1. ゴルフサミット会議からの脱退を決めたゴルフ緑化促進会(GGG)の主張

ゴルフサミット会議からの脱退を決めたゴルフ緑化促進会(GGG)の主張

 2017/11/16 社長の記事
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ゴルフ新年会記者発表

「日本ゴルフサミット会議」という組織があるのをご存じだろうか? 

国内にはゴルフ関連団体が星の数ほどあるのだが、サミット会議は日本ゴルフ協会(JGA)を筆頭に17の団体が加盟して、ゴルフ界の方針を決める代表的な機関。「会議体」としての役割を担う。

毎年1月には、全団体の関係者が参加する「ゴルフ新年会」を主催するなど、業界の一枚岩を印象付ける活動も行っている。

しかし、ここに来て不穏な空気が漂いはじめた。10月下旬、構成団体のひとつが退会を申し出たのである。

一般のゴルファーにしてみれば、ただそれだけのことなのだが、背景にはゴルフ界が抱える様々な問題が潜んでおり、それらの問題は結局のところゴルファーとも密接に絡んでいる。

17団体が加盟する決定機関

退会を申し出たのはゴルフ緑化促進会という団体。実は、サミット会議の退会者は発足以来初めてだけに、一部で注目を集めている。その退会理由に触れる前に、サミット会議の成り立ちを説明しよう。

サミット会議の発足は1997年1月のこと。議長はJGAの竹田恆正会長が務めている。

ゴルフは他のスポーツに比べて産業規模が大きく、関わる業種も様々だ。プロゴルフの関連団体は日本プロゴルフ協会、日本女子プロゴルフ協会、日本ゴルフツアー機構の3団体。

最多はゴルフ場関係で、日本ゴルフ場経営者協会、日本パブリックゴルフ協会、日本ゴルフコース設計者協会、日本ゴルフ場支配人会連合会、日本芝草研究開発機構の5団体。これ以外に日本ゴルフ用品協会や全日本ゴルフ練習場連盟、日本ゴルフジャーナリスト協会など、様々な業種が「ゴルフ」という共通ワードで括られている。

サミット会議の発足は、ゴルフ界には関連団体があまりにも多く、横のつながりが希薄だったことを反省して、交流を目的に立ち上げられた。

また、「ゴルフ場利用税」の撤廃運動も重要な活動であり、毎年1月に主催する「ゴルフ新年会」では業界の活動目的を宣言するなど、一致団結を内外に印象付けてもいる。2020年の東京五輪に向けて、若手選手の強化費を募ることも近年の重要な施策である。

「船頭多くして~」

その一方、サミット会議の存在は業界の若い世代から「旧弊」の代表として見られることも多い。ゴルフ界の「長老格」がずらりと顔を並べ、過去の成功体験から物を語るといった見方をされる。

代表的な活動であるゴルフ場利用税の撤廃運動は2003年に70歳以上、18歳未満、身体障害者の非課税を果たしたが、悲願の全廃は未達のまま。

この間、ゴルフ人口は急減し、若者ゴルファーの創造策も決め手を欠いていることから、サミット会議への風当たりは強くなっている。

このような状況で、ゴルフ緑化促進会(GGG)はサミット会議からの脱退を決めた。同会はゴルファーから寄付金を募り、植林など緑化活動に貢献することを目的に設立された組織だが、実は、サミット会議の発足に主導的な役割を果たしたのがGGGの大西久光理事長だった。

同氏は日本ゴルフツアー機構(JGTO)の副会長を務めており、過去には日本ゴルフ用品協会(JGGA)の副会長や日本初のトーナメント運営会社を設立したなど、ゴルフ産業の基礎を作った人物。いわばサミット会議立ち上げの張本人が脱退の口火を切ったことで、この流れが加速する可能性も否めないのだ。

そもそも「17団体は多すぎる」という指摘は以前からあった。

「船頭多くして~」の喩ではないが、ゴルフ市場への関わり方が立場によって異なるため、総論賛成・各論反対に陥りやすい体質だ。たとえばゴルフ市場の活性化には全員賛成だが、シニア層のゴルフリタイアを抑制する高反発ドライバーについて用品業界を束ねるJGGAは容認派だが、JGAは否定派といったように分かれてしまう。

また、リクルートライフスタイルが若者に無料でゴルフを体験させる「ゴル☆マジ」という企画を業界に持ち込んだときも、積極的に協力する団体とそうではない団体に分かれたなど、「一枚岩」とは程遠い現実を露呈する局面もある。

17団体の会議体は、機能不全を起こしているのではないか。あるいは、何を目的に活動しているのか? このような基本的なスタンスが見え難く、GGGの大西理事長は、退会の口火を切ることで警鐘を鳴らす意図があったという。以下、同氏との一問一答を再現しよう。

GGGの活動目的とは?

まず、サミット会議の退会理由から教えてください。

「特にサミット会議への批判ではなく、GGGへの寄付金が以前より少なくなったので、組織をコンパクトにする必要があった。そこで、10月下旬に竹田議長宛に退会届を提出したという経緯です」

退会届は受理された?

