マイカスタム第11回 タイミングを合わせるための軽柔シャフトでアプローチも上達

マイカスタム第11回 タイミングを合わせるための軽柔シャフトでアプローチも上達
セレクトショップでスタートし、今では工房はもちろん、シミュレーターを導入したインドア施設、そしてレッスンまでのワンストップで店舗運営をしているのがゴルフショップパル。競技ゴルファーから女性の初心者まで、多くのゴルファーの拠り所となっている。 今回の主人公であるA氏は、42歳の男性シングルゴルファー。HS46m/sと飛ばし屋で、FWやUT、アイアンなど地面から打つショットに関しては方向性、飛距離に問題はないが、ドライバーだけ左右に飛球が散る。ヘッドはバルドの『568DEEP』のままだが、推奨したシャフトはオートフレックスの『SF505X』だった。

ゴルフに真剣に取り組めばスペックは硬い、重い方向に

2011年にオープンしたゴルフショップパルは、当初セレクトショップとしてスタートした。そこからワンストップの店舗を目指し、工房やシミュレーターを導入したインドア施設にレッスンと物販、練習場の三位一体型店舗。常連客の中にはトレンドを追う顧客も多く、 「人気のユーチューバーやトレンドのスイングに感化されるゴルファーも多いですね。ゴルフに真剣に取り組んでいる証拠ですが、悪影響もあります」 そのひとつが、ゴルフがうまくなればなるほど、スペックは硬くて重い方向に進んでしまうこと。大きな理由は、トレンドのスイングやプロダクトに手を出してしまうからだという。今回のA氏も同様で、ゴルフに真剣に取り組むから、クラブのスペックが硬くて重くなり、 「力任せにスイングするようになって迷宮入りしたんです」 そんなA氏が使用していたのが、重心距離が短めでバルジが強めの操作性重視のバルド『568DEEP』と、地シャフトで70g台のSシャフト。それを軽柔シャフトの先駆者的存在であるオートフレックスの『SF505X』という55gのシャフトに変更。この組み合わせでどうなったのか?

曲がると硬くする 一発の飛びはあるが

近藤店長が指摘する。 「ドライバーが曲がるアスリートゴルファーや叩きに行くゴルファーは、ほとんどの場合、フレックスを硬くして、トルクを少なく、いわゆる『しめる』方向にいってしまいます。そして、シャフトをしならせるためにテンションをかけるスイングになります。一発の飛びはありますが、力いっぱいボールをシバくのでタイミングに関係なくスイングして、迷宮入りすることが多いですね」 A氏はその典型だという。そこで通常ではセッティングしない操作性に長けたバルドの『568DEEP』に、オートフレックス『SF505X』をリハビリ的に薦めた。 「柔らかいながら、しなり戻りの速いオートフレックスのシャフトを装着すると、その柔らかさに合わせて力いっぱいスイングすることがなくなります。当店にはレッスンプロも在籍していて、スイングが改善してきたのを確認して、効果があると考えて推奨したんです」 近藤店長によると、それによってクラブの正しい使い方が体得できたとか。 「ある意味、リハビリになっていると思います。それによって、A氏は一発の飛びもありながら、左右に散らばっていた飛球がドローに安定して、スコアが縮まりました。競技ゴルファーなど上達すればするほどクラブのスペックが硬く、重くなる迷宮入りゴルファーには、ハマる組み合わせかも知れませんね」

タイミングを体得してアプローチも上達

このセッティングでドライバーの左右のブレがなくなったA氏は、苦手だったアプローチまで得意になったという。 「クラブはしならせて、しなり戻すというのが基本だと思います。それにはタイミングが大事で、硬いシャフトを力いっぱい振っていても、飛距離に繋がるタイミングは作れません。柔らかいシャフトでタイミングが取れるようになると、動きが小さく振り幅の小さいショットでもタイミングが取れます。それでA氏の場合、アプローチショットの上達につながったと考えられます」 飛ばし屋に多いといわれるのが、大きい動きは得意だけど、小さくゆっくりとしたスイングは苦手。A氏も同様だったが、ドライバーがこのセッティングになってアプローチまで上達したという。 とはいえ、通常なら60g台や70g台のSやXフレックスと組み合わせるのが王道の『568DEEP』と、オートフレックス『SF505X』の組み合わせは、 「リハビリクラブとしては良くても、ある程度飛ばないとスコアメイクできないシングルさんにはオススメしません」 A氏はドライバーがタイミングよく打てるようになったことで、アプローチまで上達した。今回のセッティングは意外性以上の効果があったといえるだろう。

メーカー担当者コメント

オートフレックス日本代理店 ゴルフジャパン販売 松浦 真也氏 「振ることができ、HSは増加するといわれており、飛距離アップすると思います。それと、意外に先端剛性が高く、球が散らばらない。その両方で、全盛期のスイングに戻るゴルファーは多いですね。とはいえ、この組み合わせをHS46m/s のゴルファーに最初からは薦めないですね」

ゴルフショップパルとは

〒141-0021 東京都品川区上大崎3丁目14−37 TGMタマビル1F TEL:03-5422-6585 URL:https://www.pal-golf.com/ この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。