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  • ゴルフ場経営は構造的に儲からない ゴルフ産業を創った男(11)

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    月刊ゴルフ用品界(GEW)2005年1月号~2006年3月号に掲載していた大西久光氏の「シリーズ温故知新」をウェブ用に再編集したものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。なお、写真は文章と直接関係ありません。
    大西久光氏が語るゴルフ産業史回顧の11話目は、ゴルフ場経営が儲からない構造的な理由を明らかにする。 極めて単純な表現をすれば、ゴルフ場の客単価1万円、年間来場者4万人として、年商は4億円。30万坪規模の広大な土地を持ちながら、ゴルフ場の売上は中小企業と変わらない。それにも関わらず、ゴルフ場利用税を含む各種税やコストが重くのしかかるため、ゴルフ場ビジネスはキャッシュフローを生み出しにくい事業といえる。 むろん、年会費や会員権の名変料などの「余禄」はあるが、現在の事業形態を前提とすれば宿命的な困難を背負っており、大西氏はこの点に鋭く迫る。なお、文中の数字はいずれも2005年当時のものであることを留意願いたい。 昨今、ゴルフ場を巡る環境は劇的に変化しています。外資系の参入やネット予約、過剰なダンピング合戦など、ここ数年の様変わりは枚挙にいとまがありません。そこで今回は改めて、ゴルフ場ビジネスとは何かを考えてみたいと思います。
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    2018年07月30日 19時59分
    結論から言えば、ゴルフ場は収益性の高いビジネスモデルではありません。先月号で日本独自の錬金術ともいえる「預託金」の功罪について触れましたが、このシステムがなければ国内に2500コースもできなかったし、その後、利益創出に苦しむゴルフ場が沢山現れたことにも明らかです。 再度言いますが、預託金は錬金術だった。こういった邪(よこしま)な部分を除いて実業ベースで見てみると、ゴルフ場経営は収支計算から始まったビジネスではなく、ゴルフ界独自の「文化論」から発祥している。そういったことが言えるはずです。 この表現はちょっとわかりにくいかもしれませんね。詳細は今後説明するとして、まずはゴルフ産業が盛り返すための考え方を説明しましょう。

    「2007年問題」の逆利用

    最大のポイントは、1人当たりのプレー回数を高めることです。ゴルフ界の将来を否定的に語るひとは、これ以上ゴルフ人口は増えないはず、だから危機的な状況だと言いますが、あくまで応急処置的な観点として考えれば、仮にゴルフ人口が減ったとしても1人当たりのプレー回数が増えれば持ち直せる。 たとえば現在の料金は、以前の9回分で11回プレーすることが可能になった。つまり、今のゴルフ人口でも平均2回ほど増やせれば、ゴルフ場にはかつての活況が戻るはずです。 1人当たりのゴルフ支出は年間17万円(2004年推計値)で、大雑把にいえば用品2割、プレー8割になっています。ベースとなるラウンド需要が好転すれば用品など関連産業にも影響が出る。特に消耗品のボール需要等が高まるはずです。私のことを楽観論者というひともいますけど、考え方としては間違ってないと思いますね。 2004年度の余暇市場を調べた「レジャー白書」によれば、同年のゴルフ人口は1030万人で、年間支出額は1人当たり16万9500円だったという。内訳は用具代が26%、プレー代が74%で、大西氏の指摘とほぼ一致する。ゴルフ用品市場は4370億円で、球技スポーツ用品の66%を占めている。 で、肝心な話、プレー回数を増やすには「時間」と「お金」が二大要素になります。お金は過当競争によるプレー料金の低下などで、ゴルファーの環境はむしろ好転している。問題は時間で、レジャーの多様化が進む昨今、ゴルファーのモチベーションを高める施策が必要になります。 その際、ゴルフ場の魅力をどのように構築するかを考えなければいけません。たとえば直近の課題として「2007年問題」があります。これは1947年生まれを第一陣とした団塊の世代が定年を迎えることで、時間とお金を持つ膨大な消費集団が現れることを意味します。 様々な産業が狙っているわけですが、こういった文脈でゴルフ場を考えたとき、方向性は2つです。ゴルフにステイタスを求めるハイエンド層と、大衆化を前提にした健康志向。特に法人会員でプレーをしていた人々は定年退職で権利が失効し、友人とも疎遠になりますね。個人の老後を考えれば非常につらい局面ですよ。 だとすれば、今後の会員メリットはロータリークラブと同じようなサロンです。コミュニケーションの磁場になる役割も求められるでしょう。

