「ゴルフを通して、ソフィーナを知ってもらう機会を作りたかったんです」
そう語るのは、花王株式会社ソフィーナ事業グループの北村仁氏だ。
連日の猛暑が続く今年の日本列島。灼熱の太陽の中でのラウンドは男性の想像以上に女性ゴルファーにとっては死活問題だ。自然とゴルフ場からも足が遠のき、ゴルファーの減少に拍車をかける。
花王は先頃、女性限定のゴルフコンペ「ソフィーナゴルフフェスタ2018」をブリストルヒルゴルフクラブ(千葉県富津市)にて開催した。
ソフィーナの土台美容液は美容液市場No.1の売上を記録
「ソフィーナ」は、筆者も含め男性ゴルファーには馴染みの少ない言葉かもしれないが、化粧品メーカー大手、花王のブランド名だ。主力の「土台美容液」は、累計300万本を出荷し、2017年には美容液市場No.1(美白美容液除く)の売り上げを記録したヒット商品で、「肌本来の美しさを引き出す」ために土台からスキンケアを変えていこうというコンセプトを掲げ、高濃度のマイクロ炭酸の泡効果で、まるで生まれ変わったかのようなハリに満ちたなめらかな肌になるという。
そして、満を持して9月にパワーアップした第2弾の発売を控えている。しかし、北村氏は口元を引き締めてこう語る。
「菅野美穂さんや、石原さとみさんなど、女性からの支持が高い方をCMに起用したり、全国で月に1~2回のペースで駅や催事場などに特設ブースを出して、無料相談イベントなどを実施したりして認知度拡大を進めていますが、まだまだ浸透していないというのが実状です。『ソフィーナ』の全スキンケア市場でのシェアも9%程度なんです」
化粧品メーカーでは業界2位の同社だが、そこには資生堂、コーセーの壁が立ちはだかっているという。
「花王は、大きく分けて化粧水や乳液などを担う『スキンケアチーム』と『メイクチーム』に分かれているのですが、口紅やファンデーションはその日の気分によって色を使い分けたりすることから、様々なメーカーのものを持っているという女性も多いんです。ところが、こと化粧水などのスキンケア商品に関しては、直接肌につけるものなので、なかなかメーカーを替えてくれないんですよ」
スキンケア商品は、自分の肌に合う合わないという観点から、一つのメーカーに決めたら同じものを使い続けるという女性が多いという傾向も、シェアが変動しくい理由の一つだという。
「美容×スポーツ」ソフィーナの新発想
そこで、同氏が着目したのがスポーツとのコラボレーションだ。2020年に東京オリンピックが控える中、スポーツ人口が増えてくるはず。そこにソフィーナの活路があるのではないかと考えたという。
「まずは体験してもらえれば、必ずソフィーナの良さが分かってもらえると思っています。そこで、今月名古屋で行われた、アジアマスターズという水泳大会に協賛して、来場者を対象にPRイベントを行ったところ、5日間で延べ1万5000人の来場者の内、750人がソフィーナのブースに来て体験してくれました。大会に参加する選手も、レース以外の時間は暇を持て余しているもの。そんなアスリートにも認知してもらえるいい機会だと思ったんです」
イベントを通して、ソフィーナを初めて知ったという女性が多く、効果を感じたという。
ソフィーナでゴルフも美容も楽しみたい!
次に企画したのが、「ゴルフ」とのコラボレーションだ。女性ゴルファーにとって日差しは天敵。ゴルフの日焼け対策にソフィーナを有効活用してもらえたらと考え、PRイベントの相談をしたのが、株式会社ヒューテックジャパンの田中禎晃社長だ。
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株式会社ヒューテックジャパン 田中禎晃社長[/caption]
同社は、女性限定のゴルフコンペの企画や、女子プロのマネジメントなど、「女性ゴルファー」に絞ったサービスを展開している。その理由を田中社長はこう語る。
「ゴルフ事業を立ち上げた2010年の段階で、10年先20年先を見据えてスタートしました。女性も子育てしながら働いたりなど、女性の社会進出がより進み、女性の役員登用が増え、会社の中での地位が上がっている状況の中で、やがて女性役員による接待は飲みの場ではなく、健全なゴルフになると確信していました。ゴルファーの比率も必ず女性の方にシフトしてくるはずです。僕が『女性ゴルファー』に限定してサービスを提供するのは、それが理由です」
同社が運営するレディスゴルフウエア通販サイト「ビビゴルフ」は既に4万人の会員を有しているという。
「そんな時、花王さんより、女性ゴルファー向けにソフィーナのPRイベントを行いたいという相談をもらい、実現したのが今回の『ソフィーナゴルフフェスタ2018』です。女性ゴルファーにソフィーナを知ってもらい、ソフィーナの利用者から新しい女性ゴルファーが創出できる可能性もあるので、意義が深いイベントになると思いました」
イベント参加者を募集するメールを会員向けに送ったところ、2日で定員の60人に達したという。
イベントは盛況!ソフィーナの新たなターゲット層拡大も
イベントは9番ホールと18番ホールに、「土台美容液」のバルーンを置き、ティーショットがバルーンに当たった参加者に豪華景品をプレゼントなど、盛り上がりを見せた。ティーショットのデモンストレーションには、プレゼンテーターとしてリンゴルフの三枝こころ氏も参加。運営スタッフ共にイベントを盛り上げる姿が印象的だった。
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イベントを盛り上げる花王スタッフ[/caption]
コンペ後の表彰式では、参加者全員に「新・土台美容液」の体験会と肌診断を実施。実際に商品を体験した参加者からも「今までソフィーナを知りませんでしたが、使ってみたら良いなと思いました」という声もいくつか聞かれた。
ソフィーナがターゲットとしている、40~50代に対して、参加者は20~30代の割合が4割を占めており、前出の北村氏も
「新たな層に認知してもらえたのはありがたいこと」
と手ごたえを感じているようだった。
女性同士の口コミ、SNSでの拡散に期待
化粧品の買い替え動機は、既存の利用者、とりわけ家族や友人からの紹介によるところが大きく、女性同士の口コミの大切さを感じているという。今回のようなゴルフイベントを通して、SNSでの拡散や、参加者からの口コミで、ゴルファーに商品が浸透していくことに可能性を感じているという。全700万人のゴルファーの内、女性は2割程度とは言え140万人のマーケットだ。
「美容とゴルフ」ー。花王の新しい試みは、美容業界のみならず、女性ゴルファーの創出とゴルフ業界の活性化に繋がるかもしれない。