ゴルフ初体験の青少年を 指導するスタッフの熱意

ゴルフ初体験の青少年を 指導するスタッフの熱意
絶好のゴルフシーズンで賑わった2021年11月、有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)では、地元の小学生、中学生、高校生に複数のゴルフ体験教室を行ない、さらに多忙だった。いずれも学校の授業と関連し、小学生は毎月開催しているファースト・ティ教室の他、地元三田市が主催する課外教育プログラム「こうみん未来塾」から「ファーストティゴルフ体験教室」を開催した。 「こうみん未来塾」とは、地元の専門機関や、三田市にゆかりのある専門家、地域の達人たちの協力を得て、子どもたちへ本物に触れる機会を提供できるプログラムを三田市が用意したものだ。児童クラブなど地域の運営サポートにより、地域の子どもたちに本物に触れる場をつくっていく事業である。 今回は三田市立あかしあ台小学校のPTA家庭教育学級から依頼されて、20人の子どもたちがファーストティゴルフ体験教室に参加した。 次に中学生である。三田市立富士中学校と八景中学校の2年生全員を対象に、それぞれ校外学習「ファーストティゴルフ教室」として開催した。人数は90人と200人、1度に開催するにはあまりにも人数が多いため、各校3班に分かれてそれぞれ3日間の開催となった。 最後に高校生――。こちらは昨年に引き続き、兵庫県立西陵高等学校3年生40人の体育授業である。9月から12月の間で全6回の授業。前半3回は学校内で、後半3回はゴルフ場で行う。11月には、6回のうち5回目の授業を行った。 さて、肝心の指導者だが、小中高、さらに大学生の「Gちゃれ」まで、これらすべての教室において、ゴルフコーチはすべて当クラブの社員が行っている。 ヘッドコーチはNGF(日本ゴルフ財団)のプロコーチで、現在は当クラブのキャディーマスターとしても勤務している。マスター室にはキャディーマスターを含めて3人の常勤社員がおり、3人ともコーチを務める。これにゴルフ競技で優勝経験のある女性キャディーが加わって、総勢4人体制だ。 11月は特に人数が多かったため、必要に応じてその他の社員も臨時コーチとして参加した。

やんちゃ坊主に丁寧に説明する

体験教室は14時ごろから2時間程度の開催が中心となるため、ある程度の人員を回すことができる。それでもマスター室の常勤社員が全員コーチに出てしまうこともあり、その間はキャディーやパート社員などでマスター室周辺を切り盛りする。また、コース管理のスタッフも準備などを手伝っており、全社を挙げた協力体制となっている。 なぜ、ここまで力を入れるのか? それは、初めて来たゴルフ場での初めてのゴルフ体験を、とにかく楽しんでもらいたい、「またやりたい!」と感じてほしいとの想いに尽きる。その想いを全員が共有し、保護者や先生方にも伝わるため評判がよく、今後ますます輪が広がる可能性があるように感じている。どこまで広げていけるか、今はブレーキをかけずに進んでいきたい。 子どもたちの体験ゴルフ教室を行うとき、安全への配慮が一番大切である。放っておくと子ども同士の距離がどんどん近くなる。過去には振ったクラブが顔面にあたるようなケガもあった。そうした経験から安全な距離を保つことを重視し、コーチの指示に従うというルールを守ってもらうように徹底している。 ファースト・ティの教えでは、子どもをけっして怒ってはいけない。今回初めて中学生を受け入れたが、少々やんちゃな子が数名いたのでとても不安になった。しかし、無理やりルールを遵守させるのではなく、なぜ守らなければならないのかを実演しながら時間をかけて丁寧に説明し、その上で各コーチが実習に目を配るようにした。すると、そういう子たちもルールを守りながら楽しんでくれることが今回よくわかった。それもこれも、ヘッドコーチのおかげであり、実演を絡めた話術の妙に改めて感動した。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年2月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら