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  • 「JGTOを株式会社にして上場せよ」三田村昌鳳氏大いに吠える

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    日蓮宗の僧侶(逗子・法勝寺住職)にしてゴルフジャーナリスト。三田村昌鳳氏にはふたつの顔がある。その特異な立場から著した代表作が「ブッダに学ぶゴルフの道」。他の記者とは一線を画した目線が持ち味だ。 その観点で「JGTO株式会社構想」を口にする。今年10月、米PGAツアーの「ZOZO選手権」(習志野CC、千葉県)が開催され、これによって国内男子ツアーの不人気に拍車が掛ると懸念されるが、 「PGAツアーの上陸は、国内ツアーを再整備する起爆剤になる。そのためには、JGTOを株式会社にして、上場を目指すぐらいじゃないと」――。 諸事、急進的な三田村語録。今年2月に古希を迎えたが、舌鋒は錆びる気配がない。 (聞き手・片山哲郎)

    日本人プロは体力がない

    片山:いよいよ10月、PGAツアーの「ZOZO選手権」が上陸します。すると、JGTOの試合が貧相に見えるという懸念もある。どうでしょう。 三田村:まあ、日本の選手は身長がないし、松山ら一部の選手を除いては世界で戦えてない。大きな理由は身体能力が低いことですよ。能力が高い人間はプロ野球とサッカーに行きますから、この点は大きいと思いますね。 それと、ゴルフは身体能力プラス頭脳が大事で、ゲーム運びの能力を含めて頭と心が大事です。そのためアメリカの選手はスポーツ心理学的なカウンセリングを受けていますが、日本人にはそのイメージがなくて、社会的な風潮としても、心療内科への通院を躊躇う空気があるじゃないですか。 片山:ただ、日本でもメンタルケアを取り入れる競技は増えてますが、なぜゴルフは遅れているのか? 三田村:日本のゴルフ界はどっかで止まってるんだよね。少年期にいろんなスポーツをさせて身体能力を伸ばす必要があるのに、それをやらない。人間性も欠落している。 なぜ欠落したかといえば、ゴルフを選択する子供は親がゴルフ好きだったり練習場の息子とか、ほかにライバルが少ないから球を打たせてれば何とかなった。ある種の温室育ちというか、運動能力の高い子と鎬を削る経験も乏しいわけですよ。 それと、心理学や身体面、物理的な話を含めていろんな学問が発達したけど、これを取り入れてこなかった。 片山:その面でいうと、制度の問題もありますね。ゴルフは親の金銭的負担が大きいわけですが、アマ規定のシバリもきついからほとんど全額負担になってしまう。 これを解決するには、アマがプロの試合でもらえたはずの賞金をアマ基金にプールして、再分配すればいいと思うんですよ。裕福な家庭は外して、親の収入証明をつけるとか。 三田村:それはいいアイデアだね。そもそも昔はアマがプロの試合で活躍すると、アマの順位の賞金はスポンサーが出さなかったわけですよ。 たとえば中部銀次郎さんが2位だったとすると、2位の賞金は出なかった。優勝、3位の賞金で、今みたいに3位のプロが2位の賞金を繰り上げでもらうことはなかったわけです。それで、コワモテのプロ連中が中部さんに『俺らの職場を荒らすな』と凄んだりしてね(苦笑)。 片山:それでプロがアマの賞金を繰り上げでもらうようになった? 三田村:それはよくわからないけど、いずれにしても今の時代、有望な子供をもつ親の経済的負担を考えれば、アマが得られたはずの賞金をアマ基金をつくって、そこにプールして配分する発想は有効だと思う。アマ資格は個人に対する縛りだから、団体や学校への寄付は問題ありません。 片山:親は金が続かないから焦って子供を叩く。子供は叩かれたくないからスコアを誤魔化す。いわゆる「消しゴム問題」も、基金があれば解消するかもしれない。アマが勝って2位のプロが優勝賞金をもらうこと自体みっともない話ですが、なぜ、アマ基金設立ぐらいのことができないのか? 三田村:そうだねえ。アマ基金をつくるならJGA、PGA、JGTO、LPGAが横連携する必要があるんだけど、縦割りというか、縄張り意識が強すぎて全体的な構想が描けない。それが一番の問題で、時代は確実に変わっているのに、自分達のやり方でいいと思い込んでるわけですよ。 ところが外の世界は激変していて、GAFA(ガーファ=グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)の登場に見られるように国家も旧態依然じゃ立ち行かない。ビッグデータの流れで言うと縄張りなんかないですよ。縄張り意識をもってる組織は、世の中から置き去りにされてしまう。

