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ISPS半田会長「宗教とゴルフ」の在り方を熱弁

ニュース 社長の記事 片山哲郎

国際スポーツ振興協会(ISPS)は今夏、日本プロゴルフ協会(PGA)のシニアツアー2試合とチャリティゴルフ大会2試合を開催、総額1億4500万円の賞金を投じた。

今季国内ツアー初の「有観客試合」であり、入場無料でパンやアイスキャンディの食べ放題など、コロナ禍で萎縮する人心を晴らすことが目的だった。さらに10月には日本ゴルフツアー機構(JGTO)との共催でチャレンジとレギュラーで各1試合、3日間のチャリティトーナメント(賞金合計7600万円)を開催する。

6試合で総額2億円を超える賞金は、コロナで多くの試合が消滅したツアー界にとっては干天に慈雨。一時はJGTOの対応に不満を持ち、高額賞金大会のスポンサーを下りる一幕もあったが、公式の謝罪を受けたことで10月の共催が決まったもの。

そのISPS、宗教法人ワールドメイトとの関係が深く、半田会長は教祖名・深見東州として出版物も多数。起業家として10社以上を興す一方で画家、演劇の上演など活動は広範だ。

何者ですか? 「神道に基づく社会活動家です」

神社神道に基づくワールドメイト、スポーツ振興を目指す一般社団法人ISPS、これを取り巻く企業集団。その全貌を8時間にわたり様々な角度から取材した。(GEW・片山哲郎)

ISPSの成り立ちとは?

ISPSは今季国内ツアーで初めて「有観客試合」に踏み切りました。各スポンサーが二の足を踏む中で先陣を切った格好ですが、どんな組織なのか、まずは概略を教えてください。

「わかりました。ISPSはスポーツ振興を目的とする一般社団法人ですが、我々を支持する会員が640社ほどありましてね、トーナメントのパンフレットを見てください。沢山広告が出てますよね。こうして社名を載せると広告費で落とせるので、今回の大会もこのような形で支援してもらっています。

もちろんそれだけではありませんが、多いところは1000万円とか500万円、それから300万円、100万円、50万円といった感じで応援してくれるわけです」

つまり、支持会員(企業)がISPSの活動を支えている?

「そうなんですよ。支持会員は中小企業のオーナーが多いから、ヒト、モノ、カネが比較的自由になるじゃないですか。その会員に対してはゴルフのプロアマに招待したり、去年ウィリアム王子がバッキンガム宮殿で環境保護活動のディナーをした際には150人だったかな、それぐらい連れて行きました。

逆に去年、日本でラグビーのワールドカップをしたときにはISPSアンバサダーのニック・ファルドを招待したり、ニュージーランド代表のダン・カーターも我々のアンバサダーなので、支持会員と記念写真を撮ったりと様々な交流をしています」

そういった支持会員はどうやって集めるわけですか?

「それはね、ビシケン(菱法律経済政治研究所)の会員企業が5200社ほどあって、そのうちの640社ということですね」

ビシケンは経営指導のセミナー等を行う関連企業ですが、これが支持会員の母数を構成している。

「そうですが、これ以外にも関係企業は十数社ありましてね、時計宝飾店のミスズや予備校のみすず学苑、それからわたしの著書を扱うたちばな出版に旅行業のジャパン・ペガサス・ツアーなどで、それぞれの会社には取引先も沢山あるじゃないですか。

ビシケンの会員については優秀な会社が700社ほどありますので、有力なゴールド会員をイギリスに連れて行ったり、プロアマに出て頂いたり、まあ、そんな感じで運営しています」

たちばな出版の広告は電車でよく見掛けます。著者名は「深見東州」で代表作は「強運」ですが、

「『強運』はね、片山晋呉さんも読んでくれたそうですよ(笑)」

で、たちばな出版の売上はどんな感じですか。

「たちばなの年商は30億前後で、これは全国約4000ある出版社で200番以内の売上ですが、売場の占有面積は全体の1%で日本一です。

1000円以上買ったらラーメンもらえるキャンペーンとか、積極的にやってますから(笑)

一番大きいのは時計のミスズで105億円、時計販売店としては日本で2番目です。それからビシケンが6億円、ジャパン・ペガサスも6億ほどで、あとはまあ、沢山あります」

ワールドメイトと企業集団の関係

半田さんが創業した自前の企業グループが十数社あって、さらにビシケンに加盟する他社グループがある。これとは別に「深見東州」として教祖を務める宗教法人のワールドメイトがあるわけですね。

信者は約8万2000人(月会費2500円等)だそうですが、金額ベースで見た全体の規模感はどうなりますか?

「300億円弱かな、それぐらいですよ。我々は信者ではなく『会員』と呼んでますが、ワールドメイトで110億ほどですね。ただ、企業集団の売上は海外を含めればもっと大きくなるんです。たとえばカンボジアではテレビ・ラジオ局なども経営してますから。

一般社団法人のISPSはスポーツを通じた社会貢献が目的ですが、社会貢献とは別に事業面でゴルフ大会のメリットを言うと、時計宝飾店のお客さんをプロアマに呼んだり、たちばな出版は33年やってますが、有力書店のトップもプロアマに呼ぶ、すると本を置くスペースを広げてくれるじゃないですか(笑)」

なるほど、相乗効果もあるわけですね。ワールドメイトの会員とISPSの支持会員は重複しますか?

「その部分は多いです」

するとワールドメイト関連の資金がISPSに入る部分も多いわけですね。

「そういうことです」

つまり「支持会員」は実業と宗教の両面で社会活動をしていると。

「そういうこと。ワールドメイトは神社神道に基づく今日的な活動をしていますが、これは会員個々の事業と信仰において深くリンクしてるんですよ。

それでね、だからぼくの取材は6時間掛かりますよ、といつも記者さんに言ってるのは、日本人の宗教への理解はあまりにも浅い。というかほとんど知りません。

それで時間を掛けて説明するわけですが、一口に宗教といっても様々なんですよ。たとえば一神教のキリスト教やイスラム教、仏教は現実界に価値を置きません。死んでからのあの世に価値を置く、それが救いなんですが、神道とユダヤ教は違っていて、特に神道は生業が栄えて家が栄え、コミュニティが栄えるのが神の祝福なんです」

それは、実利的ですねぇ。

「そう、実利的です。こういう神道の基本的な知識がなくて、貧しい知識で『宗教』をひと括りにするもんだから、皆さん偏見を持つんです。偏見は無知より生じます」

初歩的な解釈ですが、神道は自然宗教でアニミズムだと。八百万(やおよろず)の神がいて、

「あのねえ、だから困ってしまうのは、神道はアニミズムのようでアニミズムじゃないんです。アニミズムは森羅万象に全部神様がおられて、山の神様、海の神様、これがアニミズムですよね」

山岳信仰もそうでしょうが。

「神道はそうじゃなくて、神山・霊山という特定の山以外は開拓するんです。神様がいる特定の山は触りませんが、それ以外の森は伐採して住むわけです。

神なる山か普通の山かを、見極める。見極めて耕して生活に運用する。だからすべての山に神様が宿るわけではなくて、厳密にいうと神道はアニミズムじゃないんです」

近江商人の「三方よし」と同じ

神様を選ぶわけですか?

「その際、神様にするにもふたつの要素がありましてね、ひとつは御利益を期待する、他方は祟りを恐れるから神様に祀り上げる。

以前、社民党の土井たか子さんが衆院議長になりましたが、アレと同じでことでしてね、土井さん、議長に祀り上げるからこれ以上ワケのわからんこと言わんでくださいと(笑)

別の言い方をしますとね、最新のロボット工場に神棚が祀ってあるじゃないですか。家も同じで、お便所の隣に神棚があったりしますよね。つまり、聖なるものと俗なるものを区別して共存してるんですよ。

区別しての共存は、日本では縄文時代から聖と俗を分けていて、これを経済の話に置き換えると、日本の企業は海外のシステムを容易に取り込む。それができるのはドグマ(宗教独自の教理)がないからで、たとえば自動車の生産管理システムの、」

看板方式ですか?

「それじゃなくて、海外からの」

QC(品質管理)ですか。

「そうそう、それです。QCが日本で成功したのは、いいものはいいと割り切れるからなんですね。日本人はドグマにとらわれず、古来からの神道を守りながらロボット工場に神棚を祀る。それで家と仕事と社会の繁栄を願うのが神道なので、反社会的になりようがないんですよ。

それとね、松下幸之助さんも堤康二郎さんも土光敏夫さんも、日本の著名な経営者は信仰をもっておられたし、御手洗さんのキヤノンは『観音』からです」

そうなんですか?

