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  • ゴルフスタジアム堀社長が「社員ゼロ」の近況を語る 後編

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    ゴルフスタジアム堀新(ほり・あらた)社長インタビューの後編をお届けする。この記事は「月刊ゴルフ用品界」の7月号に掲載されたもので、取材日は6月15日。 参考:ゴルフスタジアム堀社長が「社員ゼロ」の近況を語る 前編

    ゴルフスタジアムは結局「何屋」なのか?

    結局のところ、御社は「何屋」ですか。HP制作と運営にソフト販売、スクール事業。あるいは練習場の看板広告やイベント企画、「ゴルフ三昧」やイー・ゴルフの合併とか、実に幅広い。事業構造を理解するのに骨が折れます。 「あのぉ、それを聞かれると一番困るのですが、一言で申し上げるとゴルフに関するマッチングサービスだと思っています。レッスンやソフト、イベントのほかに一時は問屋のネットワークも作りまして、これはゴルフ問屋の在庫を皆さんで共有するサービスです。 問屋は消化率を上げるため安く売りたいわけですが、取引先の手前できません。そこで、我々が超激安サイトを立ち上げてマネタイズしようと思ったのです。ゲームソフトの会社が同じことをやっていたので、そのシステムを使って立ち上げましたが、ゲームとゴルフは在庫管理の手間がまったく違うんですね。クラブは1モデルでも仕様が沢山あって、これを登録するシステム業者が音を上げて頓挫したのです。 ただ、当社のECで在庫をもたず販売したり、イベントの景品も安く揃えられるなど副次的なメリットはありました。ですから『何屋なの?』という質問に対しては、ウェブサイトの全国展開が中心で、練習場のソリューションを核にはじめたマッチングビジネスになります」 多角化経営に邁進したわけですね。ピークの従業員数は? 「ゴルフスタジアムを引き受けたときは十数名でしたが、社員のレッスンプロを含めるとピークは130名弱になりました。本社機能は約60名、ソフト開発の大部分は専門のシステムハウスに外注する形です」 現在の従業員数は? 「ゼロです」 えっ・・? 「実は、ゼロになりました。雇用できなくなったのです」 4月の取材では、新規スポンサーを募ってHP運営に特化して、その収益をローン契約者の債務に充当したいという話だった。そもそも1000人以上のHPをひとつの運営体でまわしているところに事業資産的な価値がある。 「はい。ですからウェブ事業に特化して再構築し、事業でお返しする青写真でしたが、現状は大変厳しいです。ひとつには銀行の対応で、借入のある全12行にリスケ(弁済計画の見直し)を申し入れたところ、メインの三井住友からは『12行が足並みを揃えることが大前提』と言われましたが、取引先の1社が同行に仮差押えをしたのです。 これは即日解除となったものの、現在(6月15日)は三井住友の権限で凍結状態になっています。そのお金は給料や社会保険料でもあり、お客様に支払いを止めているにも関わらず、なぜ給料を払っているのかを理解してくださいと」 給料は優先債権になる。 「はい。ですから一方では信販会社8社と話をして、活動資金を生かそうと思いましたが、それが全部ブロックされた。再度、銀行との話し合いでは『全ての客が二度と請求しないと確約した証明書を出しなさい』と」 それは無理でしょう。 「はい。金融庁にも相談しましたが、これは無理です。3月末時点での退職者はゼロだったし、社員には『給料は下がるけど頑張ろう』と、怒涛の時を経るわけですが、4月に様々な報道が出てしまい、三井住友から条件を突き付けられて『申し訳ない、給料が払えない』と。それが5月末の話です。 社員一人ひとりと面談して、本当に申し訳ない、雇用できなくなりましたと・・・・。ですから今、ぼくの仕事は社員の再就職口を探すことでもあるんです」 5月末まで残った社員は? 「30名ほどおりまして、自分から『やめる』という社員はほとんどいませんでしたが、テレビ報道やネットですね。特にネットの風評的な批難が激しくて、社員よりもご家族が『あなた、なんて会社に勤めてるの』ということで、従業員には本当に迷惑を掛けました。 わたし一人でも会社を畳まないのは、社員が必死にやってきた仕事をバシャッと閉じたくない、そんな思いも強くあります」

