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  • 46インチ以内? R&Aの長尺ドライバー禁止計画で混乱必至

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    必死に練習してクラチャンになったのも束の間、「失格です」と告げられたらどうだろう? しかも、そんなゴルファーが大量に発生したら、ゴルフ場は大混乱に陥るはずだ。 そのような悪夢が現実になるかもしれない。 ゴルフ規則を統括する英R&Aは、高反発ドライバーの規制に続き、今度は「長さ規制」に乗り出している。時期は未定ながら、現行の「48インチ以内」を46インチに規制する構え。 これを受けてゴルフ業界では、「ゴルファーから『飛び』の喜びを奪うもの」「いい加減にしてほしい」との声しきりだが、実は、長さを測る計測法は統一されておらず、購入時に46インチ以内を確認しても、競技終了後の計測ではオーバーする可能性も否めない。 一体、どうなっているのか? 混乱の舞台裏をリポートしよう。

    「意味がわからない」

    「R&Aが考えていることは、意味がわかりません」 憮然とした表情で話すのは、マルマンの出山泰弘社長である。 同社はシニアゴルファーに人気の高級ゴルフクラブ『マジェスティ』が売上の7割を占めており、ドライバーは46インチ超の「長尺」に人気が集まっている。同社開発チームの阿久津桂部長も、 「すっごく困っています。当社の場合、46.5インチが売れ筋なので、46インチ以下に規制されたら開発の方向性を変える必要があるかもしれない。どうにかしてもらいたいです」 と、困惑の態なのである。 長尺の効果を簡単にいえば、同じスイングスピードで振った場合、短いクラブよりも長いほうがヘッドスピード(HS)が向上する。ボールが飛ぶ3要素は、初速、スピン量、打出し角だが、HSの向上はボール初速に影響する大事なポイント。 だからマルマンは、長くて軽く、それでいて長さを感じさせず振り抜きやすいドライバーの開発に時間を費やしてきた。阿久津部長が懸念する「開発の転換」は、死活問題になりかねないのだ。

    R&Aの言い分とは?

    R&Aが用具の規制に執着するのは、ゴルフ発祥の地というプライドに根差す独特の「価値観」によるものだ。いわく、ゴルフの上達は自己研鑽によるもので、用具の過剰な進歩に頼ってはいけないというもの。 一方のゴルフメーカーは、「過剰な進歩」がニーズを生み出し、他社との差別化につながっていく。その面で、メーカーとR&Aは水と油、容易に融合しないのだ。 今年3月、R&Aで用具規則の最高責任者を務めるスティーブ・オットー博士が来日した。日本の業界関係者に「長尺規制」の計画を説明するためだ。 現状、クラブの長さについては48インチ以内(付属規則Ⅱ、1c クラブ長はパターを除いて48インチを超えてはならない)に定められているが、これを46インチ以内に改める意向を示した。その際、本誌はオットー博士と次のようなやり取りを行っている。 長さ規制導入の見通しは? オットー博士「今年1月、日本の関係企業から我々の提案に対する意見書の提出を締め切りました。回答数は4社とわずかでしたが、もう少し情報を集める必要性を感じています。現状では何も決まっておらず、我々の立ち位置を検討している段階です」 導入で想定される混乱は? オットー博士「我々は日本市場を重視しており、調査会社に調査を依頼しましたが、多分、48インチの使用者は数%だが、46インチになると使用率が高まり、影響が出るかもしれません。45.75インチあたりは適合・不適合の混乱が生じる可能性もあるでしょう」 46インチを規制の上限と考えた根拠は何ですか。 オットー博士「ひとつには飛距離のデータがあります。平均的な男子ツアー選手は46インチから48インチになると、8ヤード伸びることがわかっています。規則を変える場合は6月頃に告知して、来年の初旬に日本メーカーと話し合うつもりです」 今回の規制案について、国内メーカーからの返答を1月に締め切ったが、返答の内容は? オットー博士「回答は4社でしたが、その内容について開示の合意を尋ねたところ、全社が『NO』だったので公開は控えます。ただ、一般的な回答は『2%のゴルファー』に影響が出るというものでした」 最後の質問には注釈が必要かもしれない。つまり、これだけ重大な問題にも関わらず、R&Aが1月に締め切った提案書への回答がわずか4社にすぎなかったことだ。これが本当だとすれば、メーカーの姿勢が疑われる。

