北京オリンピックカーリング日本代表ロコ・ソラーレの快挙に湧く北海道で、「スノーゴルフトライアスロン」(ゴルフ5カントリー美唄コース)が初めて開催された。これはスノーゴルフに雪上でのマラソンとバイクを加えた、かなりタフな3種競技である。
GDOは2016年、雪解けまでクローズせざるを得なかった豪雪地域のゴルフ場に向けて、豊富な雪を利用した新たな取り組みを提案している。冬季でもゴルファーと共に地域の活性化を進めたいゴルフ場と協力して「スノーゴルフ」を開催、今年7年目に突入している。
開催コースとなったゴルフ5カントリー美唄C運営課長の原美幸(はらよしゆき)氏に話を聞いた。
「最初に提案があった時は、正直うまくいくか不安がありました。冬に北海道でゴルフやる人なんているの? と思いましたが、実際やってみると日本初ということもあり、想像以上にお客様の反応がありました。年々、SNS配信や口コミ等で『冬はゴルフ出来ない!』から『冬でもゴルフは出来る!』に変わってきていると実感します。『雪の上でもゴルフが出来ると聞いたんですけど』という電話の問い合わせが結構あります」。
具体的な利用状況については次のように話している。
「今年は1月8日~2月27日の土日祝日が、スノーゴルフ可能日です。それで1月は20組、2月も20組の予約が入りました。美唄市には冬場の練習場所が少ないため、クラブを振りたいメンバーのリピート参加が多く、コースまで高速道路で1時間ほどの札幌から、20~40代の方が話題づくりやSNS映えを目的に参加されるケースも目立ちます」
このような伏線があって今年、先述の3種競技開催につながった。
「この日、ここでしかできない! 雪上でのラン、バイク、スノーゴルフトライアスロン」と称して、日本初開催にこぎつけた。
ゴルフ5カントリー美唄Cは冬の間「美唄スノーランド」を常設しており、スノーゴルフに加えて、スノーチュービング、スノーラフティング、スノーモービル、四輪バギーなどの雪遊びが楽しめる。そこで人気の極太タイヤで雪上をガンガン走れるファットバイクと、ランをスノーゴルフに加えてトライアスロンにしたら面白いという発想で企画したのが今大会だ。
あそびのある人生
集客への不安はどこへやら、申し込みは定員16名を超えてキャンセル待ちがでたほど。当日は晴天の下、5キロのマラソンからスタートし、2キロのファットバイクを終えて4ホール(パー15)のスノーゴルフの合計スコアで優勝を争った。
表彰式には美唄市の齋藤久美夫市議会議員が駆け付け、
「豪雪で知られる美唄市ですが、ゴルフ5カントリー美唄コースではファットバイク、マウンテンバイク、eバイク(電動自転車)で150分間の耐久レースをおこなう『第2回スノーサイクルレース』のほか、冬のお祭り『スノーフェスタ』『クロスカントリーレース』『スノーマラソン』など様々なイベントに取り組んでいます。美唄には焼き鳥、とりめしなどの特産や温泉もあるので、美唄を好きになって帰っていただきたい。来年もみなさんと再開できるのを楽しみにしています」
と笑顔で締めくくった。
GDOの吉川雄大副社長は、
「本来は雪でクローズになるゴルフ場でも、こんなにもゴルフやイベントを楽しむことができる。当社は昨年、今後の目指す姿として『PLAY YOUR LIFE=あそびのある人生』を新たなブランドスローガンとして制定しました。このような取り組みを続け、地域活性化につながるイベントを目指したい」
と、極寒の北海道で熱く意気込みを語った。
■コメント
雪上でのマラソン5キロ、バイク2キロ、ゴルフ4ホールの「スノーゴルフトライアスロン」を激走した参加者が、体から湯気を出しながら体験談。
黒坂祐太さん(男子1位/トータルスコア52・34(ランニング25分14秒、バイク11分20秒、スノーゴルフ16)
天気がよくて気持ちよかったが、正直、つらかった。特に雪上バイクはスリップするし、なかなか前に進まないし。普段は札幌市内にあるインドアゴルフ練習場「天狗道場」で練習をしていて、ベストスコアは76。今回はホームコースだったのでイベントを知りました。北海道のYouTubeゴルフチャンネル「エゾゴルフ」で挑戦しているのを見て、参加を決めました。先週、「スノーゴルフ」の練習ラウンドをした成果が出て、1オーバーでまわれたのが勝因かな。僕には「ドンピシャ」の競技なので、来年も参加したいと思います。
あおい夏海さん(女子1位/トータルスコア68・36(ランニング34分59秒、バイク12分37秒、スノーゴルフ21)
昨年「スノーゴルフ」に挑戦したときは吹雪で寒かったですが、今回は上着を脱ぐくらい気持ちよかったです。このコースはフットゴルフで何度も来ていて、ゴルフだけでなく色々なスポーツが楽しめていいですね。直前までダイエットでバイクのトレーニングをしていたのが功を奏して優勝できましたが、来年はランニングを強化して臨みたいです。北海道で温泉旅行やスノーボードのついでにゴルフができるなら絶対に来ちゃいます。インスタ映えも間違いないし、普段のゴルフと違ってエンジョイできますね。
誉田佑子さん(女子2位/トータルスコア69・42(ランニング32分40秒、バイク15分02秒、スノーゴルフ22)
今回はすべてが初体験。以前、東京マラソンを2回完走しているし、ランニングの練習をして臨みましたが、思っていたより5倍以上きつかった。雪上は片栗粉の上を走る感じで、毎回一歩ずつ足をとられるのと、転ばないように支えるのがつらい。
バイクは始まる前に少し練習して余裕だなと思いましたが、普段から慣れていないので前輪と後輪のギアがうまく使えず、途中で転びまくりました。ゴルフでは雪がでこぼこしてボールが当たると曲がるので、ラインを出さずにホールをめがけて思い切り打ったほうがいいなど改善点が見えました。外気温はマイナス2度だけど、ゴールして雪の上に倒れこんだらサウナ上がりの水風呂に入ったみたいに整って気持ちよかった。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年4月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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