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Vol.6 スポーツライフプラネッツ 『RODDIO』

2014.05.09

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Vol.6 スポーツライフプラネッツ 『RODDIO』

原点は釣竿の技術。"カーボンのDAIWA"と謳われた世界屈指の技術を余すことなく織りこんだのが、『ロッディオ』だった。単品販売でシャフト市場に参入したのが、2006年10月1日。奇しくも高反発規制で、ヘッドの開発領域は狭まり、シャフトが注目された時だった。そして昨年発売されたが『ロッディオMシリーズ』のシャフトを活かすドライバーヘッド『タイプM』。今年5月には『Sシリーズ』のためのドライバーヘッド『タイプS』が上市する。釣り用リールの製造精度を技術背景に、工房流通のキラーコンテンツになる。その神髄に迫る。

神髄1 悲願だったシャフトブランドDAIWAを受け継ぐ

1953年、写真館から転身して松井製作所を設立。カメラの部品、釣り用リールを製造販売していた。それがダイワ精工、そしてグローブライドの起源である。釣具の世界的企業であり、"カーボンのDAIWA"の名をほしいままにし、釣竿の成型技術がゴルフシャフトに転用された。1973年の日本初純正100%カーボンウッドシャフトが、現世の『ロッディオ』の祖先といえるだろう。

2006年10月1日、『ロッディオ』の単体販売に踏み切った。シャフト市場へ参入したのだ。

シャフト事業は通常、プロパー品とOEMでブランド認知を図る。しかし、当時からダイワはクラブブランド「オノフ」を確立しており、他のクラブメーカーがダイワ製のシャフトをOEM導入することは考えにくい。

そもそも『ロッディオ』誕生以前の88年、93年に、シャフト事業の独立が議論されていた。「クラブメーカーがシャフトブランドを立ち上げるために、完成品クラブの事業を辞めるのか?」―。

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シャフトブランド『ロッディオ』を立ち上げたグローブライドの社内では、クラブブランドとの整合性が問われていたのかもしれない。グローブライドは2004年に、「オノフ」専用のカスタム専用シャフトとして『ラボスペック』を立ち上げており、06年以降には『ロッディオ』の独立が叫ばれていた。

『ロッディオ』の単品販売を開始した06年から、ロッディオ事業がグローブライド100%子会社であるスポーツライフプラネッツに事業移管された2012年3月までの約6年間。他社競合に採用された実績もあるが、「オノフ」のイメージから解き放たれたことは、なかった。だから08年3月、『ロッディオ』ブランドのシャフト事業を、釣り用品のパーツ開発から生産、管理業務が得意分野の子会社・スポーツライフプラネッツに移管した。悲願だった。「"ダイワ"というブランドイメージを持たずに活動していく」――。

四半世紀を経て、独立したシャフト事業「ロッディオ」。その神髄は、しかし、ダイワの血を脈々と受け継いでいる。

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神髄2 先端直径1㎜の技術で造られる「神の鞭」

『ロッディオ』シャフトの技術的背景は、半世紀におよぶ釣竿の生産技術にほかならない。長さ9mで自重175gの鮎竿や、先端直径1㎜でも釣りのアクションに十二分に耐えうる強度と感性をもった磯竿。ゴルフシャフトと比較にならない生産力が求められる。

シャフトの生産拠点は世界に誇る釣竿と同じ〝DAIWA東久留米本社工場縲栫―。シャフト専業メーカーと戦える背骨だ。カーボンシートの裁断や巻き付け、研磨加工など全ての工程で、世界一の釣竿と同じ品質管理のもと、ヘッドにとらわれない斬新なシャフト『ロッディオ』は創られる。

『ロッディオ』は06年当時、多軸カーボンシートの「ペンタクロス」を採用したことも特徴のひとつで、「製品化まで百数十工程を費やします。汎用性のないオリジナル炭素繊維の単価は1㎡で数万円」――。

開発コンセプトは〝ゴルフクラブの能力を最大限に引き出す最高品質のシャフト縲桙ニされた。

昨年発売されたシリーズ3代目となった『ロッディオMシリーズ』からは、従来の「ペンタクロス」から最先端レアシート「ペンタクロスウェブ」に変更。極薄カーボンシートを帯状にした幅1㎜のカーボンファイバーを5方向の精密角(90度、±30度、±49度)に重ね合わせたシート。その重ね方向はマイクロレベルで管理されているから、5方向にもかかわらず3層分の薄さを実現している。それにより、従来の「ペンタクロス」比で約50%の軽量化を可能しているのだ。つまり、設計領域が格段に拡大しているといえるだろう。

『Mシリーズ』は、ヘッドスピードアップの性能に優れた、46インチ以上の長尺仕様で性能を発揮するシャフト。今年2月に発売した『Sシリーズ』は、ミート率アップに優れた、45インチ前後の標準的な長さで飛距離性能を実現できるシャフト。

