ドライバーに比べてパターのなじみが薄いゼクシオだが、昨年末から発売されているゼクシオミルドパターの評価が、急上昇している。そこで今回、小誌「永井セレクト」でお馴染みの永井延宏プロに緊急取材、高い評価の裏付けを検証してもらった。
ゼクシオミルドパター詳細
ゼクシオミルドパターは、ロフト角が4度あるので、ボールが拾いやすく狙ったラインに乗せやすい。
- ヘッド素材:SUS303ソフトステンレス
- ヘッド製法:高精度CNC削り出し
- フェース製法:ミーリング加工
- ヘッド仕上げ:ミラー研磨+ショット仕上げ
- ロフト角:4°
- ライ角:70°
- クラブ長さ:34インチ(メンズ)
- 価格:4万円+税
特長と使用感
パットに形有り!
ゼクシオミルドパターは、トッププロが実践する原理原則に適った正しいストロークを実現しやすいという永井プロ
GEW:まず、パッティングについて伺います。よく"パットに形無し"と言われますが、これは本当でしょうか。
永井氏:確かにショットに比べると、プロとアマチュアの間に体力的な要素の差は少ないと思います。だとすれば、技術的な要素になりますが、これはあります。パッティングは感性というけれど、それはメカニズムがあってのこと。明らかにプロとアマチュアのストロークにはメカニズムの違いがあります。これを差し置いて、パッティングはフィーリングだと言っても、上手くいきません。
GEW:プロが実践しているメカニズム、原理原則があると。
永井氏:ええ、大別すると二つ。一つがヘッドを低く動かすこと。あとは、ロフトを正しく使うということです。この二つの要素を満たすには、よくメディアやティーチングで喧伝される振り子ストロークでは実現できません。
GEW:振り子はNGですか?
永井氏:多くのパター研究者が、振り子のロボットマシンを作ったりしますよね。しかし、トッププロは誰も振り子のストロークはしていないんですよ。それはクラブの動きを見れば明らか。振り子のストロークは、同心円で振っているわけだから、ターゲットラインに重なる部分は一点しかありません。それは仕組みとしても明らかで、ヘッドがターゲットラインに平行に向くのはボールを打つ瞬間だけです。
一方、多くのトッププロが実践しているのが、低くヘッドを保ちながらバックススイングして、低い位置からボールをアッパーに捉える。そうすることでターゲットラインとヘッドが重なる平行ゾーンを作っている。前者が点であれば後者は線。線の方がボールをラインに乗せやすいのは誰でも分かりますよね。言ってみれば、変則振り子みたいな感じです。
実際、身体の動きは首の付け根や左肩を支点とした振り子なのですが、若干手元の動作を入れることで、ヘッドを低いゾーンに保つ。こうすることでヘッドとターゲットラインが平行に重なる時間を長くしているのです。
よく、機械的なストロークをするとショートパットはいいという評価があります。でも、なんでそれをトッププロがやらないかというとロングパットの距離感が合わないわけです。ヘッドとターゲットラインが重なっているゾーンを長くすることで、フェースとボールをくっつけて押し出す。そうすれば、ロングパットの距離感も出しやすくなるのです。
また、アマチュアにとっての振り子ストロークの弊害は、ボールの位置が身体の中に寄り過ぎてしまうこと。そうすると、頭がボールよりも左側に出てしまい、身体のバランスも全体的に左寄りになってしまうので、バックスイングがいきなり高く上がってしまう。そうすると、ダウンスイングでヘッドが上から入りやすくなるのでロフトがつぶれる。これだと引っ掛けやすくなりますし、ちょっと振り遅れるとボールがつかまらず、スライスラインではボールを右に押し出すミスになってしまいます。
フェースが上を向くほど重心距離が長い。ゼクシオ ミルド パターはその典型という。
重心距離がある方がヘッドをコントロールしやすい
GEW:なるほど。では、トッププロが実践するような低いバックスイングでターゲットラインに対して平行ゾーンを作るには、どういうパターがいいのかですか。
永井氏:やはり、重心距離があった方がいいですね。その方がヘッドを感じられます。昨今、ネオマレットが流行っていますが、これは重心の深さはありますけど、重心距離がないフェースバランスタイプが多い。このタイプは、ヘッドのセンターにシャフトが挿してあるので、重心を感じながら打ちにくいし、重心を感じないとヘッドが360度、いろんな方向へ動きやすくなってヘッドがコントロールできなくなるのです。
GEW:そこで今回試打されたゼクシオミルドパターは、重心を感じやすいのですか。
永井氏:はっきりと感じることができますね。
ゼクシオミルドパターは、ボールの赤道とヘッドの重心の高さが合いやすいという。
GEW:重心を感じやすいと、先ほど永井プロが言ったような低いバックスイングからターゲットラインに対して平行ゾーンを長く保つストロークが実践しやすいわけですね。
永井氏:重心が感じられるとヘッドをコントロールしやすいし、上手くシャローフェースに作っているので、低くバックスイングを引いて、アッパーにボールをラインに乗せるイメージも湧きやすいですね。それと、もう一つ重要なことはロフトがしっかりあること。スペック表を見ると4度という記載がありますが、これだけロフトがあればボールに対して低いところからアタックするようなイメージがでますし、ボールを拾ってくれるので右へのプッシュアウトも出にくい。
GEW:と、言いますと。
永井氏:昔、ジャンボ尾崎が使っていたWOSSというパターがありました。これはゼクシオ ミルド パター同様、重心距離が長く引っ掛けにくいタイプでしたが、アッパー軌道になるとアウトサイドへヘッドが出やすくて、スライスラインを右に外しやすいというデメリットがありました。
これはロフトを使ってボールを上手く拾えなかったのが原因ですが、ゼクシオミルドパターは、ロフトがしっかりあるので少しプッシュ気味でもボールを拾ってくれる。しっかりとラインに乗せられるんですね。
だからラインにしっかり乗せなくてはいけない高速グリーンでもすごく効果を発揮しそう。それにフェースにミーリングが入っているし、素材も柔らかいので打球感もソフト。フェースにボールがくっ付いていることを感じやすいんですね。だから、少し硬めのディスタンス系ボールを使ってもソフトなフィーリングが出やすく、距離感も合いやすいでしょうね。
GEW:なるほど。トッププロが体現する理に適ったストロークを実践しやすことが分かりました。ありがとうございました。
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