ブリヂストンのNEW『TOUR B X/XS』はタイガー・ウッズの求める「ディープ感」を実現したのか?

ブリヂストンのNEW『TOUR B X/XS』はタイガー・ウッズの求める「ディープ感」を実現したのか?
ブリヂストンスポーツは2月9日、新ボール『TOUR B X/XS』を発売する。それに先駆けて都内にて発表会を開催した。 『TOUR B X/XS』と言えば、タイガー・ウッズなど多くのトッププロが使用するツアーモデル。両立が難しいと言われている「飛んで止まる」を追求し続けているボールだ。 まずは発表会の模様をダイジェスト動画で観てもらいたい。

2つの進化が「ディープ感」と「飛距離」を実現

タイガー・ウッズがボールに求めることは「ディープ感」だという。これはタイガー独特の表現で、「柔らかい打音とフェースに長く乗る感覚」を指すという。この対局としてタイガーが嫌うのが「クリッキー」。プラスチックのような硬い打感と、いわゆるポッコンボールのような飛び方。 そこで今作は、まずカバーを改良。ウレタンカバーに新たな制音・衝撃吸収材を加えることで、フェース上への「乗り感と軟らかな打音」を具現化し、アプローチショットでさらにコントロール性能の向上を実現した。この新しいカバーを「NEW リアクティブiQ・ウレタンカバー」と命名。特許も出願中だという。 さらに、ドライバーやショットでの飛距離アップも諦めていない。一部のプロから「欲を言えばもっと風に強いボールが打ちたい」という要望が上がったことで、高初速を実現するため低スピン化に着手。同社の長年の研究から低スピン化するには中間層の剛性を高めることが必要だと分かっていたが、2022年モデル以上に中間層を硬くしてしまうと耐久性に影響が出てしまうという問題に直面した。 そこで同社は『PHYZ』ボールのサーリンカバーに使っていた無機充填剤をインナーカバー(中間層)に応用することを思いついた。とは言えただ使えばいいわけでなくその配合の量が重要だ。結果、2年間で添加量や種類を変えながらようやく「インナーカーバーの高剛性化=低スピン」かつ耐久性の高さを実現。 さらに高比重化も達成したことでボールそのもののMOIも高くなり、パターでのボールの転がりも良くなったという。同社はこのインナーカバーを「NEWハイスピード・インナーカバー」と名付け、同じく特許出願中だとか。 タイガー・ウッズは新しいボールについて、 「アプローチのスピンが200~300回転上がり、ボールスピードが1m/s上がった。これはツアーでは大きなことだ」 と語った。

『TOUR B X/XS』を試打してみると

『TOUR B X/XS』 タイガー・ウッズ 実際に記者も『TOUR B X/XS』を試打してみた。 『TOUR B X』はドライバーで打った瞬間に既に頂点に達しているような初速感と直進性能を感じる。一方、驚いたのは『TOUR B XS』は『X』に比べて明らかにフェースで押し込める時間が長く感じる点。ゴルフスイングのインパクトの時間はコンマ1秒にも満たないと言われているが、『XS』の方がボールが潰れる感覚が手に伝わってきた。フェースにボールが接地している時間が『X』より長いことが影響したのか、つかまった弾道に変化した。 記者はボールを操作するような技術は持ち合わせていないが、おそらくボールとフェースの接地時間の長さは上級者やプロにとっては球を操作する意味で有利に働くと思われる。 記者発表で宮里優作プロが同作について「つかまるボール」と表現した。クラブでつかまる、つかまらないとはよく言われるが、ボールでこの表現が出たことは珍しい。これからはボールの構造が弾道に大きく影響する時代になる?