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二つの「神の鞭」は、DAIWAのテクノロジーを余すことなく注入したシャフト。競合他社との違いは、背骨となる世界一の釣竿を創る技術力にほかならない。

神髄3 シャフトを際立たせる完成していないヘッド

『ロッディオ』ブランドはシャフトの商いから、その事業を創めた。シャフトを浮き彫りにする時、往々にして語られるのは、分相応のヘッド。さりとて、雨後の筍の如く世に現れる売り物と同じでは虚しさが残る。競合他社との圧倒的な差は、企業の根幹である釣り具製造のノウハウ。殊更にオーバーラップするのが、リールの製造技術、そしてその品質と管理の精度だ。

「ツアープロが使うヘッドと同じように様々な弄り方ができれば、シャフトが限定されていても、ゴルファーそれぞれのポテンシャルを引き出せるシャフトに昇華させることができますね」――。

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そこに活きるのが、世界屈指の釣り具メーカーの技術力。釣り用リールは約250のパーツから成り、寸分狂えば性能は発揮できない。生産精度と管理精度を極限に高められた場所が、東久留米。

『ロッディオ』のシャフトをフューチャーするヘッドは、長尺向けシャフト『Mシリーズ』に応する『タイプM』も短尺向けシャフト『Sシリーズ』に合致する『タイプS』もベースは6種類・10個のパーツから構成される。ヘッドボディ、ハッチ、ハッチベース、ホーゼル、ワッシャー、ウエイトスクリュー。そこに調整用ウエイトが加えられ、ヘッド重量、重量配分、ロフト角、フェース角、ライ角の5要素が調整できる。組み合わせは18通りで、調整用ウエイトを組み合わせれば36通り。しかしながら、ボディのロフト角、ライ角、フェース角、ヘッド重量の製造公差を加味すれば、組み合わせは無限に広がる。

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ただ、宏大無辺に広がるヘッドの開発は、困難を極める。なぜなら、多種多様の要素を同時に成立させるのは、極めて難解だからだ。

「ヘッドの自由度を高めるには、開発要素の二律背反が発生します。肝はヘッドボディの剛性分布で、シャフトや釣竿で培った手法でバランスを達成しました」――。

答えは、「シャフトを輝かせるため」――。に、ほかならない。つまり、変幻自在のヘッドを生み出すことで、シャフトの静的性能を遙かに凌駕する、シャフトの動的性能を引き出している。その『ロッディオ』は、工房での盤石な居場所を見つけた。どのような生き様なのか?

神髄4 調えなければ働かない

東北自動車道・佐野藤岡インターから車で10分。幹線道路沿いに白いレトロな香りを漂わせるのが、アンティックゴルフ。代表の川上銀三は、この道25年。川上は、ゴルフ工房向け修理用工具の機械職人だった父の背中を見て育った。だから川上にとってクラブは、側に溢れていた。そしてパーシモンに教えを請うた最後の世代でもある。

「『ロッディオ』のドライバーヘッドは、パーシモンに近い。それは、調えなければ飛ばないし、鉛をソールに貼りたがらないゴルファーも多いことに加え、弄ったことが形に成る。ゴルファーにとって変幻自在で、それぞれが独自性に富む。ゴルファーは様々なセッティングで打ってみたいはずです」

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取材に訪れたのは平日の昼間。ただ、途切れることない来店客の中に2本目の『ロッディオ』を手にした御仁が腰を下ろしていた。

「いろいろ試してみたいですね」 川上には思うことがあった。「弾道調整機能を搭載したドライバーが巷で闊歩していますが、使い手に調整が委ねられるから、彼らは迷路に入り込みやすい。『ロッディオ』は、工房のオヤジにしか扱えない。だから、売れる素材なんです」

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川上の言葉通り、調えるのは工房でのみ許される細工。だから、調えの違う道具を欲する御仁も現れる。そして、調えに対する知見が供される。

「個体の情報が包み隠さず提供され、調え方のトリセツも用意してある。小回りが効きながら、しかも組織として加勢もある。我々にも買い手にも、分かりやすい」

「ロッディオ」ブランドの販売店は二手に分かれる。シャフトを中心に商う"オーソライズドショップ"。そして、シャフトに加えヘッドも揃えるのが"ロッディオ・コンシェルジュ"。後者には、分厚い取扱マニュアルが用意され、納品されるヘッドには、事細かにデータが示されている。

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「重量やリアルロフトはもちろん、規制値ギリギリのCT値など、化粧箱の側面にラベリングされています。ツアープロと同じように飛ぶヘッドが手にできることは、ゴルファーにとっても非常に明快ですね」

使い手には明瞭で、しかしながら、料理は選ばれた工房の職人のみが許されている。シャフトありきのヘッドだが、だから工房の腕が試されるプロダクト。職人を鍛え、そして育てるシャフトとヘッド。「神の鞭」を啓示する『ロッディオ』。それ自身が神髄でもある。

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