    面積の3~4割が借地のところも

    ただし、すべてのゴルフ場がサロンを目指せるわけではありません。ゴルフ場のグレードをABCでランク分けすると、鷹之台や戸塚、小金井などは以前よりも会員権相場が上がっており、サロンとしての役割が期待できます。これらAクラスのゴルフ場は、全体の20%ぐらいではないでしょうか。 その下のBクラスは相場が横這いで全体の30%、下落しているCクラスが50%ほどと推計できます。今後、新しいコースが増える要素はありませんから、Cクラスが経営難に陥ると、プレーするゴルフ場が急減して、一気に産業規模が縮小する可能性も否定できません。 ゴルフ場業界が抱えるもうひとつの問題は、土地が「虫食い状態」になっていることです。実は、ゴルフ場の経営会社は100%自社の土地で運営しているところは少なく、面積の3~4割が借地というケースも珍しくありません。そのため経営の圧迫要因になるのが借地料で、地主へ払う借地料が年間3億円なんて話も聞いたことがあります。 契約期間は5~10年が一般的ですが、こういった諸々の要因を含め、全国レベルでは約500コースが潜在的問題を抱えていると想像できます。返還するのか、継続するのか。継続ならばどのように借地料を払うのか。これは将来にわたる問題といえるでしょう。 ゴルフ場業界では、民事再生となった事業者が、再度、経営破綻に陥ることも懸念される。預託金の返還は減免されたが、プレー料金の値引きによるゴルファーの獲得合戦が収支バランスを悪化させ、極端にキャッシュフローが悪化している。 これに借地権等の問題が絡むなど、経営基盤は脆弱なのだ。特に80年代後半に開場したゴルフ場の苦戦が目立つのだが、大西氏が住友ゴム工業時代に関わった施設も幾多の荒波を被った。多少の資本参加まで含めれば青木功GC(兵庫、会社更生法)、さくらんぼCC(山形、売却)、ザ・オークレットGC(岡山、共同経営)。なかにはザ・サイプレスGC(兵庫、特別清算)のように再建中の施設もあるが、いずれも経営難に苦しんだ。

    ゴルフ場のコスト構造

    私が住友ゴムにいた当時、様々なゴルフ場案件が持ち込まれ、結果的に苦戦したものも多かったですね。時代の熱気もありましてね、たとえば青木功GCには住友の資本が10%しか入らなかったものの、オーナーが一気に走ってしまい、引きずられる場面もあったわけです。 兵庫県のサイプレスは、私がオーナーから設計を頼まれて、ゴルフ場の専務理事まで務めました。残念だったのは、千葉で開発していた系列コースが苦戦して、その余波をサイプレスが被るなど、不測の事態で特別清算に陥ったことです。 会員の皆さんには0.5%の清算配当を行い、さらに0.5%を株式に換えてサイプレスクラブという受け皿会社を設立した。それでゴルフ場を15億円で譲り受け、前の会社は破産手続きをとりました。 しかしその後、会員権の価値は当初の0.5%から40%(2005年当時)に戻っています。会員は450人ですが、最近800万円で募集して新たに10人が入りました。もちろんエクスクルーシブだからオープンマーケットではありません。 サイプレスの株を評価してもらえたことは率直に嬉しいし、再建にも力が入ります。最終的には850人以内の株主を予定しており、そのときの事業計画は、会員とゲストで年間入場者は3万人まで、平均単価は2万5000円で年商7億超、税引き前利益が2割という青写真を描いています。 再生計画のポイントは、倶楽部ライフの魅力作りとコストカットによる黒字化に尽きます。最上級のサービスで顧客満足度を高めれば、必ず再生できると思っています。 ただし、一般論で申し上げると、ゴルフ場経営は多くの足枷があり、収益性は良くありません。全国のゴルフ場売り上げを入場者数で割ると1人当たり1万1500円ですが、このうち固定資産税、消費税、ゴルフ場利用税が2500円にもなっている。 残りの9000円に対してキャディーフィが3000円、メンテナンス費が2200円。余った3800円で人件費や水道・光熱費、事務所やレストランなどを賄っている。大阪の茨木CCは固定資産税だけで3億円も徴税されますが、年間入場者は6万人だから固定資産税だけで1人5000円の計算です。とんでもない負担になるわけですよ。 年に数ヶ月もクローズする降雪地帯のゴルフ場が厳しいのは当然ですが、それ以外の地域でも突発的な豪雪でクローズを迫られると、日銭が入ってこなくなる。天候要因を考えると、非常にリスキーなビジネスと言えるでしょうね。 先述したランク分けで経営状況を判断すると、Aクラスは年会費を入れて客単価が2万円。Cクラスは単価1万円で年4万~5万人の入場者が前提となり、Bクラスはその中間です。Cクラスをボトムラインにした場合、ここから外れたゴルフ場は経営の持続性が難しいと思います。
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