    縄張り意識が諸悪の根源

    「JGTOを株式会社にして上場せよ」三田村昌鳳氏大いに吠える 片山:GAFAの事業規模は中進国のGDPを超えているし、税制面でも国家の縛りが効かなくなっています。強固な思想とインフラでプラットホームを作った企業が、超国家的な力をもつ。 三田村:その流れで日本のゴルフ界を見わたすと、平成も終わるこの時代に昭和初期の人間が頑張ってますよね。ぼくは本来、各種ゴルフ団体をフェデレーション化すればいいと思うんだけど、縄張り意識が強くて組織を守ろうとする。その意識たるや非常に強固なわけですよ。 片山:社会構造も昭和と平成ではまったく違いますね。昭和は工業社会、平成はサービス産業社会だから、投資構造や労働の概念も変わってくる。 三田村:まず、会社の在り方がまったく違うよね。昭和の会社はおっしゃるように身動きが取りにくいわけですよ、精神的にも構造的にも。その一方で平成の会社は平気で潰したり企業そのものを売り買いする。 つまり昭和と平成では、物事を生産するって発想が根本的に違うのよ。特にIT系の発想は、面白いことをどうやってマネタイズするかでしょ。 片山:特にIT系はパリピ(パーティーピープル)のノリですね。ちょっとした発想を低資本で事業化する、失敗の損失も軽微だから「取り敢えずノリでやっちまえ」と。一方、昭和的なメーカーは土地買って工場建てて、減価償却を計算する。 三田村:そう、まったく違うよね。今のゴルフ業界も動画系のサイトとか、新しいモノが少し入り混じってきたけれど、結果的には弾けてない。弾けられない理由はね、5年先の立体感をイメージできないからだとぼくは思う。