    気づかれなかったR&Aの「提案書」

    実は、多くのメーカーが、R&Aからの提案書に気づいていなかったようなのだ。R&Aの方針を日本に伝えるJGA(日本ゴルフ協会)の大久保裕司部長(規則及び外交担当)によれば、 「用具規則の変更は、関係者の情報共有を図るため、2010年のバンクーバー・フォーラムで次のように決まりました。情報はR&Aから直接、過去に用具申請した全メーカーにメールで送信され、我々JGAは補助的に、その和訳分をHPに掲載する。ですからR&Aからのメールを見逃したり、迷惑メールとしてハネられた場合は、確認が難しいと思います」 電子メールの難点がここにある。重要事項は書状を送達したほうが確実だと思えるのだが、郵送費などのコストを削減するためメールに一元化したのだとか。これにより多くのメーカーが「提案」を見逃した可能性が高い。 また、近況報告をするため6月の来日を予定していたオットー博士は、諸事情により延期。そんなわけで日本の業界関係者は、以後の進展がわからない状況だ。

    統一されない計測法

    ところで、長さ規制に関しては多くの問題が指摘される。一言でいえば導入の下準備がまったく整っておらず、性急に実施されれば混乱は必至の状況なのだ。順を追って説明しよう。 まず、これは日本の業界団体の問題だが、クラブの計測法が統一されておらず、メーカーによってバラバラという事情がある。 JGGA(日本ゴルフ用品協会)は、これを統一するため製造物渉外委員会で議論を重ねているが、石井隆史委員によれば、 「ゴルフクラブは工業製品なので、JIS規格同様、製品の統一的な表示・計測法があるべきですが、ゴルフ業界はこの点が遅れていて各社バラバラになっている。そこで『JGGA方式』を確立して統一の呼び掛けをしましたが、各社にはそれぞれ事情があるので容易に賛同が得られません」 「各社の事情」は複雑だ。要約すると、ドライバーヘッドがパーシモン(柿材)だった頃と現代の大型チタンでは、ヘッドの構造が大幅に異なる。これにより、過去の計測法を現代的に改めるメーカーと、計測法を変えると過去の製品との整合性がとれなくなるため躊躇するメーカーがある。 また、各社個性的な開発を進める中で、その性能を正確に表す長さ表示の基点が異なり、JGGA方式に統一できないのだ。 ただし、ややこしい話はこれで終わりではない。むしろ、ここからが本番だ。 別図に示したように、JGGAが推奨する計測法は、シャフトの軸線とソールが交差する「交点」を基点として、グリップエンドの淵(グリップエンドの膨らみは含まない)までを長さとするが、R&Aの計測法は、クラブを水平面に置き、ソールを角度60度の面に当てる。その交差点からグリップの上端(膨らみを含む)までの長さと規定される。「JGGA方式」と「R&A方式」は異なっており、 「同じクラブを2つの方法で測ったとき、最大0.5インチ、平均的には0.2~0.3インチほどJGGA方式のほうが短くなります」(石井委員) 先述したように、国内メーカーの計測法はバラバラで、「JGGA方式」に統一されていない。その上、仮に統一されたとしても「R&A方式」とは別物になる。こんなことがあっていいのだろうか。JGGAがR&Aの計測法に合わせればいいではないか。 「そうはいきません」 と前置きして、JGGAの藤村昌樹委員がこう話す。 「より大きな問題はヘッド側の基点です。クラブ長の計測はドライバーだけではなく、全番手に適用されるため、ソール側を60度に固定されると短いアイアンではライ角やソール形状、バンスによって長さがバラけてしまう。アイアンセットは0.5インチ刻みで組まれますが、その統一性が崩れてしまうのです」 なるほど。特にウエッジのソールは、各社様々な工夫を凝らしているため、長さが不統一になってしまう。前出の石井委員が次のように続ける。 「なので、R&Aの60度測定法は、クラブ性能の実際面を反映しているとは言えません」 それでは、R&AにJGGA方式の採用を訴えればいいと思うのだが、ここで両氏の口は重くなる。過去に何度も訴えたが「見解の相違」を盾に進展が見られないというのである。「相違」とは何か? 「こういったことです。R&Aは、彼らの測定法はルールの合否判定をするための『判断基準』であり、製造過程における計測法ではない。だから各自のやり方で『ご自由にどうぞ』というわけです。つまりR&A方式は計測法ではなく判定法というわけですが、規則書を普通に読めば『60度測定法』が正式な方法だと解釈できます」(藤村委員) こうなると、何がなんだかわからない。その混乱が解決されないまま、「46インチ規制」が独り歩きをしようとしている。