「そうなんです。経営者は孤独だし、未知なるものに挑戦するから恐怖がある。それで信仰をもって己を鼓舞するわけですが、その際、神道は子々孫々の繁栄を願うから経営とも両立します」

妙に霊的なものでもないと。

「違います。近江商人の『三方よし』(売手・買手・世間)は日本の素晴らしいビジネスモデルですが、神道もあれと同じですよ」

宗教観とビジネスモデルの合致は意外な感じがしますね。一般的な宗教観は大きな建物に華美な装飾で威勢を誇る、となりますが、ワールドメイトはどうですか?

「まったくありませんし、いたって質素なもんですよ(笑)

たとえば継承の話をしますとね、宗教の継承者は時代の変化に合わせて人々が幸せになれるよう活動しますが、宗教には無形の三段階と有形の三段階があって、神の御心が無形です。

御心に叶っていると御利益が表われて、これが表われ続けるには道がいる。道というのは法則ですね。その法則に沿ってヒトのために組織があり、マネジメントする。そして組織のために建物がある。

つまり段々と有形になるんですが、宗教性に乏しい二代目、三代目は有形物に依存してダメになる。要するに逆なんですよ。

建物を大きくして自己実現を図る、組織の拡大のために教えがあるといったように、タンジブル(実体)からインタンジブルになるわけで、多くの宗教団体がそうだと思いますね」

ワールドメイトは華美ではないと。

「ないですよ。全国に支部が299か所で、ほかにも施設はありますが、みんな質素なもんです。組織も大きくないし、拡大第一主義でもない。ぼちぼち大きくなったらいいなあと。一番大事なのは神の御心に叶うことですから」

ボクシング協会よりはマシ

そういった組織論の観点で、ゴルフ団体はどう見えますか?

「そうねえ、ゴルフ団体に限った話ではなくて、スポーツ団体はどこも似たり寄ったりの印象ですかね。団体のトップはその世界だけで生きてきたから、みんな問題ありますよ。

ただ、ゴルフ団体はテコンドーやボクシング協会よりはマシなのかな。レスリング協会とは同じかなと(笑)」

ボクシング協会の前会長はもの凄いキャラでした。問題の根はトップが既得権益に走ることでしょうか。以前、バレーボールの海外遠征で主役の選手がエコノミー、役員がファーストクラスだったという話を聞いて、大きな選手が身を縮める光景を思うと切なくて。

「ですからアスリートファーストが一番大事で、選手のためにどうするか、さらに業界や社会のためにどうするかを真剣に考えるべきですが、その意識が希薄なんでしょうなぁ。

立場にはそもそも役割があって、ジャーナリストはありうべき方向に正す役割だし、我々スポンサーは選手を応援してあげる役割です。

だから組織の問題があったとしても、それで我々が嫌な思いをしたとしても、感情的なシコリを残さないで、憎まない、恨まない、文句言わない。そういった姿勢が大事ですよ」

その話はJGTOに対する苦言ですか? 以前、高額賞金大会をスポンサーしたのに、青木会長が記者発表を欠席して、無礼だということでスポンサーをやめましたが。

「まあ、それだけが理由ではありませんが、スポーツマンとか芸術家はそもそもエキセントリックなんですよ、感情が。

ビジネスマンは理性と知性で動くでしょ。組織のトップが元選手で感情論で動いてしまうと、結果的には選手が損をして、その業界も衰退します。ゴルフ団体のトップはそのあたりを強く意識する必要があると思いますねえ」

宮里藍が登場して落ち目の女子ツアーが復活した。遼くんフィーバーで「第二の石川勝美」を目指した親が子供にゴルフをさせた。最近は渋野日向子ですが、それでも肝心のゴルフ人口は増えません。チャンスを活用できないのは、業界に知恵が足りないからでしょうね、自戒を込めて。

「まあ、今後の課題は団塊の世代がゴルフやめて、そのあとどうするかだと思いますよ。ゴルフはシニア需要が引っ張ってきたわけですが、個人的には女性の取り込みが非常に重要だと考えます」

会長は女性にモテるともっぱらです。

「そりゃもうね、女性は褒め称えるに限りますよ(笑)。あとは美味しいモノをご馳走することかな。

8月に女子のチャリティ大会を賞金3000万円でやりましたが、ウチ(ISPS)の酒井美紀ちゃんに『食べ物でなにが好き?』って聞いたら『パンが好き』って言うもんだから、じゃあ人気のパンを一日1000個用意しましょうと」

それで「パン食べ放題」をやったわけですね。

「そう。それで次にやるとしたらハーゲンダッツですね。あれを6種類、マカデミアンナッツとラムレーズンとクッキーサンドとストロベリー、それから抹茶とバニラですかね。

会場に『ハーゲンダッツ連峰』をど~んとつくって、ハーゲンダッツは高いから横に安い『雪見だいふく山』と『ピノ山』をつくって、それでパン1000個食べ放題もやるけど『どうや?』って聞いたら、美紀ちゃん『行く行くぜったい行く~ッ』だって(笑)」

んー、なんですか?

