ダンロップ×デサント、ウインウインの勝率は!?

ダンロップ×デサント、ウインウインの勝率は!?
ダンロップスポーツとデサントは4月2日、都内イベント会場(時事通信ホール)で『スリクソン』(国内展開)のゴルフアパレルに関わる業務提携を発表した。来年春夏物から企画、開発、生産をデサントに一任。ゴルフアパレルの販売も同社が手掛け、アパレル以外の帽子、ソックス、特注品等をダンロップが販売していく。 初年度(2016年)の販売目標は上代ベースで20億円(アパレル12億円、その他商品8億円)、2018年に40億円を視野に入れる。契約締結は今年3月、期間は非公開ながら、同様のビジネスモデルを使った海外展開の可能性にも言及した。 昨年の国内ゴルフアパレル市場は920億円と推計されるが、「当社のシェアは約2%。この商品に関する企画、開発力が備わっておらず、今回の業務提携で解決できると考えました」(ダンロップスポーツの木滑和生社長)。「少子高齢化でスポーツ人口が激減する中、ゴルフの縮小率は圧倒的に低い。五輪種目になったことや女性の参加率向上が見込めることもゴルフアパレルに注力する理由です」(デサント石本雅敏社長)――。 デサントは先頃、日本ゴルフ協会(JGA)と2014年~2020年までのオフィシャルサプライヤー契約を締結、「東京オリンピック」に向けて次世代のゴルファー育成に注力していくことを発表した。今回、『スリクソン』の展開に踏み切ったのも、同ブランドのマーケットにおける立ち位置、「ボリュームアスリートゾーン」の中にジュニア世代が含まれていることとも無縁ではない。 「『ボリュームアスリートゾーン』は市場の4割を占める大きなクラスターである一方、次世代のゴルファーに対してのハードルも低い。このゾーンを縮小させないような手を打ちたかったのです」(石本社長)ジュニアのギア使用率が高い『スリクソン』のアパレルを展開することが、次世代のゴルファー育成とブランドファンの獲得につながるという判断もあったのだろう。 『スリクソン』を扱うことで自社競合が懸念される『ルコックスポルティフ』との差別化は、『ルコック』はデザイン性重視のスポーツファッション、『スリクソン』はギアのイメージと連動したアスリート感の徹底で解決していく方針という。 ダンロップは今回の提携に関連して『ゼクシオ』、『クリーブランド』のゴルフアパレルを一時休止する模様。これにより同社のゴルフアパレル関連は「数億円規模」に縮小し、事業体としての存在感を損なうが、「餅は餅屋に任せるのが一番。ゴルフアパレルは『スリクソン』ブランドのイメージ向上を担う戦略商品の役割もあり、売上規模だけでその価値を判断すべきではありません」(木滑社長)。 デサントは『スリクソン』を約700店舗に供給予定で、百貨店などでのVMDにも注力していく。 具体的には今年6月に開催予定の発表展示会で明らかになるが、ブランド名は『スリクソン』と『デサント』のダブルネームが想定される。製品対象者は、『スリクソン』のブランドメッセージ"DEDICATED TO IMPROVING YOUR GAME( あたなのゴルフのさらなる向上のために全力を尽くします)"にもあるように、ゴルフの上達に真剣に取り組むすべてのゴルファー。年齢を区切らずマインドへ訴えかけていく。 当面はメンズ中心で展開、事業が軌道に乗った段階でレディスの導入を検討していくという。なお、商品価格はアウターとパンツが1万円前後、シャツが8000円前後が想定される。 『スリクソン』のアパレルをデサントに一任したことで、総合的なブランドイメージ向上を狙うダンロップスポーツ、『スリクソン』で最大規模の「ボリュームアスリートゾーン」の底上げを図りたいデサント。果たして、両社のコラボはウインウインとなるのか。今後の展開が大いに注目を集めそうだ。