ルール改定で『イーグルビジョン』に期待 朝日ゴルフ内本浩史社長「開発は遊び心」

ルール改定で『イーグルビジョン』に期待 朝日ゴルフ内本浩史社長「開発は遊び心」
「時代」の要請によって、その役割を終える企業は少なくない。メーカーと小売りの中間に位置する「問屋」も例外ではなく、一時は「問屋無用論」がいわれたものだ。 流通網の発達によって、メーカーと売場が直でつながった。してみれば、問屋はいらないというわけだ。 今年7月、創業60周年を迎えた朝日ゴルフは「ゴルフ問屋」として発祥している。同業他社が次々と姿を消す中で、体質転換を図りながらこのほど還暦を迎えたもの。 今年上半期の売上は、5割程度を大手外資系メーカーの卸業で賄い、残りの半分を自社開発の商品で構成する。「10年前は8割を卸業で占めていました」(内本浩史社長)というから、明らかな変貌ぶりが伺える。 今春、旧社名の「朝日ゴルフ用品」から「用品」を取って、朝日ゴルフに変更した。これも、次世代に向けた方向性を社内外に示すための方策といえる。 内本社長が手にもつオリジナルキットカットの写真は、1958年の創業時、当時22歳の内本芳明会長と母栄子さん(45)。往時の写真をパッケージに印刷して関係者に配布した。「我々の仕事は遊び心が大事」の一端が伺える。 問屋無用の時代を粘り腰で生き抜く三代目社長の内本氏に、今後の企業像を聞いてみよう。まずは、先頃都内で開催された受注会のもようをショート動画で。

問屋からゴルフ文化創造企業へ

「脱問屋」を志向する上で必要だったのが「自社商品」の開発だ。その代表作がGPS距離計の『イーグルビジョン』。初号機の投入は2009年で、ゴルファーの様々な履歴をインプットできる利便性がウケ、今では自社商品売上の約5割を占めるヒット商品に成長している。 内本社長はこれを、単なる計測器ではなく「新たなゴルフ文化」を創造するためのツールと位置づけて投入した。 企業は創業30年で当初の役割を終えるという「企業30年周期説」を意識して、それを覆す策を練った。そのあたりの考え方を――。

発展途上の『イーグルビジョン』

異業種参入の加速もあって、距離計測器の市場は群雄割拠の様相だ。 その中にあって朝日ゴルフの強みは、ゴルファーの気持ちを熟知しているところにある。需要の在所を認識して、商品機能に取り込む素早さが持ち味。 最新の『イーグルビジョン』では、ピン位置までの距離計測をはじめ、スマホアプリの「リーダーズボード」と連動させれば、各チームのスコアと順位をリアルタイム表示、これによってチームごとの「総合飛距離」を競うドラコン大会もできるなど、新たなゴルフの楽しみ方を提案している。 「パーシモンからメタル、チタンに進化したことでゴルフが楽しくなったように、『イーグルビジョン』を使えばもっとゴルフが楽しくなります」と内本社長は話すが、その進化のポイントとは?

ゴルフ規則の改定で距離計市場は50億円に

世界的なゴルフ人口の減少を重く見たR&AとUSGAは来年1月、ゴルフ規則の改定に踏み切る。複雑な規則を簡略化することでゴルフの敷居を下げる狙い。通常のルール改定は夏季五輪年で4年に一度だが、今回は1年前倒しで先手を打つ。 昨年3月に「提案」として発表され、その後半年間のネット調査でゴルファーからの意見を募り細部が決定した。 用品業界の視点で注目されるのが、新規則「4.3距離計測器の使用」である。従来はプレー中の距離計測にGPSやレーザー距離計の使用を禁じていたが、新規則では「ローカルルールで禁じない限り使用できる」ようになる。背景には、プレー進行を速めることで「ゴルフは長時間」の悪評を払拭する狙いがある。 ということで今、距離計測器市場には追い風が吹いている。『イーグルビジョン』の普及に努める同社は2015年、社内に販売店とのコミュニケーションを図る専門部署を立ち上げて、店舗ごとの勉強会やセルフ販売を補助する店頭ツールの充実に注力してきた。 その同社は、今年のGPS距離計市場を50億円規模(2016年比42・8%増)に成長すると推測。現在の市場規模を120万~140万台と見て、コアゴルファーを400万人と仮定すると保有率は2割ほど。残り8割に訴求できると考えている。 これを後押しするのが「規則改定」だ。最終フレームでは、「GPS距離計の未来」について熱く語る。 [surfing_other_article id=42812] [surfing_other_article id=1243]