    「詐欺性」が疑われる信販会社との一体性

    ここからが本題です。「被害者の会」の弁護士は、すでに小口リース・ローンやHP詐欺の類型があり、今回の件も詐欺性が疑われると主張しますが、そのような販売マニュアルはあったのか? 「まず、前提として広告営業の部隊とソフトウエアの販売部隊はまったく別です。広告枠利用料で月々の支払いは賄えますということで頂いて、我々は広告枠利用料より高い収益を得るのが理想です。 以前は社業が好調でイベント収益もあったので、十二分に(広告料を)払える状態でした。で、これらは個々のクライアントに合わせた提案をしていたので、基本的には販売マニュアルではなく、それぞれの提案です」 HPの広告費で返済を相殺する手法は、堀さんの考案ですか。それとも流れでそうなった? 「流れですね」 焦点のひとつはゴルフスタジアムと信販会社の一体性です。債務者はゴルフスタジアムと広告契約を結び、信販会社とソフト購入の契約を結ぶため、双方の契約が分断されている。「被害者の会」の弁護士は、仮にゴルフスタジアムが破綻しても、一体性があれば「抗弁権」を接続できる。つまり、信販会社への返済を免除できると主張します。 「一体性と言われればそう見えるかもしれませんが、お客様と我々と信販会社の三者が行った商取引で、当社と信販会社だけで何かをできるわけではないし、お客様と信販会社だけでも成り立ちません」 今回、信販会社の審査が非常に甘かったのではないか。収入が不安定なレッスンプロに対して、簡単に審査を通していることにも疑惑の目が向けられている。 「信販会社の与信の通過率がなぜそこまで高かったかは、我々のわからないところです」 本当はわかっていたんじゃないか、これが疑念ですね。 「たとえば、ある信販会社の担当が(契約者に)確認の電話を入れましたら『広告代をもらえるからいいですよ』との返答があって、『そんなことじゃ困ります』という話がありました。で、『それはダメですよ』と話して、確認の電話が入るときには『広告は広告で、クレジット組んでもらうソフトはソフトです。今回はソフトの確認なのでよろしくお願いします』と話したら『そうですか』となりましてね。もう一度電話をしてもらったら『通りました』ということがあるんですね。 つまり、うちの担当が知っているいないの話ではなく(返答によっては)『ダメなのか』と思うわけですよ」 整理すると、広告契約とソフト契約は別物で、ゴルフスタジアムと信販会社の一体性は希薄だと。でも、巷間、ゴルフスタジアムの営業が一体的に進めたと見るムキもあります。 「信販会社と我々が一緒になってと言われても、何を一緒にやるんでしょうか。『被害者の会』の西村弁護士はGEWのネット配信記事で『法的には難しいけど社会問題化していく』と話されてますが、するとぼくは弁護士さんが法的に無理だと言ってるじゃないかと思うわけです。 ぼく自身、騙すぞ、巻き上げるぞ、なんて気は微塵もなかったし、拡大しやすい事業モデルを追求してきました。信販会社にしてみれば『(ゴルフスタジアムは)よく取ってくる会社だなぁ』と。ぼくもこれまで様々なビジネスをやってきて、クレジットの扱いもありました。たしかに中小・個人事業主でここまで通ることはなかったですが、それは彼ら(信販会社)の審査の結果ですから」 売れば信販会社からゴルフスタジアムへ入金されますが、その金はどこへ行ったのか。 「その金はどこへ行ったのかと言われましても、商売だから金は回します。入ってきました、それでソフト開発やHPの運営とか、お客様のHPに掲載した広告料もずう~っと払ってきたわけです。 で、大変申し訳ないことに10年間で初めて支払いが遅れた。広告不況などで当社の収益悪化もございますが、『その金どこに行ったんだッ』と言われますと、(契約者への)広告の支払いを含めた事業資金に使っておりますと」 これもネットの流言ですが、入った金がヤバい筋に流れてると。 「そんな書かれ方まで・・」 ないですよね? 「当たり前じゃないですかッ。これはもう、お願いします・・・・。今回、ネット情報の恐ろしさを身に染みて感じておりまして、誰かにも『お前、嫁の名義で家建てたのか?』