ブリヂストンスポーツは9月14日、『TOUR B X』をフルモデルチェンジして発売する。2年振りのことだ。
同社は今年3月、新社長に山田良二氏が就任しているが、この間、大型製品の発売がなく、春商戦はキャロウェイ、テーラーメイド、ピンの外資3社に席巻された。山田社長の心中は、穏やかではなかったはず。それだけに『ツアーB』の投入には「気合が入ってます」と口元を引き締める。
新製品の顔触れは、既にツアー3勝をあげている『ツアーB XD-3』ドライバー(7万2000円)にアイアン3機種(
X-CBP、X-CB、X-BL)。これにFW、UT、ウエッジ(2種)が加わる。秋商戦は国内他社も新製品の投入を予定しており、早くも群雄割拠の様相だ。
ニュードライバーの特徴は、カーボンクラウンにアモルファスを糸状に入れて反発性能を高めたもの。名付けて「筋金エックス」――。山田社長の筋金コメントを動画で紹介しよう。まずは、先頃都内で開催された受注会のもようをショート動画で。
まずはボールに喝を入れた
国内のボール市場はかつて、ブリヂストンスポーツと住友ゴム工業の二強が合わせてシェア7割超という時代があったが、タイトリストの『プロV1』が頭角を現し、他社の追随もあったなどでブリヂストンのシェアが削られた。以後、意気消沈の時を過ごす。
ところが、今春発売した『ツアーB JGRボール』のヒットで息を吹き返した印象だ。この点について山田社長は、
「昨秋発売した『JGR』クラブの評価が高く、今春発売したボールもクラブと同じ“飛距離モンスター”の統一キャッチで訴求しました。クラブとボールをわかりやすいフレーズでゴルファーに伝えたことが、好調の一因と判断しています」
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TOUR B JGR[/caption]
クラブで飛びと直進性のイメージを構築した『JGR』は、続くボールのヒットによりクラブ販売も上昇した。クラブとボールをリンクさせたことが『JGR』の成功要因といえそうだ。そのあたりを話してもらおう。
TOUR B XD-3に搭載される「筋金」とは?
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ブリヂストンスポーツ TOUR B XD‐3[/caption]
次に主役のドライバーについて聞いてみた。『ツアーB XD‐3』のクラウン部は、カーボンと金属弦(アモルファス)の異素材をコンポジットしたもので、タイヤの構造からヒントを得たという。
「タイヤは丸いゴムだと思っているひとが大半でしょうが、実は中にはスチールコードが埋め込まれています。これをゴルフクラブに活かすことはできないだろうか? それで製品化に漕ぎ着けた経緯があります」
“筋金エックス”の採用により、どのような効果が得られるのか? 山田社長が詳細を熱く語る。
モノとコトの融合で生き抜く
総じて工業製品の需要が厳しい中、ブリヂストンスポーツは新たなメーカー像を描いている。それは、物作りの技術を土台にした、モノとコトの融合だ。これにより新境地を開く構え。
同社が毎年実施する「ファンフェスタ」は、その最たるイベント。昨年は宮里藍を筆頭に契約プロ29人が一般アマとラウンドやレッスンを行っている。これ以外ではプレミアムフライデーを活用したナイターゴルフ「きらきらGOLF」(品川駅からバスで送迎)やBSゴルフアカデミーとタイアップした「120切りゴルフツアー」など、初心者向けの企画にも注力する。
今年7月には個人レッスンの「ツアーB パーソナルメソッド」をスタート。2ヶ月間で32万円(税別)と高額ながら、実際に体験した山田社長は「今後のゴルフライフの財産になるはず」と自信満々。
その前に、人気低迷が囁かれる男子プロの状況や、ブランド訴求とプロの活用術についても併せて聞いた。
ぼくは今のところJGR
ニューモデルの対象者は、どういったゴルファーなのか? また、ショップの販売員は『ツアーB』をどのように販売すれば良いのだろうか? 効果的な販売マニュアルをつくることも、メーカーにとって重要だ。この点が的外れだと、売場の混乱を招いてしまい、ゴルファーに伝達できなくなる。
「新製品をクルマに例えると、操作性に優れるマニュアル車だと思いますね。一方の『JGR』は、オートマチックに真っ直ぐ飛ばしたいゴルファーに向けたクラブです。それぞれのニーズをしっかり把握して、販売につなげたい」
ところで、山田社長はマニュアル派? それともオートマ派?
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