    JGTO株式上場構想

    片山:さっきの質問に戻ります。 三田村:なんだっけ(笑)。 片山:本場のツアーがやって来てJGTOが貧相に見えないか。それでスポンサーが離れないか? 三田村:というか、ぼくは逆にPGAツアーを日本で年間3試合ぐらいやっていいと思うんだよね。 PGAツアーを三角形の頂点とすれば、その下の階層をどんな仕組みにするのか、さらに海外の試合に向けてどんな階段を作るべきかをイメージできるじゃないですか。過去からの流れで言えば、日本は偉大なるローカルツアーでいいと思う。 片山:「偉大」って何ですか。 三田村:堂々とやるってことですが、大改革をするならば、違うビジョンが必要だろうね。 片山:観念的すぎてわかりません。 三田村:だから、JGTOを株式会社にするとかって話ですよ。金を募って事業化して、最終的には上場を目指す。その上場益を選手に還元する、放映権も確立するとかね。 それでキャッシュフローができればサッカーのJヴィレッジじゃないけれど、自前のトーナメントコースが持てるでしょ。トレーニング施設や各種指導者も揃えられるし、ジュニアも利用できるようにする。つまり、抜本的に違う考え方をしなきゃダメって話ですよ。 片山:それは米国流ですね。PGAは二束三文の土地にトーナメントコースのTPCを作って、さらに周囲を宅地化した。不動産開発で莫大な利益を生み出してます。 三田村:そう。株式会社になれば自由な発想で事業ができるし、するとJGTOも有料の専門チャンネルを放映できるようになる。月額900円で年間1万円、視聴者が30万人で30億円でしょ。 これを原資に映像や出版やアプリもできる。という考え方をすると楽しいじゃない(笑)。今は一般社団法人だし、組織的には(プロゴルファーの)同窓会みたいなもんだから非常に脆弱なわけですよ。 片山:JGTOの体質は石川遼の立場に表れてますね。選手会の会長は労働組合の委員長、JGTOの副会長は企業側の副社長。その二律背反を彼が一身に背負っている。 三田村:そうそう(笑)。 片山:JGTOの運営費は選手が得た賞金のトップオフ(賞金の3%を機構に運営費として上納)と年会費等で賄われる。選手会はJGTOに理事を入れて、場合によっては会長を罷免できる。機構と選手会はどっちが強いんですか。 三田村:それは、どうだろうねえ(苦笑)。 片山:選手の年金は? 三田村:ないない。だから株式会社にすれば社会保障も整備できるし、利益が出れば配当もできる。アメリカのPGAツアーは活躍すれば年金が数十億円になるけれど、査定は優勝を含むポイントのほかにメディアへの露出度も加算される。 これをビッグデータに放り込めば、かなり細かく査定できるだろうね。 片山:JGTOもそうすべき、だから株式会社にするべきだと。 三田村:すべきというか、オレだったらそうしたいと。だって、JGTOのコンテンツはかなり強いわけですよ。選手がいて試合を主管する権利もある。その上で5年、10年先の夢を描ければ、さらにGAFAみたいなところと連携できればね、もの凄い青写真が描けるじゃない。 そのための道筋としては、まず、スポンサーを用意する必要がある。ソフトバンクの孫さん、ユニクロの柳井さん、楽天の三木谷さんとか・・。よくわからないけど10億20億は集める必要があるだろうし、集めるには魅力的な事業計画が必要になる。

    JGTOはF3000

    片山:事業計画は内部の発想じゃ無理でしょうね。改革は自己否定を伴うし、今の生活を考えればどうしても守勢に回るのが人情だから。 三田村:そうですね。ただ、昭和からのスポーツ団体は総じて自分だけでやろうとするけど、GAFAみたいな在り方が主流の現代では他の組織との連携が不可欠ですよ。 PGAツアーは北米以外の放映権をディスカバリーに高値(推定12年契約2200億円)で売ったし、要するに抱え込む発想じゃなくて連携して広げるのが大事なんだけど、業界的発想のひとは外側で何が起きてるかわからないから、今の組織、今の人員、今の発想でどうにかしようと思ってる。それは無理です。 片山:改革のために第三者委員会を設けて、ドラスティックな青写真を描く? 三田村:第三者委員会というか、株式会社設立準備委員会だろうね。そこにはIT系、例えばグーグルの人間やゴルフに関係ないクリエーターに入ってもらって。 それと、少なくとも選手会の200名程度は社員持ち株会のメンバーになればいい。トップオフは取られるばかりで選手へのリターンがない。その分を株券でもらえば納得できるし、事業が軌道に乗ってくればトップオフを運営費に充てる必要もない。選手は株主であり商品という意識を持たせて、業績が悪い社長はクビにする。 片山:で、先ほどの話ですが、PGAツアーが来襲すると国内ツアーのスポンサーは撤退する? 三田村:ぼくは、それはないと思う。 片山:その根拠は何ですか。 三田村:日本だから、まずないと。 片山:三田村さんは楽観主義者? 三田村:いやいや(苦笑)。黒船も最初はガタガタしたし、明治維新も紛糾したけれど、結局、日本人には対応能力があるじゃない。だから日本ツアーも対応していくと思うんです。 片山:ですから根拠は? 三田村:今のJGTOは脆弱だけど、マズイと思って動くでしょ。 片山:誰がですか、青木さん? 三田村:だから今の人間じゃダメですよ。 片山:今のじゃダメって、PGAツアーが来るのは秋ですよ。黒船の来襲まで時間がない。 三田村:そのことを含めて、流れに押される部分があるわけでね。会長の青木さんが動くとか能動的な変化じゃなくて、もっと受動的な変化ですよ。 片山:なんかわからない。何ですか? 三田村:だからさっきも言ったけど、オレはPGAツアーが日本で3試合ぐらいになればいい、そうなるとこれはF1だと。すると、その下にF3000があるように階層が明快になってくる。 PGAツアーの下にJGTOのレギュラーツアーがあって、その下に1県1大会を賞金5000万円ぐらいで作れば、総コスト1億円のトーナメントになる。これぐらいなら地産地消型で行けると思うし、さらにその下にAbemaTVツアーやQTが連なってくるじゃない。 片山:それでヒエラルキーが出来上がる。地産地消の1億円大会の場合、地元企業が1社200万円×50社で成立するし。 三田村:そう。つまりZOZOが来ることの本質的な意味は、三角形の頂点が見えるわけだから、これを基点にその下を整備できるところにある。それぞれの階層についてはね、勝負の世界だから格差はあって当然です。 片山:なるほど、組織の内側で鳩首会議をゴチャゴチャやるより、「外圧」の方が効果的だと。受動的変化というのはその意味ですね。換言すれば、積極的受容というか。 三田村:それをさっきから言ってるわけ(苦笑)。現状の発想じゃ意味ないし、ゴルフを媒介にしたコンテンツならeスポーツも面白いでしょ。それぐらいの発想をしなきゃダメですよ。

