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  • 1年でゴルフ人口3割減? レジャー白書の真偽を問う

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    辞書をひくと「白書」には、「政府公式の調査報告書」という語意がある。 調査は「経済白書」や「警察白書」など様々な分野にわたっているが、ゴルフ産業の指標となるのが「レジャー白書」で、公益財団法人日本生産性本部が出版している。 これは1977年に創刊されたもので、その前書きに「国民のレジャー活動を需給両面から総合的に分析するわが国唯一の出版物」とある。 ゆえに、ゴルフ産業に携わる多くの関係者は「白書」の数字に一喜一憂するわけだが、今年7月に発刊された最新版は一喜一憂どころではなく、業界に大きな衝撃が走った。 2016年度のゴルフ人口は前年比27%減で550万人。わずか1年で210万人も消えたというから、俄かには信じられないのである。 果たしてそんなことがあるのだろうか。「白書」の信憑性を疑ってみよう。

    前年比27%減の謎

    「レジャー白書」の有効回答数は約3300人で、各種目における「参加人口」は「1年間に1回以上行った人口」と定義される。 前述のように、ゴルフ人口は最新の2016年が550万人で、前年の760万人から210万人(27%減)も減ったことになる。 シニア需要への依存度が高いゴルフ産業は、団塊の世代(1947~49年生れ)が後期高齢者(75歳以上)に突入する2024年前後にシニアのゴルフリタイアが続出し、ナイアガラの滝が現われるとの見方もあるが、これを待たず一気に210万人も減ったというから、業界が戦慄したのも当然だ。 「白書」は「政府公式の報告書」であり、「わが国唯一の出版物」だから、誰もが疑いなく信用する。それだけに今回の推計値は、ゴルフ業界の印象を悪化させ、傍目には「未来がない業界」と映ってしまう。業界への就職希望者が激減したり、異業種からの参入にブレーキが掛かると活性化に悪影響を及ぼすのだ。

    ゴルフ人口「895万人説」浮上

    このような状況で、「白書」の数字に疑問を呈したのがゴルフ市場活性化委員会(GMAC)。同委はゴルフ場、用品、練習場等のゴルフ産業5団体から構成され、それぞれの情報を持ち寄って市場の活性化を論じる組織。 「550万人説」を看過できず、独自の「三点測量」で今回の数字に異論を唱えた。 「三点測量」は、「白書」の数字だけではなく、総務省の「社会生活基本調査」と日本ゴルフ場経営者協会が発表する「延べゴルフ場来場者数」を絡め、プレー人口を俯瞰するもの。 「基本調査」は5年に一度、国民生活に関わる広範な調査を行うもので、有効回答数は「白書」の50倍以上の約17万8000人と大規模だ。今年がちょうど発表年に当たり、7月に公表された。 驚くべきは、同書による2016年のゴルフ人口は895万人で、「白書」より345万人も多かったこと。 「白書」はコース人口と練習場人口を分けており、「550万人」は前者の数字。一方の「基本調査」はコース人口と練習場人口を分けていないという違いはあるが、だとしても345万人の差は大きすぎる。 ちなみに、前回の「基本調査」は東日本大震災が発生した2011年で、同年のゴルフ人口を924万人と推計している。この年は「ゴルフ自粛」の空気が蔓延するなど市場環境は最悪だったが、その2011年と比べて昨年は29万人減(3%減)となり、緩やかな減少傾向となっている。

    利用税から見たプレー人口

    次に、日本ゴルフ場経営者協会(NGK)がまとめた「延べゴルフ場来場者数」を見てみよう。これはゴルフ場利用税の課税状況からゴルフ場来場者を把握するもので、この手の数字としてはもっとも確度が高い。延べ人数だから、1人が10回プレーすると10人になる。 10月に発表された2016年度の来場者数は8574万人で、前年の8775万人比で201万人減(2%減)という結果になった。 以上の数字を三点測量すると、ゴルファーの1人当たり年間平均ラウンド数が明らかになる。「白書」の550万人を前提にすると15回で、「基本調査」の場合は9回だ。 どちらの数字に信憑性があるかは、一目瞭然といえるだろう。

    「オレもやめようかな」

    それにしても、なぜ、今回の「白書」はここまでいい加減な数字になってしまったのか。GMACの配布資料によれば、「白書」の制作者のコメントとして、 「参加人口が100万人以上減った種目は少なくない。ウォーキング(280万人減)、ジョギング・マラソン(170万人減)など、ゴルフだけが異常に減少しているのではない」(要約) ということだが、仮に他の種目が大幅に減ったとしても、そのことが「ゴルフ人口210万人減」の正当性を裏付ける証左になるはずもない。 衝撃の数字を真に受けた一部のメディアが「ゴルフ消滅」の論調を展開し、さらに多くのゴルフ業界関係者も「深刻に受け止める必要がある」などと警鐘を鳴らすが、的外れの指摘といえるだろう。 むろん、ゴルフ人口は確実に減少しており、市場の活性化を図るには若者需要の創造や女性ゴルファーの開拓など、やるべきことは山積している。が、だからといって「白書」の数字を鵜呑みにして、いたずらに危機感を煽るのは問題だ。 そろそろ、ゴルフ界が主体となって独自の「推計値」を発表する時期にあるのかもしれない。 その手法は、NGKの「延べ来場者数」を母数にして、1人当たりの平均プレー回数で割ればゴルフ人口が類推できる。平均回数は、大手ゴルフ場チェーンが蓄えているデータを開示してもらえば参考になる。これとは別に、様々なインターネット調査で「ゴルフ参加率」を弾き出せば、対象人口との兼ね合いで推計できる。 業界が独自の数字をもたず、第三者機関の言いなりになっていることは問題だ。 最悪の展開は、ゴルフは斜陽スポーツとの認識が定着し、 「4人に1人がゴルフをやめた? じゃあ、オレもやめようかな」 そんな空気が伝染することである。市場は「ナマモノ」だけに、余計なマイナスイメージは払拭する必要がある。
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