「地クラブの世界」その息吹

地クラブ、シャフト、工房ビジネスを支える企業のトップに聞く

イーデルゴルフ プレジデント&ファウンダー デイヴィッド・イーデル氏

イーデルゴルフ プレジデント&ファウンダー デイヴィッド・イーデル氏

GEW presents

青い瞳の地クラブ「イーデルゴルフ」上陸
匠の国・日本に求愛

今年の全米女子オープンを制したチョン・インジ。使用したウエッジが『EdelGolf(イーデルゴルフ)』だ。1996年、創業者デイヴィッド・イーデル氏は、自らがPGAインストラクターとして悩みだったパッティング技術の解決のため、パター製造から事業を始める。フィッティング後の組み合わせは3億5000万通り以上。現在はウエッジ、アイアンまで手がける。今年8月、日本代理店が設立され、青い瞳の地クラブが日本へ上陸する。一体、何者?
2015.09.18

まずは創業からの経緯を。

私自身がインストラクターとして、ゴルフ人生を豊かにするために必要だったのが、パッティングとウエッジの技術でした。当時、ペン型のレーザーポインターが手頃な値段で手に入り、それを活用して、パターのフェースに鏡を貼り付け反射させ、アドレス時に目標に対してフェースが正対しているのかを調べたのです。そしたら、ゴルファーの多くが目標に正対していなかった。それで、フィッティングシステムを開発しました。それが『イーデルゴルフ』の始まりで、そのフィッティングシステムを活かしたパターを開発しました。後に、マサチューセッツ工科大学の研究ではゴルファーの約3%しか、ターゲットに正対できていないとの結果が出ています。

パッティングにおけるアドレス時のアライメントを解決していくワケですね。

アドレスでターゲットにフェースが正対することができるパターでなければ、ボールは直進しない。フィッティングでは、ヘッド形状、バックフェースのライン、ネック形状、クラブ長、シャフトの中に装着するウエイトなどを組み合わせて1本のパターを個々のゴルファーに合わせていきます。

組み合わせは何通り?

3億5000万通り以上の組み合わせです。

多いですね。フィッターは多くの知識が要求される?

ゴルファーは個々に特有のストロークを持っています。なぜなら、ゴルファーはそれぞれ、体の動かし方や、ヘッドの見え方などの感性の部分が違うなど、同じゴルファーはいないからです。つまり、万人に合うパターはありません。フィッターの研修では、その基本的な考え方、因果関係を教えることが重要で、研修期間は2日間です。

因果関係とは?

ゴルファー個々の体の動きや、視覚的な要素には因果関係があって、それによってストロークやヘッドの見え方が変わります。つまり、その因果関係を見抜くことができれば、ゴルファーそれぞれに正しくアライメントでき、ストロークにあったパターを推奨することができるのです。

フィッティングの要諦はアライメントとストロークに集約される?

そうですね。アライメントシステムとモーションシステムの2つに大別されます。

そのような高度なフィッティングを提供できるフィッターは全世界で何人ですか?

約100人です。ただ、今後2年間で300人ほど増やす計画です

フィッターになるための資格は?

全てのフィッターがPGAのプロというわけではありません。資格や知識も重要ですが、パターが好きで、パターについて学びたいゴルファーであれば、フィッターになることは可能です。

ローバウンスという流行と逆行するハイバウンスの意義

パターで創業した御社ですが、2010年にウエッジの販売を開始しました。

冒頭に話しましたが、ゴルフ人生を豊かにするのはパターとウエッジだと思っています。ウエッジに関しては、友人で殿堂入りしたPGAインストラクターであるマイク・アダムス氏がアイデアを持ち込んできたのが発端です。

アイデアとは?

ウエッジのバウンスに関する内容で、ゴルファーの悩みを解決できるというものでした。具体的には、昨今のウエッジは、ローバウンスの傾向が強く、ゴルファーの多くがウエッジショットで苦しんでいる。やはりバウンスは必要であるという考え方です。

ローバウンスのウエッジが流行する背景を分析すると?

ゴルフ場の整備が行き届き、芝生が昔に比べると全体的に薄くなっていて、ソールをボールの下まで入れる必要がなくなった。それで、ローバウンスが流行したと分析しています。加えて、バウンスがあると、フェースを開いて使う時にリーディングエッジが浮いてしまう。それで一部のデザイナーがヒールを削りだした。そのような工夫が繰り返され、ローバウンスウエッジが流行したようです。

しかしながら、バウンスの存在は重要だと。

そうですね。例えば、当社のウエッジは、ロフト角60度で、バウンス角は22度です。だからといって、バウンス角をPRしているわけではありません。コースには傾斜があって、ヘッドの入射角がある。その相関関係で、インパクト時のバウンス角が0度になるのがベストだと思っています。それでバウンスの重要性を提唱してきたのですが、ウエッジのロフトバリエーションとバウンスの関係性を研究してきた結果、アイアンにも同じ概念が通じると分かったんです。だから我々のアイアンは、ウエッジの流れから、ロフトとバウンスがフローしています。ウエッジでもアイアンでも、あらゆる要素の中で、バウンスだけが唯一地面と接するからです。形状やリーディングエッジについて語るクラブデザイナーは多いですが、我々はバウンスが重要だと考えています。ゴルファーのレベルによりますが、バウンスの存在によってヘッドスピードが毎時2〜3マイル加速することもあり、その重要性を裏付けると思っています。