「ホスピタリティに徹するという話ですよ。女性が喜ぶのはハーゲンダッツとケーキとイケメン・スターだから、とにかく楽しい楽しいトーナメントを考えること。

それだけじゃなく、レッスンやゴルフ場にもエンターテイメントの要素を入れて、女性が『いいな』と思ってくれれば子供やダンナ、年寄りを連れてくるじゃないですか。

女性を核にして波及効果を生み出すことが大切で、そのあたりの発想がゴルフ界には足りないと思いますね」

AKBを熱唱します

ワールドメイトの信者は女性が多いとか。

「6割が女性です。それでぼくのコンサートでAKBの『ヘビーローテーション』や『フォーチュンクッキー』を歌ったりすると、うわ~って盛り上がるんですよ」

PR活動の一環ですか?

「PRというか、喜びと幸せの空間を共有するのね。このあたりがゴルフ界と違っていて、ゴルフは地味で真面目で一生懸命すぎるんですよ。

でね、そのあたりはオペラも一緒なんです。オペラってなんか高尚なモノを押し戴く感じで観ますけど、モーツァルトのオペラなんか友達の嫁さんの貞操がどうとか、ドン・ジョヴァンニは女性とどうこうして最後は地獄に行きましたって話です。

それをきちんと正装して真面目な顔して観るというのは、ぼくにすれば可笑しくて仕方がないんでね。

ロミオとジュリエットにも下ネタがいっぱい入ってるし『生きるべきか、死ぬべきか』のハムレットも下ネタのギャグが入っていて、素晴らしい演劇表現とエッチなギャグが錯綜するのがシェイクスピア演劇なんですね。

『ワハハ本舗』ほどじゃないけれど、まあ、似たようなもんですな(笑)」

混在しているわけですね。

「混在してます。わたしは20年以上、日本流にアレンジして上演してますが、可笑しくて笑えるオペラにしたらみんな好きになってファンが増えた。ゴルフもまったく同じですよ」

「正装で観る」という感じはゴルフも同じですね。ティショットでギャラリーが咳をすると、プロはスイングをやめて睨みつける。あの威圧行為にゴルフ・マナーの歪んだ認識が表れてますが、そういったことを含め、業界には旧弊を壊すプロデューサーが不在なんでしょうね。会長がプロデューサーを頼まれたら?

「いつでもアイデア出しますけどね。女性を増やすなら美味しい食べ物とイケメンとオシャレ、それに温泉があればいい」

オンナはそんなもんだと。

「いやいや、違います(苦笑)。エンターテイメントの複合体としての話ですよ。複合的にやるにはプロデューサーが必要だと」

倉本さんは庄屋の26代目

プロデュースにはリーダーシップも必要でしょうが、業界のリーダーにPGAの倉本会長を期待する声も多いですね。

「あのね、倉本さんとはもの凄く仲良しですよ。彼は広島の出身でしょ。ぼくのピアノの先生も広島だし、所属プロの谷原さんも広島で、広島とはフィーリングが合うんです。

広島県人は細かくてケチですが、度胸も併せもつ実に稀有な存在ですよ。広島商業の野球なんか盗塁とバントだけで3点とるじゃないですか。逆に蔦監督の池田は山びこ打線でポカポカ打つ。広商のせこく勝つ野球とは正反対です(笑)」

倉本さんもケチなんだと?

「あのぉ、倉本さんは楠木町の庄屋の26代目にあたるそうなんです。26代前は南北朝の時代ですが、それで彼とはフィーリングが合うんじゃないかな」

半田さんは西宮の出身ですよね。

「生家は300年続く(酒の)桶屋です」

広島とは関係ないですよね。

「少し長くなるけどいいですか?」

どうぞ。

「ある日、衆院議長を務めた綿貫民輔先生が式年遷宮(神宮の祭り)の会場でポツンと座っておられたから、初対面だけど軽いノリで話し掛けたんです。『わったぬっきせんせ~』って感じで(笑)

それで綿貫先生いわく『あのねえキミ、ぼくは楠木正成の子孫なんだ。母親が淡路島で旧姓は南なんだが、南というのは楠の『木』をとって南なんだ』と。そうですか、実はわたしの母も楠の『ス』をとってクノギなんですと話したら、そうかね、それじゃキミ『楠木会』に入らんかね。ええ、いいですよと」

・・・・・・・・・・。

「おそらく『倉本』というのもそうじゃなかろうかと。ご先祖は南北朝の頃に何かあって、それで広島の楠木町へ逃げたのか、移住したのか、そんな感じだと思うんです」

それで倉本さんとは相性がいいと。

「はい」

まあ、とにかく倉本さんは喜んでました。コロナで試合が全滅したところにISPSがPGAで2試合やってくれた。その記者発表で倉本さんは「ある晩、半田会長との電話ですぐに決まった」と話しましたが、あの電話はどちらから掛けたんですか?