    eスポーツとの連動も!

    「JGTOを株式会社にして上場せよ」三田村昌鳳氏大いに吠える 片山:実は、そこは一番ホットな話題ですね。今秋の茨城国体が初めてeスポーツ(サッカー)に踏み切ります。Jリーグとコナミが主導して。 三田村:そう、アレはかなり大きな話だよね。eスポーツのサッカーはアジア大会もやっているし、格闘技系のゲームは賞金数億円の大会もやっていて。 片山:特に韓国の熱が凄いですね。引きこもりでゲームやってた子供に「学校行けッ」て叱ってた親が、プロゲーマーになって賞金を稼ぐと「もっとゲームをしなさい」って(笑) 三田村:そう、韓国の熱は凄いよね。で、面白いのは一昨年の日本アマに勝った大澤和也で、彼がゴルフを始めたきっかけは『みんゴル』なんだってね。親はゴルフをしてなくて、彼いわく「ですからボク、『みんゴル』めっちゃ上手いですよ」って(笑) もう、そういう時代なんですよ。彼はこれまでとは違うゴルファーの誕生の仕方だし、GAFAと連携するぐらいの発想をもたないと、時代の変化についていけない。もうね、業界の発想じゃ無理なんですよ。 片山:ゴルフをもっと観念的なコンテンツとして捉える必要もありますね。石川遼が「みんゴル選手権」に参加したり、賞金も出せばeスポーツとの接点ができる。 三田村:eスポーツはアマチュア資格も関係ないしね(笑)。 片山:そういった動きを各所で進めれば、何かの化学反応が起きるはずで、その連続性が「新しいゴルフ」を生み出していく。「レジャー白書」はゴルフ産業をコース、用品、練習場からしか見てませんが、むしろ外周円の外が活発です。 三田村:そう。要するに、ゴルフじゃないから俺達に関係ないと思うこと自体がダメなんで、どうやったらGAFAと連携できるのか、彼らに魅力的だと思ってもらえるのか、そこの発想力なんですよ。 JGTOは選手の肖像権とトーナメントを主管する権利を握ってるから、ほかは絶対に真似できない。そこに圧倒的なアドバンテージがあるわけだから、この資産をどうやって効果的に広げられるか。今後の大きな課題でしょう。 片山:それを三田村さんが取り仕切る? 三田村:オレはもう70だから、20~30代に振らなきゃダメですよ。平成が終わるこの時代に、昭和の人間じゃ話になりません(笑)。 合わせて読みたい
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