東我孫子カントリークラブ(千葉県我孫子市)で1月9日、70回目を迎えるペア・スクランブルコンペが開催された。2人1組でベストホールを選びながらプレーする方式なため、初心者も気軽に参加でき、男女の交流を深めるにも最適だ。
というわけで、同コースでは2ヶ月に1回の頻度で「男女ペア限定」のスクランブルコンペを開催している。参加費は1人9000円(昼食&パーティー付き)。毎回80~100人(40~50ペア)の参加を得、当日に次回の参加者を募集すると、その日の内に予約で満杯になる人気ぶりだとか。
崎濱盛明支配人に、ペア・スクランブルを始めたきっかけを聞いた。
「若い頃はバリバリの競技志向だった70代のメンバーさんが、年齢を重ねるにつれてスコアだけでなく、ゴルフを“楽しむ”ことを求めるようになります。そこで、ゴルフの別の楽しみ方を追及したところペア・スクランブルを始めたのです」
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崎濱盛明支配人[/caption]
とはいえ、企画を立ち上げた当初は参加者集めに苦労したそう。
「特に女性が少なくて組み合わせが大変でした。最初はうちの女性従業員を交えてペアにしたりとか(笑)。毎回コンペの案内ハガキを送ったり、徐々に参加者から“おもしろかったね!”という声が広がって軌道に乗ってきたのです」
東我孫子CCでは、ペア・スクランブルのほかにもメーカーのオープンコンペやバースデーコンペ、年代別コンペなどを毎週2回ほど開催しており、70~80歳代のメンバーを中心に盛況だという。このような企画が核となって、ペア・スクランブルに派生した面もあるだろう。
82歳で250ラウンド
同コースはいわゆる河川敷だ。そもそも敷居が低いことに加え、フラットなレイアウトが特徴でもある。
「平坦だから足腰への負担が少ないこと、交通アクセスも便利なので、年配のご夫婦が気軽にゴルフを楽しめます。82歳で年間250ラウンドする人もいるんですよ。
ペア・スクランブルだけでは収支トントンで儲けはあまり出ないけど、参加者がこのコンペをクチコミで広めてくれ、新規顧客の獲得にもつながっています。“もっと開催数を増やしてほしい!”という声も多くありますね」
朗らかな笑顔が印象的な崎濱支配人は、多くの常連から親しまれているようだ。取材中も来場者に声を掛け、ゴルフの調子や日常会話に笑顔で応じる。
「ペア・スクランブルを通じてエンジョイ志向のゴルフをもっと広めたいんです。当コースにはビギナー向けの『ピクニックゴルフ』もあります。これは、ゴルフ場を体験してもらうのが目的で、初回と2回目は各9ホール、ランチ&貸しクラブ&カート付きで3000円! 初心者のコースデビューも応援していきます」
東我孫子CCは国内7コースを運営する朝日コーポレーションの系列で、同社の手塚寛社長は日本ゴルフ場経営者協会の理事長を務める。そんなわけで、今回のペア・スクランブルも市場活性化の実証例として効果を測り、業界に提案する狙いもある。
嫌われないようにしないと
最後に参加者の声を紹介しよう。
■コンペを通じて再会した60代男性&女性ペア(ゴルフ友達)
ゴルフ歴は男性35年、女性6年 男性がペア・コンペのパートナーを探していたところ、偶然、東我孫子CCで数年ぶりに女性と再会。それからペアを組んでいる。
「ペア・スクランブルは2人で打って2回チャンスがあるのが嬉しいね。お互いを見ながらだから悪いところも分かっていい。少し不満な点は、組まされる相手チームがどんな人か分からないところ。ちょっと性格の悪い人とかいるからね(苦笑)。スタート前に怒ったのも今日で2回目(苦笑)。でも、それが楽しくもあるんだけど」
■チーム名「コバナガ」さんペア(ゴルフ友達)
ゴルフ歴は男性50年、女性14年
「競技志向のクラチャンには年齢的についていけないから、今はこのペア・スクランブルが一番楽しいです! 今日は4回目の参加で、前は他の女性と組んだけど嫌われちゃって(泣)。やっと良いパートナーに巡り合えたので、離さないように品良くプレーしようと思います。
ペア・スクランブルは、パートナーがミスをカバーしてくれるところが良い。お互いカバーし合ってベストボールで打てるのが最高ですね。大事なことは、パートナーがミスしても責めないこと。カバーしながら褒めること! 今日はベストスコアの74でした。夢のようなスコアですよ」
■田島さんご夫婦
ゴルフ歴は旦那様35年、奥様40年
「楽しそうだなと思って参加して、10回以上になります。お互いのミスをつつき合いながらも(笑)カバーし合ってプレーしています。今日のスコアは77でまずまず。ここは近所なので、車で5分で来られるところも良いですね」
夫婦も、そうじゃない間柄の男女も、協力し合ってベストスコアを目指すのがスクランブル。日本のゴルフは「偏差値教育」に似て、スコア至上主義なところがあるけれど、2人1組の「ペアゴルフ」は組み合わせによって様々な楽しみ方がある。
親子や祖父母と孫、上級者と初心者の組み合わせなど、目的によって企画を立てられる。70回目にして満員御礼ということが、有効な集客法であることを示している。他のコースも導入してみては?
文責:広瀬彩子