「わたしからです。倉本さんとは直接電話を掛け合う仲で、間にひとが入ると話が遅いじゃないですか。それで『シニアの開幕はいつですか?』『目処がつきません』と言われたから、開幕をスポンサーしましょうと。『ほんとですかッ』て喜んでくれましてね、男の約束果たしますよと。

それで賞金3000万円の『コロナに喝!!シニア』が決まりました。これとは別に去年ギャラリーが2万2000人も入ったファンケルがコロナでなくなって『ガッカリです』とおっしゃるので、5500万円の大会(プロゴルファー誕生100周年記念)を提案したら『ホントですか、ホントですか、ホントですか』って3回言いましたよ。3000万円のときは1回だったのにね(笑)」

ほんとですか?

「あはははッ。まあ、PGAの会員は5600人ほどで、あそこは公益社団じゃないですか。それで試合出場の可能性も有名選手に偏るのではなく、極力公平にしようと考えて、シニア、グランドシニア、スーパーシニアとある中で、スーパーシニアにも『平熱枠』でチャンスを与えたんです。

普通のスポンサーは株式会社だから有名プロの参加を望みますが、ISPSは一般社団ですからね、賞金がなるべく隅々まで届くことが大事だと。有名プロに偏るべきではないと考えました」

男女レギュラーとシニアツアー(PGA)を含めて今季初の「有観客試合」を決断した。

「とにかく検温、消毒、ソーシャルディスタンスなど感染対策を万全にして、その上で踏み切ったということです。その際に大事なのは責任ですよ。

政治家は『責任を取ります』と口先だけで終わりですが、我々は仮に感染者が出たらその人の休業補償をすると発表しました。責任を取るというのはそういうことだし、それだけの覚悟を示したわけです」

それには別の背景があって、予備校のみすず学苑もコロナ禍だけど授業を断行した。その感染予防対策が「有観客試合」にも役立ったそうですね。

「おっしゃるとおりです。あのときはもう、ネットで大バッシングを受けましたよ。『子供が感染したらどうするんだッ』『責任とれるのかッ』てね。それでも授業を続けたのは、生徒にとっては一生に一度の受験でしょ。

だから往復の通学を含めて感染対策を万全にして、それで授業を続けようと。お陰様で問題は起きなかったし、要は覚悟なんですよ。世間の非難を過剰に恐れない覚悟です。

その姿勢はトーナメントも同じことで、コロナで人心が委縮する中、他のスポンサー企業は雇われ社長が多いけど、わたしはオーナーですからね、覚悟を決めて断行したと。その覚悟は、責任をとるということです」

ジャンボさ~ん、アプローチ教えて

ISPSはゴルフ以外にもボウリング等いくつかのスポーツ団体を支援してますが、特にゴルフに注力するのは、そもそもISPSは「ブラインド(盲人)ゴルフ」の応援が原点だからだと。契約プロも年々増えています。

「今は35人ほどですが、ニック・ファルドなど海外のアンバサダーを含めれば50人を超えるでしょう。

最初は中山徹プロで、PGAの会長だった松井さんから『面倒見てくれませんか』と。ボウリングの中山律子さんの弟だし『顔は怖いけど人間はいいから』という話で13年間応援してます。以後、いろんなご縁でどんどん増えて、ジャンボ軍団もそうですね。

特にジャンボさんは113勝で賞金王12回のレジェンドです。常人じゃないし、もの凄いこだわりや直感がある。天才の感性は最終的に直感で、そこを理解するのは本当に難しいんですよ」

会長がジャンボ尾崎の数少ない理解者であり、支援者だと。

「まあ、天才を理解するのは難しいんです。作曲家のワーグナーは友達のアパートに間借りして、友達が旅行中に壁をぶち抜いてめちゃめちゃにした。それで友達が激怒したら『俺みたいな天才に住んでもらってありがたく思えッ』て。いわゆる逆ギレですな(笑)

