茨城県土浦市のマロニエゴルフ。会員権販売と物販の老舗だが、工房を担当するのが川﨑将朗常務。最近のゴルファーはギアオタクも多いため、「リッチなゴルファーは次々とクラブを買って迷子になる」傾向が強いとか。そんなゴルファーA氏が今回の登場人物。ギアオタクで、PGAツアープロの使用クラブに次々と挑戦。結果、ドライバーが安定しない30代後半の男性である。その彼に川﨑常務は、巷で噂のシンカグラファイト『ジンガー4』を提案した。その結果は、果たして?
ギアオタクのPGAツアー好き 次々とシャフトを変えて迷子
米PGAツアーや世界中の試合が日常的に視聴できて久しく、日本のゴルファーへの影響も大きい。
「ギアマニアで、PGAツアーのプロが使っている最新ギアをすぐに買うゴルファーが増えました」
マロニエゴルフでクラフトを担当する川﨑将朗常務は、そう話す。
「ゴルファーがクラブに詳しくなるのは良いことですが、ネット通販で、日本では手に入らないパーツを買う傾向も強まっています。自分のスイングに合うかどうかは二の次で・・・」
その典型が今回登場する30代後半のアスリートゴルファー「A氏」。大学ゴルフ部出身でスコアは70台。HS48m/sのパワーヒッターだが、ドライバーが苦手という。使用中のシャフトは手元と先がガチガチで、60g台のXフレックス。長さは45インチのセッティングで、飛球が右に左に散らばるのが悩み。
そんなA氏に川﨑常務が提案したのが、工房で話題のシンカグラファイト『ジンガー』だ。幅広いゴルファーに対応したマルチフレックスのシャフトで、切り返しでの「間」と「タメ」を、手元側の大きなしなりとトルクで増幅する大胆な設計。ヘッドはテーラーメイドのプロ・上級者用『ステルス2+』。この組み合わせで何が起きたのか?
硬いシャフトは操作したくなる スイングが安定しないと右へ左へ

川﨑常務の話。
「硬いシャフトの特徴は、その硬さゆえに、振れるゴルファーが必要以上に操作しようとすることです」
なにやら深い・・・。こういったことらしい。例えば、オーケストラの指揮棒は硬いから、しなることなく、指揮者は的確に指揮できる。一方、硬いシャフトはしなりにくいため、ゴルファーが意図的に操作する。その操作の幅が広がって、インパクトがズレる・・・。
そこで逆に、40g台の『ジンガー』を提案してみた。
「Aさんはゴルフ部出身なので、スイングも我流の部分が大きく、最近レッスンに通い始めたそう。それもあって『ジンガー』を打ってもらいました」
なぜなら、『ジンガー』は間とタメを作るのに最適だという。基本的に軽くて振動数は低いが、ハリがあるため、単なる「軽柔」のシャフトではない。シャフトを操作するのではなく、シャフトに仕事をしてもらえる。それによって、
「使い手が何もできないような状態をつくります。つまりシャフトが仕事をしてくれて、必要以上に操作しなくても良い状態を狙いました」
その結果、ドライバーショットでインパクト・弾道とも安定したという。
ヘッドスペック
スペックや説明を信用するギアマニアだから成立した

A氏はギアマニア。だからこそ、自分のパワーに寄せるプライドよりも、マニアックな興味関心が勝り、理解を示したのではないか、という。
「60g台を使っていた30代のゴルファーは普通、40g台は選択しません。ギアマニアだからこそ、メーカーの説明書きやスペックを理解して、納得度が増すと思うんです」
むろん、A氏が志向していたPGAツアーのギア観とは、全く違う世界になってしまうのだが・・・。
ともあれ、HS48m/sのアスリートゴルファーに40g台のシャフトを提案した今回のマイカスタム。A氏にしてみれば、目からウロコだったに違いない。
シャフトスペック
メーカー担当者コメント
シンカグラファイト 辻垣内柾好氏
「AさんのスコアやHSを聞く限り、かなりのパワーヒッターなので『ジンガー4』を薦めるのは珍しいと思います。それが第一印象ですが、『ジンガー4』のコンセプトは、打てば打つほどスイングが良くなるシャフトなので、今回のフィッティングがスイングを見つめなおす機会となり、弾道が安定したんでしょう」
マロニエとは
〒300-0876
茨城県土浦市北荒川沖町1-35 1F
TEL 029-843-0500
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。