    競技後に測ったら「失格です」

    以上の混乱は、業界内の恥ずべき話だが、これが「コップの嵐」で収まらないのは、購入時に46インチ以内を確認したにも関わらず、競技終了後の計測で46インチ超となり、「失格」となりかねないことである。 そのようなゴルファーが大量に出れば、業界は信用失墜となり、ゴルフ離れが加速するかもしれない。高反発ヘッドのCT値を図る計測器は高額なため、これを導入できるゴルフ場は少ないが、R&A方式の長さ測定は簡便だから、手先の器用な支配人なら、自分で作ることもできるだろう。 月例競技に長さ測定器を導入し、その結果、優勝者が「失格」にでもなれば、競技委員や支配人に食って掛かる者も現れよう。規則遵守を厳密にやるほど混乱が生じ、トラブルが生まれる。ゴルフ場にしてみれば、想像したくない光景だ。 それだけではない。クラブをチューンアップした工房も激しい怒りを買うはずだ。そんなわけで、本誌は6月、全国のゴルフ工房142店舗に対してアンケート調査を行った。有効回答数は31店舗(21.8%)である。 驚くべきは、回答の中身だ。長さ規則について「改定の動きを知っているか?」の問いに対して22店舗が「いいえ」と回答。約7割が知らなかったことになる。 また、「46インチを超えるドライバーの販売比率」について、もっとも多かったのは「1割未満」の13店舗で、以下「2割以上3割未満」(8店舗)、「1割以上2割未満」(7店舗)、「3割以上」(3店舗)と続いている。 規制の導入で「困るか?」については「はい」が9店舗で「いいえ」が22店舗と、困らない工房が上回った。察するに、高反発愛用者などゴルフ規則にこだわらないレジャー・ゴルファーが工房に多く来店しており、ニーズ優先の観点から「困らない」となったのかもしれない。 だとすれば、R&Aにとっては皮肉な結果といえるだろう。「ゴルフは自己研鑽によって上達すべき」という精神を訴求するため、過剰な用具規制にひた走り、結果、厳しい規則に縛られず、自由にプレーを楽しむゴルファーが増えている。有賀園ゴルフの有賀史剛社長は、 「これを機に、『長尺&高反発』という人気カテゴリーが生まれるかもしれません。規則や競技の普及は大事ですが、一方で、大半のゴルファーは競技とは無縁です。需要創造の観点からも、長尺&高反発には期待したいですね」 と商魂たくましいが、爆発的なヒット商品になれば、多くのメーカーがこのカテゴリーに流れ込むかもしれず、そうなればR&Aの権威は地に落ちる。従来の上位下達の在り方を、根本から見直す時期に来ているといえるだろう。さる工房店主のこんなコメントで締めくくろう。 「R&Aは、ちまちま細かい規則を作る暇があったら、もっと考えることがあるでしょうに。アマには緩くてプロに厳しい、2通りの規則を作ればいい」
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