2022年2月7日―。新型コロナウイルス感染防止の観点により蔓延防止等重点措置が発令されている最中、有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)では、流通科学大学(兵庫県神戸市)人間社会学部のスポーツ心理学ゼミにおける1日ゴルフ体験プログラム「Gちゃれ」を開催した。
新型コロナの感染者数が日々増加する中での開催が危ぶまれたが、ゼミ担当〝うっちー〟先生の強い意志によって、実現にこぎつけることができた。先生は、
「長期間におよぶコロナ禍の影響でゼミ生同士の交流の場が失われています。本来であればゼミコンやゼミ合宿、ゼミ旅行をするなどしてゼミ生間の親睦を深めるのですが、そういったイベントが開催できない社会情勢が続いています。
そこで、それらに代わる交流の場として、日帰りスポーツイベントを企画。特別にゴルフ体験ができる機会を設けました。積極的に参加してゼミ生間の交流を深めてほしい」
と、今回の意義を話した。
そこで我々は「親睦を深める」という目的のために、「ゴルフを通じて楽しむ」ことができる内容を議論。そうして決まったのが、午前中の練習後にDCPゲームを行なうことである。
〝DCP〟は〝ドライブ・チップ&パット(Drive, Chip and Putt)〟の略で、アメリカで発祥したゴルフゲームのひとつ。ジュニア競技としてマスターズ・トーナメントとPGA(全米プロゴルフ協会)、USGA(全米ゴルフ協会)が共同で実施している。毎年、全米50州のコースで300以上の地区予選が行われ、最終的に各地域の優勝者が、オーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブで開催される「ドライブ、チップ、パット全国決勝大会」への参加権を獲得するという、とても大規模な競技である。
このDCPのゲーム内容は、3つのスキル(ドライビング、チッピング、パッティング)のカテゴリーごとにポイントが与えられ、最も多くのポイントを獲得した選手が優勝者となる。要するに「飛ばす」「寄せる」「転がす」の3つのゴルフ要素を分解して、それぞれに得点を付けて競うといったゲームである。ドライビングレンジ、アプローチ練習場、パター練習場の3つが競技会場となる。
この度の体験プログラムは、コロナの感染拡大を懸念して欠席する学生や濃厚接触者として自宅待機を余儀なくされた学生などが出て、最終的に男子学生4名の参加となった。このうち2名が全く初めてゴルフクラブを握った。
DCPゲームは4名の学生と〝うっちー〟先生、そして〝しーま〟コーチの6名で競うこととなった。
まずは「D」のドライビングである。飛距離を競ってポイントをつける。ここでは、ゴルフ経験者の〝ふうま〟君が274ヤードで22ポイントをゲット、トップに立った。
初心者の〝くろ〟君も〝やっく〟君も200ヤードを超える飛距離を出して大健闘!
その次に「C」のチッピングだ。ここではもう一人のゴルフ経験者の〝おとや〟君がピンそば50㎝にピタリと寄せて、20ポイントをゲットして逆転に成功。
そして最後の「P」パッティングである。①1・8m、②4・5m、③9・0mの3か所からチャレンジする。それぞれにポイントを付与するため、全員に優勝のチャンスがある。〝うっちー〟先生も〝しーま〟コーチも長いパットを寄せきれず、〝おとや〟君が逃げ切って優勝。初心者の〝くろ〟君も短い距離で順調にポイントを取ることができ、合計点でも大健闘の結果となった。
楽しみながら「本質」を理解
今回のテーマは「親睦を深める」なので、「Gちゃれ」で初めてDCPゲームを取り入れた。少人数とはいえ、予想以上に盛り上がったのではないかと思う。毎回、経験者と初心者が一緒になって楽しめるゲーム方法を模索している。
DCPゲームは経験者にとっても、自分の長所短所が明確になるという点で今後の研鑽に役立つのではないか。右も左もわからない初心者にとっては、ゴルフの3つの要素について楽しみながら知る機会であり、それぞれの要素を理解して楽しむことが本格的なゴルフデビューへの第1歩となる。
アメリカではジュニアに対して行われている競技だが、大人も含めたゴルフの入り口にはとても有効な手段のひとつと考えている。
最後に「Gちゃれ」の翌日、〝うっちー〟先生から、以下のメールが届いたので紹介しよう。
「昨日はゴルフ体験イベントを開催いただきありがとうございました。
経験者も初心者も、それぞれゴルフ場でのゴルフ体験がとても楽しかったようで、帰宅後に『来年度もあるなら参加したい』とメッセージをくれました。
今回は基本的にゼミの学生のみを対象としましたが、来年度はもう少し参加者の枠を広げて開催できますと有難く存じます。15名程度集めることができれば、ゴルフに対する印象が1日ゴルフ体験を通じてどのように変化していくのか、ある程度の傾向を把握できるように思います」
さらに産学連携を推し進め、初心者のゴルフに対する意識変化を把握することができれば、より効果的なゴルファー創造策が見つかるのではないかと考えている。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年6月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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