マイカスタム第1回 重ヘッドに元ゆるシャフト 意外な組み合わせで意外な効果

マイカスタム第1回 重ヘッドに元ゆるシャフト 意外な組み合わせで意外な効果
本号からはじまる新連載「マイカスタム」の初回は愛知県春日井市で営業するリフレックスゴルフである。国内屈指の売上を誇る単独工房として業界でも有名な存在だ。同店では最近、以前の常識とは異なるセッティングでゴルファーの悩みを解決した例が増えたという。重ヘッドに手元がゆるゆるのシャフト。その意図と効果を丸山恭生代表が解説する。

シャフトのしなりが使えない 左抑制のシャフトで左に行く

リフレックスゴルフの丸山恭生代表が、最近の傾向から警鐘を鳴らす。 「特に外資大手の人気クラブを使用するゴルファーには、オーバースペックのクラブを使用するゴルファーが多い。良い傾向ではないですね」 オーバースペック……。つまり、自分の力以上の仕様を使うことだが、これにより、クラブ本来の性能とは逆の症状が出てしまうという。 「例えば、ゴルファーは上級者になると左へのショットを警戒して、球がつかまりにくいヘッドとシャフトを使いたがります。この組み合わせはシャフトをしならせることが前提ですが、オーバースペックでシャフトをしならせることができないから、球がつかまらない。それで身体で球をつかまえるアウトサイド・インのスイングになってしまい、弾道はストレートだけど打ち出しが左になってしまう。左に行かないヘッド、シャフトなのに、結果的に左へ行くんです」 そのようなゴルファーのほとんどが、Sシャフトを使っているため、同店ではスペックダウンを推奨しているという。さらに、手元がしなりやすいシャフトでトップスイングからダウンスイングにかけて、タメをつくれるセッティングをテストするという。 今回の目から鱗のマッチングは「重ヘッド」と「手元ゆるゆるシャフト」の組み合わせだ。

重ヘッドは上級者だけではない 元ゆるシャフトでアベレージにも

丸山代表が説明する。 「一昔前は、重量が200gを超えるヘッドには、重くて硬いシャフトをセッティングして、パワーヒッター向けに組み立てました。ところが最近のヘッド重量は196~198gが平均的で、そうなると200gを超える『重ヘッド』は難しいヘッドとなってしまう」 これはヘッド単体の話だが、これにシャフトのトレンドを加味すると、もっとややこしくなってくる。 「最近の地クラブは460㎤の大型ヘッドで、慣性モーメントも高くなっています。それに合わせて、インパクトでの当たり負けを防ぐために、シャフト先端の剛性を高めたシャフトを装着するクラブが多い。それもあり、シャフトを上手くしならせることができないのです」 そんな悩みを持ったゴルファーが多いという。同店の顧客で55歳の男性ゴルファーは、ラウンド頻度月2回、HSは40~42m/sだが、タメができないスイングでアウトサイド・イン軌道。クラブはオーバースペックだという。 そこで敢えて、難しい「重ヘッド」と「手元ゆるゆるシャフト」で短尺の組み合わせを推奨した。ヘッドはエポンの『EF‐02D』で202g。これに、先ごろ発売されたスリリングの『シュハリ』を組み合わせた。このシャフトは手元がゆるゆるで剛性の低い部分が長く、完成後のクラブ長に影響されず、ゆるゆる効果でタメを作り、インパクトでHSが減速しにくい効果を狙ったシャフトだ。一昔前まで上級者向けだった「重ヘッド」が「ゆるゆるシャフト」でどうなるのか? ヘッドスペック

短尺でミート率も上がりタメができてつかまる

まず、「重ヘッド」の利点はインパクトでの衝突エネルギーが大きいこと。 「45.5㌅の短尺で組むとミート率が上がり、インパクトでの圧が高まって飛距離アップにつながります。また、ヘッドが重いのでインパクトの軌道がアッパーになり、シャフトをしならせやすくなるのです」 そこに手元ゆるゆるの『シュハリ』を組み合わせると、ヘッドの重みとの相乗効果もあって、シャフトの性能を活かしやすいという。 「これによってタメができるため、シャフトがしなりタイミングもとれる。アウトサイド・インの軌道が抑制され、ドローボールが打ちやすいのです」 顧客のゴルファーは、この組み合わせでドローボールが打てるようになり、悩みは解決に向かったという。「重ヘッド」はバランス調整のため、重くて硬いシャフトを装着しがちだが、「ゆるゆるシャフト」との組み合わせで、スコア90~100程度のアベレージゴルファーの悩みを解決した例だ。 一昔前にはあまり見られなかったマッチングだが、目から鱗の「マイカスタム」であることは間違いない。 シャフトスペック

メーカー担当者コメント 

スリリング 代表取締役 植木達朗 「『シュハリ』はコックが早くほどけてタメができないゴルファーにベネフィットを提供するシャフトです。今回の『重ヘッド』との相性が良く、ゴルファーの悩み解決になるという工房の新たな発想は、参考になりますし、嬉しい限りですね」--。

リフレックスゴルフ&スポーツとは?

〒486-0914 愛知県春日井市若草通り4丁目104番地 ☎0568-29-9090/ FAX:0568-29-9299 https://www.reflex-g.jp/ この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。