台風からタトゥーまで ゴルフ場経営の苦難語るNGK手塚理事長
ゴルフ場経営の泣き所は、お天気次第であることだ。温暖化の影響で大型台風や豪雨が頻発、これによって土砂崩れや崩落が発生すれば「大概は保険がきかないから大変です」と、日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の手塚寛理事長は語る。
NGKは、全国200以上のゴルフ場経営者が集まる団体で、国内唯一の「経営者組織」。ゴルフ界には、日本ゴルフ協会を筆頭に多くの組織があるが、いずれも競技会を主催する「競技団体」の性格が強く、経営問題を話し合うのはNGKだけ。
近年は人手不足の解決が急務で、インバウンド需要の高まりに際しては「外国人のタトゥーも悩ましい。宗教や文化的な価値観が違うだけに、対応を考える必要がある」と、多くの難題を抱えている。
ゴルフ場経営の今について、手塚理事長に話を聞いた。まずは今年の酷暑や台風の問題について振り返ってもらう。
他業界と外国人労働者の争奪戦
次に人手不足問題に焦点を絞ろう。この点について手塚理事長は、
「今にはじまったことではありませんが、都市部へ人口が集中し、地方の過疎化が加速している。そういった流れが直接響くのがゴルフ場の人手不足問題です」
これを解決するためにNGKは、経産省に対して外国人労働者の就労枠にゴルフ場を入れてほしいと働き掛けている。が、この面で先行している建設・介護・コンビニ業界等に遅れを取った印象があり、さらには韓国等も外国人労働者の受け入れに必死など、熾烈な争奪戦が起きている。
同時にゴルフ場運営の「無人化」も視野に入れるなど、経営方式の転換を迫られている。このあたりの状況を具体的に尋ねてみた。
女子率2割のゴルフ場もある
次にゴルフ界の課題である若者や女性需要の開拓について聞いてみた。各業界団体(ゴルフ場、練習場、用品等)は横の情報交換を促す会議体を設けているが、それ自体が「老朽化」しており、新しい発想が入りにくいという指摘もある。
代表的な組織は、関連16団体が加盟する日本ゴルフサミット会議だが、女性の参加は日本女子プロゴルフ協会だけであり、「レディス開拓」を話し合うには心もとない。手塚理事長は、新しいエッセンスで新風を吹き込みたいと語るのだが、さて、どのように?
活性化は楽しみながら!
来年1月1日、ゴルフ規則が大幅に変わる。ゴルフは「時間が掛かる」「ルールが難解」との指摘があり、これを解決することでプレー人口の拡大を図るのが狙い。とはいえ、残り3ヶ月の現段階で、新ルールは周知徹底されておらず、混乱が起きそうな気配もある。
また、インバウンド需要の高まりから、訪日外国人のプレー需要が見込めそうだが、障害のひとつに「タトゥー」の問題もある。これに対する考え方を含め、手塚理事長の想いを聞く。