アジアの中心 日本市場での同行は周辺諸国に波及する。

次に現状のビジネスについてお伺いします。まずは企業の売上規模です。

詳しい数字は言えませんが、この3年は毎年100%の成長率です。売上構成は6割がパターで、4割がウエッジとアイアン。本数ベースでもパターが多いと思います。成長の理由は、市場でのカスタムフィッティングへの期待が高いからだと思っています。

御社の商品における米国市場でのパターの平均価格は?

ベーシックモデルなら350ドルですが、カスタムモデルの平均売価は500ドル。アメリカでは高価格帯のパターですね。

同じ価格帯に競合メーカーはありますか?

価格の面だけなら『スコッティキャメロン』などが挙げられますが、ここまでの手間をかけたフィッティングシステムでパターを販売しているメーカーはないですね。

海外でのビジネスにも積極的ですね。

現在は、アメリカを含め11カ国でビジネスをしており、全て代理店制度を導入しています。将来的には米国以外の国々で販売構成比の7割を目指していますし、そのうちの5割をアジアで売上を作りたいと考えています。

その中心になるのが、日本ですね。

もちろんです。ゴルフ産業における日本市場は、アジア市場に向けたトレンドの発信基地というだけではなく、クラフトマンシップが根付いている国だと思います。それはゴルフクラブだけの話ではなく、世界で通用する技術の源流のほとんどが日本で、金属加工でいえば日本刀がそうだし、漆器や銀細工、繊維も同じですね。さらに、商品が機能的優位性に長けているだけではなく、嗜好品としても芸術品としても素晴らしい。だから、『イーデルゴルフ』の成長には欠かせない市場なのです。

とはいえ、日本市場に参入するのは、創業から時間が経っています。

日本での代理店は、創業当時から探していました。他の国も同じですが、我々の企業理念や商品哲学を理解してもらえれば代理店で十分なブランディングが可能だと思っています。最適なパートナーを探すのに時間はかかりましたが、いまの日本のゴルフ市場はパーツビジネスが活発化しているという意味で、ベストなタイミングで市場に参入できると思っています。

初年度200店舗工房店主の匠の技に預ける

イーデルゴルフジャパン 高井大輔代表

その日本市場で代理店を任されたのが、「イーデルゴルフジャパン」(兵庫県芦屋市)の髙井大輔代表です。髙井さんにお聞きしますが、何故、『イーデルゴルフ』の代理店に手をあげたのですか?

日本のゴルフ市場は地クラブの台頭に見られるように、工房の高い技術力や、その世界観は、他国の市場にはなく、日本独特の風景だと思います。その世界に、その職人の技に、『イーデルゴルフ』がマッチすると感じたから、やってみたいと思いましたね。

日本のゴルフ市場にマッチする?

私も米国の本社を視察しましたが、商品は100%米国内で一貫生産していますし、モノ造りのマインドが日本的で全ての商品がハンドメイドにこだわっている。そのようなモノ造りの姿勢や商品の品質などを伝えれば、売れるはずだと。それに、ウエッジのバウンスの考え方ひとつをとってみても説得力が高い。日本は特殊な芝だからこそ、バウンスの存在が重要度を増すはずです。工房の職人さんの手を借りることで、『イーデルゴルフ』を共に育ててもらいたいと考えています。

工房を中心に展開すると理解して良いですか?

完成品の『トルクバランスパター』は大型量販店でも販売しますが、パター、ウエッジ、アイアンのヘッドパーツは、全国約200店の工房と主要10大都市の大型店舗でも販売しようと思っています。

『イーデルゴルフ』の肝は商品力と細やかなフィッティングですが、日本ではフィッターの育成も重要になります。

主要10大都市の10店舗では、認定フィッター制度を導入したいと考えています。ただ、一般の工房については、『イーデルゴルフ』のコンセプトをご理解頂き、ブランディングすることが重要だと思います。なので、工房流通では、認定フィッターというより職人さんの技術に委ねて、『イーデルゴルフ』のパーツの品質、ラインアップの多さを活用することで、ブランドを育てていきたいと考えています。

来年はジャパンゴルフフェア(JGF)にも出展予定とか?

現在の商品カテゴリーはパター、ウエッジ、アイアンの3つですが、2月のJGFではドライバーも参考出品の予定です。『イーデルゴルフ』は総合メーカーとして展開していくことになると思いますので期待してください。

左から、高井大輔氏、デイヴィッド・イーデル氏、ニール・オスター氏(アイアン&ウエッジ開発ディレクター)、アンドリュー・グロー氏(CEO)

イーデルゴルフジャパン公式サイト
イーデルゴルフジャパン公式サイト