ベートーヴェンもチャイコフスキーもめちゃくちゃな人生なんですが、それと彼らの芸術は別物で、今も素晴らしい輝きを放っています」

ジャンボさんは勝手に上がり込んで部屋をぶっ壊したりしませんよね。逮捕されるし。

「そりゃそうですが、天才には退行化現象があって、どこかで反動がないと埋め合わせできないんです。天才的なゴルファーや作曲家、小説家はみんなヘンでやりにくい。

わたし、海外から有名なオペラ歌手を招くので、そのあたりはよくわかるんですよ。来日の契約を交わしたところで、来る、来ない、来る、来ない、やっぱり来る、とか。

舞台設定にしましてもね、ほんの少しライトの加減が気に入らないと、それだけで何時間も止まってしまうとか。その世界の超一流、天才っていうのはそういうもんです」

なるほど。ところでジャンボ尾崎は今、どんな心象風景に生きてるんでしょう。

「いやあ、それは孤独で寂しいと思いますよ。プライドがあってシャイで少年で、一方ではレジェンドだから周囲が勝手に高い壁をつくるじゃないですか。

それでぼくが『ジャンボさ~ん』って手を振って会いに行ったら『おっ、会長おもしろいねえ』ってニコ~ッて笑って。とにかく彼は日本のゴルフ界の宝物です。先生は技術を、巨匠は生き様を教えると言いますが、彼はゴルファーとしての生き様を教えられる巨匠だし、本物の伯楽です」

それでジャンボ尾崎ゴルフアカデミーを支援したと。

「そうです。ISPSは当初からのメインスポンサーで、年間500万円以上支援してるんですよ。原英莉花の初優勝では『1勝なんか通過点だ』と言ったそうですが、彼女にとってはその言葉がどれだけ自信になることか。

それは直道さんもジェットも同じことで、ジャンボさんが身近にいたから意識の壁を越えられた。ジャンボアカデミーはゴルフ界の松下村塾だし、虎の穴です。

ウチの藤本佳則君なんか傍にいるだけで緊張で震えてるから、『ジャンボさ~ん、アプローチ教えて』って行ってこい、と。そうしたら『ああいいよ』って教えてくれたそうですよ(笑)」

それもあって9月に「ジャンボ尾崎記念」を冠した医療従事者応援大会を開催した。これはPGAの2試合とは別に開いたチャリティ大会ですが。

「医療従事者をジャンボさんの名前で応援する、となればレギュラーの選手も出やすいし、それでジャンボさんから一言二言掛けてもらう、ジャンボさんも新しい選手との出会いがある。それでいいんじゃないかと。そんな想いで開いた大会です。

あとね、『宗教』で言い忘れたことがあるんですが、とても大事なことなので話しますね」

宗教は「反社」ではない!

「宗教の金がISPSに来て、その金がトーナメントに流れるのを問題視する声がありますが、わたしに言わせればその考え自体が問題ですよ。

宗教の金は反社会勢力の金ではありません。文科省は年に1~2の宗教法人を認可しますが、社会性と継続性があって、法的に問題ないことが厳しく審査されるんです。つまりワールドメイトは国が認めた宗教法人であり、伊勢神宮や天理教と同じです。

NHKで全国放送する甲子園ね、PL学園はPL教団のお金が入ってるし、智辯学園は辯天宗の高校で創価高校は創価学会、佼成学園は立正佼成会。これを全国放送で流しているし、柔道では天理大が多くの五輪選手を出している。そうでしょ。

ところが、LPGAさんは内規で町金融や宗教のスポンサーはペケなんですよ。なぜ野球がよくてゴルフがダメなのか、誰も説明できないでしょ」

LPGAに憤慨しているわけですか。

「憤慨じゃなくて、LPGAはスポンサーに困ってないし、ウチとは縁がないですねと、それだけの話ですよ。

裁判したら違法性は問えるけど、そんなことやると如何にも宗教みたいじゃないですか(笑)。まあ、海外含めて困っているツアーは沢山あるので、そこをサポートしていきます」

そもそも論ですが、なぜスポーツをサポートするんですか。

「それはね、宗教にはいろんな壁があるけれど、スポーツには普遍性があるからです。宗教、民族、国籍、肌の色に関係なく、同じルールで楽しめる。ハンディキャップをもつ人も参加する喜びを等しく味わえるじゃないですか。

我々がゴルフ界に投じるお金は会員からの浄財が多いので、だからスポーツ振興を目的として、凜とした使い方をしています」

「浄財」はワールドメイトからで7割ぐらい占めますか。

「かもしれませんねぇ。だからISPSで使うときは広い意味での布施行なんですよ。人類愛や人道主義に基づくもの、社会に貢献し得るものが普遍的な宗教性ですから」

コウノトリの「おっぱい」

布施行はスポーツの分野だけですか?

