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「500億円を有効に使え」ゴルフ場利用税は本当に不要か

 2017/08/18 三田村昌鳳の「荒ぶる」
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月刊ゴルフ用品界2016年2月号掲載
なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。


いまどき100をゼロにするなんていう税金は、あり得ないはずなのに、ゴルフ場利用税撤廃運動をゴルフ関連17団体で組織する日本ゴルフサミット会議は、あくまでも撤廃(ゼロ)を求めて運動を続けていることは周知のことだ。

しかし、結論はいつも「廃止せず」で撤廃は、お流れになる。昨年も廃止見送りとなった。

失礼だけれど、いつまで続けるつもりなんだろう。つまり、廃止となりゼロにならなければ、勝ち取ったことにならないという図式は、このご時世ではあり得ないことだ。もう少し譲歩するアイデアを出して、綱引きする必要があってもいいのではないだろうか。

倉本昌弘PGA会長が、会長となって初めてこの会議に出席したときにも、そんな発言をしたらしい。ところが「自分たちは、撤廃を目標にずっとやってきたんだ。いまごろ(入ってきて)なにを言うんだ」というような声を浴びせられたという。

何を勝ち取ろうというのだろう、と僕は首をかしげたくなる。

利用税廃止は、もちろんいいことだ。ゴルファーが無駄な税金を払うこともない。

でも、もし廃止したからといって、ゴルファーは増えるだろうか。ゴルフ界という側面でいえば、廃止しようがしまいが、ゴルフ界が潤う可能性は薄い。もともと利用税を払いたくないからコースに行かないというゴルファーは、稀有なはずだ。

およそ500億円の財源を国も地方自治体も手放すはずがない。千葉県茂原市は、年間14億円とも15億円ともいわれる利用税収入があると聞いた。そのうち市町村に7割が分配される。そんな大金をゼロベースにするはずがない。

さらに、廃止となってゴルフ界に新たな財源が入るという図式もない。

いっそのこと、廃止せずに、分配したらどうか。総収入の1割は、スポーツ庁を通してゴルフ界。さらに、市町村は、取り分の半分をその市町村のゴルフ活性化に使う特定財源。

総額500億円をゼロにして国がそのぶんを地方自治体に別途財源を考えて配分するよりも、より地方活性化にもなり、ゴルフ界の活性化にもなると思うのだ。

劣化した組織

地方に、ゴルフに特化した財源が生まれれば、ジュニアゴルファーを育てられるし、地方トーナメントも楽に成立する。さらには、ゴルフ界全体で有効に使えば、日本のゴルフ活性化にも繋がる。

ところが、一度スポーツ庁にそのお金、たとえば年間50億を入れたとして、ゴルフ界にそのお金の受け皿がないとも思うのだ。JGAが独り占めもダメだし、各協会が一枚岩でもないし、方向がまちまち。

ならば、フェデレーションを設けて、そこから分配することは、どうか。日本にはゴルフフェデレーションがない。そういう組織の参加に、みんな加入して活動すれば、いまのように、総論賛成各論反対、自分たちの組織の利益優先、主張は変えないという図式にはならないはずだと思う。

どうも、日本の組織は柔軟性がなさすぎる。それは昭和の遺物だと思わなければ、時代錯誤の軋轢がどんどん生じるだけだと思う。

昨年末近くにテレビで、アマゾンがある地域で1時間以内に配達するというニュースをやっていた。そのときに商品の倉庫を撮影していて気がついたことがある。

普通ならば、例えばA4のコピー用紙なら、ある棚やスペースに、A4用紙が山積みになって格納されているはずだ。

ところが、どういう分析、方程式だかわからないけれど、アマゾンは、違っていた。ある棚に、四角いケースで間仕切りがあって、そこにA4のコピー用紙やら、さまざまな商品が入り混じっている。

理由のひとつは、A4用紙の棚だけのスペースを設けると、つまり同じ商品ごとに区分けして棚を設けると、スタッフが集めるときに、集中して動きが鈍くなる。無駄な時間が増えるということなのだ。

むしろ、なにがしかのデータを分析して、混載していれば、人間が探す導線に無駄がなく、少ない時間で集められるということだった。

また、こんな発想で成功していることがある。たとえばテレビショッピングで有名な会社の場合、メーカーはそこを倉庫代わりに使う。メーカーは倉庫経費、人件費などがなくなる。出荷は、そのテレビショッピングの倉庫から全国にできる。ショッピング会社は、いわば工場卸価格をベースに計算して、販売できるから価格も安くできる。

メーカーは、倉庫代などが助かるどころか、販売、出荷までやってくれるから、莫大な経費節減になる。

なにが言いたいかといえば、ひとつの会社、組織が、すべてをまかなう縦軸の商売が雲散しているということだ。

三方一両損でよい

ゴルフメーカーも、同じだと思う。一社だけで、すべてをまかなう時代は、終わった。倉庫をひとつにして、出荷すれば、ゴルフショップ、量販店など、同じようなところに別々のトラックで運ぶよりも、混載して運べば経費節減になる。

で、ゴルフ団体・協会も、そろそろそういう考え方が必要だと思う。

トーナメント運営に必要な競技委員やスタッフなどは、JGAもPGAもみんな必要だけれど、トーナメント運営部隊をひとつにすれば、無駄は省けるだろうし、ゴルファー全体の基幹システムを共有できるセクションも作れるだろう。

つまり、共有部分で垣根をつくる必要性が、どこまであるのだろうか。

本来、各団体・協会が個性を出してなすべきことは、もっと別の次元、部門ではないだろうか。そう考えていけば、ゴルフ場利用税撤廃の運動も、もっと柔軟性のあるものになるはず。

見ていると、意地やプライド、メンツで100をゼロに、完全撤廃でなければ意味が無いと言っているように思える。

これって、独りよがりじゃないだろうか。

ゴルファー全体、日本のゴルフ界を少しでも活性化させていくには、三方一両損でよいのであって、それでも、ゴルフ界全体は、大いに得があるという図式を水面下でネゴしていけば、毎回、見送りというふがいない結果にはならないかも知れない。

縦軸で既得権益などを堅守するのではなく、もっと横軸も使い、まさしく縦横無尽な発想で乗り越えていかなければ、日本のゴルフ界の前途は暗いのだと思う。

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ライター紹介 ライター一覧

三田村 昌鳳

三田村 昌鳳

1949年2月24日神奈川県逗子市に生まれ。立正大学仏教学部を経て、週刊アサヒゴルフ副編集長ののち、1977年に独立。著書に「タイガー・ウッズ伝説の序章」「伝説創生」など。2011年春に「ブッダに学ぶゴルフの道」(中央公論新社)を発売。日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員。日本ゴルフ協会オフィシャルライター。日蓮宗の僧侶。

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