もはやこれはゴルフ界だけの問題ではありません。我々が腹を据えて戦うことで、同様の被害が起こらないようにしていきたい」と、今回の活動を通じて社会運動家の風貌を帯び始めている。 「GS問題」がどのような落着を迎えるかは未知数だが、少なくとも、被害者が得た教訓と運動実績が、ゴルフ界健全発展の糧になると思いたい。(片山哲郎)
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