「ISPSの場合はスポーツですが、芸術(東京芸術財団)や福祉、学術なども支援していて、カンボジアでは病院や孤児院、農業指導やスポーツ振興も支援してます。

だから大きな御殿を建てるとか、わたしが巨万の富を得るとかは一切ありません。本も600万部売れたけど印税はわたしに1円も入らないし、会社の給料で生活してます」

そうなんですか。年収はどれくらいですか?

「一時は2000万円ほどでしたが、今は自分とこの時計の支払いが増えたので(苦笑)それよりはもらってます。

まあ、嫁さんも子供もおらんしね、朝から晩まで絵を描いたりと創作活動をしてるんです。嫁と子供がいたらどうしても『わたくし』が出ちゃうから、禅坊主と同じように没頭して、死ぬまで自分を究めようと。69歳だから、よく生きてあと40年です」

ほお。これが会長の画集ですね。

「はい、絵は30年で3500以上描きましたが、遊びでふわっと描いたほうが『素晴らしい』となりますな。

この絵は妊娠したコウノトリが飛んできて、おっぱいが膨らんでいるわけですが、」

はあ、これはおっぱいですか? 腹じゃないんですね。

「はい、おっぱいです。それでこの目がツワリの目でね」

コウノトリのツワリの目って、こうなんですか?

「というつもりで描いたんです」

これがツワリの目なんですね。

「わからんもんでしょ。わたしはね、専門家の批評とかは一切気にしません。とにかくあらゆる筆法で3500以上、真面目な絵からぶっ飛んだものまで描き続ける。この絵は『ミロの米茄子』っていうんですよ(笑)」

で、創作の原動力はなんですか?

「そりゃもうエネルギーですわ。これがぶわっと湧いてきて、己がいいと思ったことを片っ端からやり続ける。ぼくはアーティストとして、社会事業家として宗教家として、いいと思ったことをやり続けます。

ですからISPSの活動資金はワールドメイトからが多いんですが、一般企業や一般人からの割合をもっと増やしたい、それが理想だと考えています」

創作の話から「寄付割合」に移る文脈が、どうもわかりません。

「『真理ってなんだ』という議論がありますが、真理は普遍性なんですよ。本当に残るモノは普遍的であり、より多くの賛同を得ることで一般化されて、社会的な広がりを得られますから」

つまり、信者以外の賛同を得ることでISPSを普遍的な活動体にしたいんだと。

「おっしゃるとおりです。たとえば予備校のみすず学苑は生徒が2000人弱ですが、ウチの信者というか会員の子供は1%で、99%は一般の子供なんですね。

ほかの宗教に入っていても構わないし、神道は来る者拒まず去る者追わず。明るく楽しくがモットーですから(笑)。それでワールドメイトの支部名が可笑しいってご存知ですか?」

いえ、知りません。

「ぼくの命名で『本たらば毛ガニ手足バタバタ・忍者走り!!北海道エリア本部』とか、長くて覚えられないと言われますが、電話掛けたほうは思わず笑っちゃう。実はこれ、単なる思い付きではなくちゃんとした理由があるんです」

はあ・・・。

「以前、国策捜査をやられまして、マルサがウチの77か所を400人で2回来たんです。不正な帳簿は一切ないし、隠し金もなければ違法性もない。それで1年7か月やった結果、検察庁は立件を諦めました。それでもマルサには意地があるから十数年争いましたが、ウチの完全勝利ですよ。

それでこの間、宗教に対する一般的なイメージを真剣に考えたんです。すると暗い、閉鎖的、排他的の3要素がある。オウム真理教が典型的で、報道陣がカメラを向けると信者が全力で阻止する光景、あれに代表されるイメージです。

それが世間から色眼鏡で見られる理由じゃないかと。だからマルサにやられたときの記者会見は、7人で七福神の格好をしましてね、記者に『その恰好はなんですか?』と聞かれて答えたのは『マルサに人権を奪われ国策捜査をやられました。それで人権がなくなって、神様になっちゃったんです』と(笑)」

