「今の段階では、長さ規制に関わる新しいことは何も決まっていません。関係者の皆さんは、これまで通りの状態、手順で進めてもらって結構です」
世界のゴルフ規則を統括する英R&Aは3月24日、ジャパンゴルフフェアの期間中に「用具規則フォーラム」を開催した。最高技術責任者のスティーブ・オットー博士(用具規則ディレクター)が登壇して、近況報告を行ったもの。
冒頭のコメントは、本誌が質問したクラブの「長さ規制」についての回答だ。同氏は昨年3月、ゴルフ規則の長さ規制を現行の48インチ以下から「46インチ以下」にする考えを明らかにしたが、「白紙撤回」ともとれる内容をサラリと話した。
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それにしても、この間、何があったのか。
昨春のこのフォーラムでは、「近い将来の導入」を示唆しており、以後、国内の業界関係者は成り行きを注視してきたが、肩透かしをくらった印象だ。「46インチ案」が採用されれば、開発コンセプトを根底から変えなければならないメーカーもあるなど、頭を悩ませる開発担当者は多かった。が、一転、元の鞘に納まった格好である。
オットー博士に聞いてみた
このあたりの状況について、本誌はオットー博士に質問した。以下、一問一答を再現しよう。
以上、オットー博士との一問一答を掲載したが、コメントからは同氏の苦衷が察せられる。拳を振り上げてみたものの、その落としどころを探しあぐねている印象で、規制した場合の影響を俯瞰視する姿勢を強調している。
とはいえ、R&Aが昨今の飛距離アップに大きな懸念を抱いていることは変わらない。
「我々は、世界のツアーにおけるドライバーの飛距離を継続的に調査しています。これによると、昨年は前年比で平均3ヤード伸びており、JGTOに関しては7ヤードほど伸びていることが確認されました」
そのような流れで、R&Aの関係者は3月中旬、宮崎県で開催された「アクサレディス」の練習日に足を運び、2日間で111名の選手に対して121本の反発係数を調べたという。
「その結果、いくつかの問題点が見つかりましたが、全体的には少なかった。(不適合が確認された選手は)別のクラブに交換して、全員が適合クラブで試合を行いました。このような調査は今後、増やしたいと考えています」
飛距離アップを抑制するには、ボール規制の強化が有効とされているが、クラブの長さも大事な要素のひとつ。今回は取り敢えず断念したものの、予断を許さない状況だ。
ただ、R&Aは過去、一方的に規則を変更する姿勢が目立っていたが、日本の業界関係者と積極的にコミュニケーションを図りたいとの意思を示している。このあたりは一歩前進といえるかもしれない。