って聞かれましたが、何のことですって感じですよ」 そのネット情報、読みました。堀さんが事業的にまずくなって、豪邸を奥さんの名義に変えたと。 「まったく根も葉もない話ですよ。家は2年前から作っていて、小さくはないし、それなりですが、これはぼくのフルローンです。月の返済が以前の賃貸よりも安くなって、小さい子供が二人いるので田舎で家族と住みたかった。 ぼく自身のこだわりもありまして、いろいろと注文した家ですが、それがようやく完成して、引き渡しは間の悪いことに3月でした」 ゴルフスタジアム問題が勃発した。 「はい。で、一発目のローンが来る前に『すみません、売らせてください』と・・。一日も住んでおりません。ぼくには収入がないから早めに手放そう、そんなことより今はお客様のことですから」 どこに住んでいるんですか。 「ありがたいことに、友人にお世話になっています。誹謗中傷が飛び交う中、『今回は無理だけど、次のことなら応援してやる』という声もありましてね。 実際、ある上場会社のトップからも『40億の債権を全部買うから、顧客をくれ』という話がありましたが、その後風評が広がってダメになりました。ビックリしたのは、今やぼくの名前と社名ではレンタルオフィスさえ借りられません」 「反社扱い」ですか。 「たしかに大変なご迷惑をお掛けしていますが、誰かを騙そうとか反社会的な行為とか、一切してはおりません。そうでしたら正直な話、雲隠れしてますよ。 逃げるのは絶対にダメですし、本当に辛いのはお客様じゃないですか。ぼくも一人になって辛いわけですが、一人になっても最後の最後まで、お客様のために何かができるんじゃないだろうかと」 何ができます? 「う~ん、こうなると相当厳しいですね。本来は、ウェブサイトに特化した収益モデルを作り、契約者の信販会社への支払いを一定期間、延期や免責をして頂き、本質的には当社の債務ではないけれど、事情が事情なので当社が5年、10年掛けて責任を取っていく。そんな青写真を描いていましたが、身動きがとれない状況です」 会社、潰れますか? 「う~ん、どうでしょう・・。実は、潰す気はありません。ご迷惑をお掛けしている1153名のサイトを中心に、約1500サイトが運営体に入っていて、これを回している外注さんが『続けます』と口頭では言ってくださるんですね。 運営費は払えてないので、気持ちの部分が大きいと思います。会社を畳むとすべてが無に帰しますので、畳めない。畳まないうちにどうにか策を練りたいし、HPが健全に運営されていたら会社が売れると思うんです。ぼくなんかどうなってもいいんです」 今、何歳ですか。 「今年で45になります」 思うところは多いでしょう。 「はい。2017年は凄い年になっていますが、多分、なるべくして辿り着いた境遇だと思います。綺麗事ではなく、不徳の致すところだと思いますし、傲慢だったとも思います」 傲慢さは異常な拡大主義、シェア至上主義に通底します。 「はい、その呪縛から逃れられませんでした。ゴルフは魅力的なコンテンツだし、その中でレッスンプロが伝えられることは沢山ある。ですから、我々は1500サイトの運営で訴求力を高め、あのプロのHPは面白い、ゴルフの新しい発見や楽しみがあるということを広げていきたいと考えました。 その影響力を発揮するには拡大だ、シェアだと盲信したことが最大の失敗です」 以上、前・後編に分けてGS堀社長のインタビュー記事をお届けした。取材日の6月15日以降、「被害者の会」は7月6日に原告232名の第2次集団提訴(被告ジャックス)を東京地裁で行うなど、新たな動きが起きている。 「被害者の会」の西村國彦弁護士によると、GSは事業ごとに分社化して金の流れを複雑にしていると見られ、社員も系列会社に転籍させたフシもあるとの指摘もあり、今後、これらの事実が明らかになりそう。 一連の問題は、「ゴルフ市場の穴」に着目したGSが、マッチングサービスで収益化を急いだことに端を発しているが、同時にレッスンプロを中心とした零細・個人事業主の契約意識の低さも露呈した。今回のケースを他山の石として、業界の健全発展につなげることが重要だろう。(片山哲郎)
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