ヒトを食った話ですが、それはイメージ戦略なんですかねえ。

「というか、そもそも神道は暗くなくて、明るくて開放的で寛容なんです。お祭り騒ぎがそうじゃないですか。非日常の体験で、非日常の演出を楽しみ『ハレ』の状態に戻すんです。

祭祀論がありましてね、お祭りは魂のエネルギーをチャージすること。神賑(かみにぎわい)をやって人間と神が共に楽しむこと。それが祭りの原点です」

なるほど。だからISPSのトーナメントは神社みたいに露店を出して、『ガリガリ君』の1万本食べ放題やパンの山をつくるんですね。

「そうです、お祭り騒ぎです。神道の穢れっていうのは、気が枯れるのと生命が枯れることで、穢れを払うためにお祭りで『ハレ』の状態に戻すんです。それが神道の祭祀論のお祭りの原理です」

つまり観客がいないと原理が成立しない。それで「有観客試合」にこだわったと。

「そうそう、まったくそうなんです。アフリカの原住民も顔にペインティングして非日常になって、ストレス発散でコミュニティがひとつになる。

リオのカーニバルも仮装を楽しむから、ゴルフも以前、『秋祭り』のシニア大会を女装でやったんです。浜野プロは本当に美人で、中山徹さんはスナックのママですよ(笑)。

一見、面白いんですが、神道の祭祀論という宗教学に則ってます」

そもそも宗教とは?


こここまで聞いてなお初歩的な質問ですが、宗教って何ですか?

「あのぉ、国民皆信仰という考えがありましてね、どの宗教を選んでもいいけどみなさん信仰をもちましょうと。ひとは死に対する恐れがあって、これはとても孤独です。余命あと何か月と宣告されると4つの段階を経るんですね。

最初は『嘘だ』と拒絶して、それから『なんで俺が』と怒りが生じ、治まると『延命できないのか』と取引をする。そして最後は覚悟を決めて受容する。信仰心がある人は一応、ない人に比べればスムーズに4段階を経ることができる。

すべての国民をひとつの宗教で賄うのは難しいから、気に入った宗教をもてばいい。少なくともないよりはあったほうがいい。それが国民皆信仰の考え方です」

日本で無神論者が多いのは、拝金主義の肩代わりですかね。人生を経済的価値に置き換えると、深く悩まなくてもわかりやすい。

「おっしゃるとおりです。金があるとか贅沢な物を身に着けることが一応、価値の判断基準になる。でも、死と直面したときに自分をどうもって来られるか、さらに弱者救済を含めてね、これは宗教のジャンルなんですよ」

哲学ではダメですか?

「哲学で貫き通す人もいるけれど、これはかなり厳しいでしょうねえ。心の頼りがあると死の恐怖が和らぐし、その際、神社神道はいつ来てもいいしやめてもいい。ワールドメイトは、神社神道に基づく今日的な表現なんです」

ワールドメイトの意味は?

「世界の友達です。メイトはフレンドよりも親密な友達で、アメリカではあまり使わない、オーストラリア英語なんですね。ただしイギリスで『メイト』は有名なコンドームです(笑)」

・・・・それで会長は結局、何者なんですか? 教祖ですよね。

「そうですが、よりわかりやすい表現をすれば、神道に基づく社会活動家です。宗教の道は25歳ですが、事業は26歳で予備校を興して、時計事業は29歳です。その次がたちばな出版で、今はお医者さんも看護師も建築工事もなんでもあります。

芸術や福祉、教育もやっています。宗教と事業を区別して共存させ、どちらも本物にならないと神様に申し訳ない。ぼくの原点は神様のお取次ぎだと思うから、人智を超えた閃きやエネルギーがうわっと湧き出るのね」

もう、午前2時ですが・・・。

「来られてから8時間ですか。まだ、質問あります?」

ありません。


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ライター紹介 ライター一覧

片山哲郎

片山哲郎

1962年8月3日生まれ、東京都出身。
「月刊ゴルフ用品界」(GEW)を発行する株式会社ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長として、ゴルフ用品産業及びゴルフ界全般の動向を取材、執筆。2014年4月から3期6年、日本ゴルフジャーナリスト協会会長(現顧問)

ほかに武蔵野美術大学特別講師(ゴルフビジネス論)、インタラクティービ(J:COM)番組審議会委員、大学ゴルフ授業研究会理事、ゴルフ市場活性化委員会マーケティング委員(各現任)

信条は「人の至福は健康で長生きすることであり、これに寄与できるゴルフは『善』である。善なるゴルフ産業が健全発展するために、建設的な批判精神をもち、正確、迅速、考察、提言を込めた記事を書く」――。

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