マイカスタム第6回 ロフト角よりつかまり具合が大事 70歳にマッスルバック

マイカスタム第6回 ロフト角よりつかまり具合が大事 70歳にマッスルバック
埼玉県川口市。東京外環自動車道川口中央ICから車で10分。大型練習場フォーシーズンズゴルフガーデンの入口横に、トッズゴルフラボは5坪弱のコンテナ工房を構える。一人で切り盛りするのが真柄肇氏だ。今回の「マイカスタム」は、重心距離の長い外資系の大型アイアンヘッドで、弱い球が出てスライスに悩む70歳のベテランゴルファー。ロフト角が立ったアイアンより、つかまり重視でマッスルバックのアイアンと、軟らかく安定した挙動のシャフトを提案した。

弾道計測器では立ったロフトが飛ぶと評価される時代

トッズゴルフラボは練習場の駐車場で営業している。だから、試打クラブを借りて練習場で試打する常連客も多く、 「弾道計測器ではなく、実際の球筋を見て判断するのが大事です」 そう、真柄氏は語気を強める。 「弾道計測器では、ロフトが立ったヘッドの方が初速は速く算出される傾向が強いと思います。ただ、ロフトが立っているとボールはつかまらない。その意味では、ゴルフを難しくしているのはロフト角だと思いますね」 それに加え、 「もうひとつ問題になるのは硬いシャフトです。硬いシャフトは力いっぱい速く振ろうとします。屋内で試打をする場合、ロフトが立っていて、硬いシャフトのクラブを一生懸命試打するので、瞬間的に数値は良い場合がほとんどです。ただ、ロフトが立っていては、グリーンで球が止まらない。過度の低重心でスピンが入らない。球もつかまらない。でも、ロフトが立って硬いシャフトのクラブを薦められるゴルファーは多いんです」 真柄氏は、そんな現状があると指摘する。そのような中、今回の主人公は70歳男性ゴルファー。外資系の大型ヘッドのアイアンで、球がつかまらず、ペラっとしたスライスが出ていた。

重心距離が短く、多ロフトでつかまえて強い弾道へ

  70歳の男性ゴルファーに薦めたのが、BUCHIのアイアンヘッド『T22M』とオートフレックスのアイアンシャフト『SF405』。BUCHI『T22M』のキャッチコピーは「研ぎ澄まされた流線美」で、マッスルバックだ。素材もS15CKという軟らかい打感を実現したアイアンである。 一方のオートフレックス『SF405』は、軟らかいのに安定した挙動という性能で、様々なスイングタイプに合わせて「しなり幅」や「しなり戻りのタイミング」を最適化するシャフト。それによって、 「ヘッドの重心距離が短く、また、ロフトも同じ7番で4度ほど寝ているので、ボールがつかまる弾道になる。それでスライスが抑制され、ボールも強い弾道になりました。もうひとつ、『T22M』のソール幅が狭いことで、ヌケが良くなってつかまり具合が向上したことも弾道が強くなった理由だと思います」 もともと、右手が強く、カット軌道だったため、弱い球でスライスが出るスイング。それが、ロフトが寝ていて重心距離が短く、ソール幅が狭くヌケやすい。そこに軟らかいが安定した挙動のオートフレックスで、球がつかまり、カット軌道のスイングも修正された。 ヘッドスペック

飛距離もほぼ変わらず 想定内だけど意外性もあった

※写真はドライバー用 今回のセッティングは70歳男性に向けたものだが、HSも38m/s程度とパワーヒッターではないゴルファーに、マッスルバックと軟らかいシャフトの組み合わせは、まず見たことがない。このあたりに自在性が伺える。 「もちろん、このようなセッティングでペラっとしたスライスから球がつかまって、強い弾道になるのは想定してましたが、距離もほぼ変わらない結果になったのは意外でしたね」 軟らかいシャフトによる効果もある。 「テイクバックからシャフトがしなりますから、トップからの切り返しで手が素直にインサイドに落ちてきます。それもボールのつかまり具合を向上させた要因だと思いますし、それによって、前に使っていたクラブとロフトで4度ほど差がありますが、飛距離が変わらなかったのだと思います」 新たな発見は、ロフトに4度も差がありながら、ロフトより、ヘッドの短重心距離によるつかまり具合の向上、そしてソール幅と軟らかいシャフトが、弾道の強さはもちろん、飛距離につながったことだろう。シニアにとって加齢による飛距離減退は大きな悩みだが、安易に「飛び系アイアン」に飛びつくのは、危険をともなうと真柄氏は強調する。今回も、目から鱗のマイカスタムだった。

メーカー担当者コメント

オートフレックス 日本地区輸入代理店 ゴルフジャパン販売 松浦真也氏 「今回は、テイクバック時のしなりが残像として残り、良い効果を出しているケースですね。軟らかいシャフトだと、タメもヘッドのターンも、走りも意識するので良いスイングになるんです。でも、70歳のシニアでしょう? 非常に興味深いケースだと思いますよ」

トッズゴルフラボとは?