「提出から本日(11月14日)に至るまでノーリアクションなので、受理されたという認識でおります」

サミット会議は加盟団体から年会費10万円を募って活動費に充てていますが、GGGはその会費払いも厳しくなった?

「GGGは40年ほど前、ゴルフ場の乱開発が問題視されたことを機に設立されました。最初は関東の経済人が中心になって、300コースほどに働き掛け、入場者一人当たり50円の『緑化促進協力金』をもらいましてね、これを植林事業に充てたのです。1割がゴルフ場への手数料だったから、厳密には45円です。

バブル期の90年代初頭は、この協力金が年間6億円弱ありました。設立から累計で103億円を投じ、200万本植林しています」

現在の寄付金収益は?

「今は年間1億円ほどです。設立当時は乱開発が問題視されましたが、今は逆に自然環境に貢献している。ゴルフ場の自然林は年間400万トンのCO2を吸収しているという調査結果もあり、そのため我々の活動もゴルフの活性化に寄与する内容などに変わっています」

「旧弊」に警鐘を鳴らす

それでも年間1億円ある。サミット会議の年会費10万円が惜しくて退会したという話は、素直に頷けません。本音ベースの話をしましょう。

「わかりました(苦笑)。ひとつには、サミット会議は供給者団体の集まりであり、消費者であるゴルファーの立場になって考える団体がない。つまり、ゴルファーの気持ちがわからないわけですよ。

その弊害として、何かあると『ゴルファーは金持ちだから、ゴルファーから(お金を)集めればいい』という安易な発想になってしまう。そのひとつが、ゴルフ場利用税の廃止に関わる業界が示した代替案です」

ゴルフ場利用税は総額400億円を超えますが、その3割が都道府県、7割が市町村に収められる。代替案は、都道府県分を廃止して、市町村分全体の最大4分の3を国からの交付金で賄い、残りの4分の1を「ゴルファーからの寄付」で埋める考え方です。

「はい。その寄付は、ゴルファーから一律200円もらうという方針ですが、わたしはこれに反対です。困ったらゴルファーから取ればいいという安易さがあり、寄付を求めるぐらいなら、減税によってゴルファーの負担額を減らしたほうが公平ですよ。

だけどこの案は、あたかもサミット会議の総意であるかのように方針が決まってしまった。他団体が合意するのはいいけれど、GGGは反対です。このことも退会に踏み切った一因ですよ」

サミット会議の案件は「事後承諾」的なものが目立ちます。東京五輪に向けた選手の強化費を5億円集める案件があって、

「あれもね、なぜ5億円が必要かの根拠を、最初に示さなければおかしいですよ。金額だけが示されて、その使途がわからない。

たとえばこんな話がありました。JGAが『世界アマ』を開催したとき、資金的に困っているという話だったので、GGGは300万円の協賛金を出しました。ところがぼくの記憶では、300万円の使途について報告がありません」

話をサミット会議に戻すと、これは17団体の会議体であり、本来は合議による合意形成が必要だけど、それがあまりなされない。意見を発しない団体も多いですね。なぜでしょう。

「それは、JGAの権威らしきものに、おののいている団体が多いからでしょう。個別の課題につきましては、いい具体策があるかもしれないけれど、事前に議論をすることなく、あたかもそこ(サミット会議)での合意事項であるかのようにハメ込むわけです。

それをサミット会議の合意事項と言ったらいかんでしょう。ですから、そのような諸々を勘案して、サミット会議はゴルフ界が抱える問題や課題を解決・改善できないのではと考えました」

つまり、退会の目的は問題提起だと。

「そう。先陣を切って警鐘を鳴らすのが目的です」

ということは、退会して終わりではなく、その先に目的がある?

「大事なことは、30~40代の若い世代でゴルフ界を改革することです。もう、我々の時代ではありませんよ。ですから、そのような意志をもつ人材や組織があれば、応援団として支えたい。

なぜなら、ゴルフはもっと近代化する必要があるからです。新しいスポーツが現われて若者の心をつかむ一方で、ゴルフにはドレスコードを含む障害が多すぎる。

ナイキがゴルフ事業から撤退したことを、ゴルフ界は真剣に受け止めるべきです。若者が参入したくなる新しいゴルフをどのように構築していくのか。このあたりを研究して、マーケティングにつなげないと先細りは明白じゃないですか」

そのような若手の集団なり「意志の塊」があれば、GGGは物心両面で応援していくと。

「そうですね。その組織は在り物でもいいし、新しく立ち上げてもいいでしょう。若者からぼくらに声が掛れば、応援したいと思います」

以上、大西理事長との一問一答を要約した。

サミット会議からの退会は、「ゴルフの近代化」に向けて一石を投じたものであり、これを契機に若い業界人の奮起を促す意図もありそうだ。

投げ込まれた石の波紋は、今後どのような広がりをみせるのか。

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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。

「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月に日本ゴルフジャーナリスト協会の会長に就任(現任)。


ほかにインタラクティービ(J:COM)番組審議会委員(現任)、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(現任)、大学ゴルフ授業研究会理事(現任)。


信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。


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