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  • 相性のよいインストラクターと出会えるサービス

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    どのような趣味にせよ、それを楽しむには「上達」が必要だ。特にゴルフは、上手くならないと苦しいだけ。 ゴルフ用具を買い揃え、念願のコースデビューを果たす。そのスターティングホール、後続の見知らぬ組が見つめる中、記念すべき第1打が空振り。頭が真っ白になってしまう。 うしろからこんな声が聞こえてくる。 「あ~、今日は時間が掛かりそうだなあ」 これだけで、二度とゴルフなんかしたくないと思うはずだ。 そのような苦痛を和らげるには、素晴らしい指導者との出会いが必要だ。単にスイングを教わるだけではなく、コースでのラウンドレッスンでは後続組に一声を掛けてくれたり、スクランブル方式の採用で楽にプレーできたりなど、インストラクターの気遣いによっては楽しくゴルフを体験できる。 「だけど、相性が合うインストラクターと出会うのは意外と難しいんです。スクールに入って、別の指導者がいいと思っても、『先生を違う人にしてください』とは言い難い。不満を感じたままだと長続きしませんから」 そう話すのは、ゴルフ専門チャンネルを運営するジュピターゴルフネットワーク(GN)の細野ハヅ季マネージャー。 「ですから当社は、そのような初心者の悩みを解決するサービスをはじめました。『GNワンタイムレッスン』というものです」 一体、どのようなサービスなのだろう。

    「放送外収益」に注力する事情

    具体的な内容を見る前に、ゴルフ専門テレビの同社がレッスン事業に参入する背景を説明しよう。 同社の設立は1996年6月で、出資者に大手ゴルフメーカーが名を連ねるなど「業界のテレビ」として開局した。しかし、衆知のように放送業界は、インターネットテレビの参入で大競争時代に突入。コンテンツの争奪戦が激化して、前田鎮男部長(経営戦略部)によれば、 「ツアーの放送権料の高騰など、厳しい交渉をしています」 そこで、新たな可能性を模索するために「放送外収益」への注力を決めた。前出の細野マネージャーは、 「業界の現状を変えたいと思っています。変えなければゴルフ人口は増えないし、我々の存在意義も問われてしまう。そこで新企画を立ち上げたのです」 今年1月に始動した「GNワンタイムレッスン」がそれだ。 いわゆる「空き枠ビジネス」というもので、インドアスクールの空き枠情報をまとめて専用サイトに掲載し、スマホで検索、予約や支払いを一度にできるシステムだ。様々なレッスンを1回ずつ体験でき、気軽に比較検討できるのがウリである。 発想のきっかけは昨年1月。細野マネージャーが都内のインドア施設を訪問したら10打席の室内は閑古鳥で、スタッフ3名が手持無沙汰の様子だった。 「この状況を改善できれば施設に需要も生まれるし、『放送外収益』につながると考えました」 事業モデルはこうだ。GNはまず、インドア施設から月間30枠を無料で提供してもらう。生徒が払う金額は1枠50分間で1人3000円、4名のグループレッスンで1万2000円となり、これがGNに入る仕組み。 一方、施設側のメリットは「まとめサイト」への掲載でPR効果を期待でき、新規顧客の獲得につなげられる。そのスクールの生徒になればGNへの支払いは発生せず、新たな収益がすべて施設に入る。 当初は50施設からはじまったが、今夏を目処に「関東100施設」を目指すという。

    無名の指導者に光を当てたい

    面白いのはここからだ。細野マネージャーが「業界を変えたい」と意気込む仕掛けが用意されている。 「これは単なる空き枠ビジネスではなく、体験者の口コミでインストラクターの評価を公開するのが特徴です。ゴルフスクール版の口コミサイトですね。これにより安心してスクールを選べれば、市場の活性化につながるし、努力しているインストラクターが評価を高めることで競争原理も働きます」 背景には、レッスン業界の旧態がある。この市場は120億~150億円規模と推計され、9000人超が働くと見られる。最大の組織は約5700人の会員を有する日本プロゴルフ協会だが、これに日本女子プロゴルフ協会や全日本ゴルフ練習場連盟、その他多くの団体が指導者のライセンスを発効しており、最近は日本プロドラコン協会など「飛ばし重視」の指導者団体もある。 要するに「レッスン団体」は群雄割拠で増加中。これに比べてゴルフ人口は減少の一途だから、インストラクターが余るのは当然だ。近年は都内を中心にインドア施設が増えており、優秀なインストラクターの争奪戦が起きているが、先述の数字に表れるように全体的には「稼ぎ難い職業」になっている。 その反面、いわゆる「ツアープロコーチ」という職業がゴルフメディアと一体的に創造され、人気コーチを生み出してきた。ここでは高額なレッスンが成立するなど、一部有名コーチに富が集まる構図なのだ。前出の前田部長は、 「ですから当社の『口コミサイト』はメディア主導型ではなく、一般の声を反映させたいのです。ツアープロコーチを否定するわけではありませんが、地道に努力している指導者は正当な評価を受けるべきですよ。それができれば、レッスン市場の底上げやゴルフ人口も増えるはず」 日々の努力が報われないレッスンプロに、評価サイトで光を当てたいと力説する。逆に「悪口」を書かれることもあるが、その点を含めて賛同施設に理解を求める。 これが普及すれば、指導者の人気ランクも面白そう。評価項目に「接遇マナー」を加えれば、昼食に餃子は確実に評価を下げるだろう。ゴルフクラブ購入のアドバイスやフィッティング、ラウンドレッスンでの評価など、一般の声を反映させた表彰制度も面白い。
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