起:日本で開催されるはずだったフットゴルフW杯
本連載では、セブンハンドレッドクラブ(栃木県)が地域に開かれたゴルフ場の在り方を模索し、ゴルフ以外でどのようなことを仕掛けているかについて紹介してきた。お陰様で地域内外からも「色々とやっているゴルフ場」であることが認知され始めてきた。
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3代目として継業した時から想いは変わらず、ゴルフ場の潜在的可能性を開放するためには、ゴルファーは勿論、ノンゴルファーにもゴルフ場の魅力を感じてもらうことが必要だと信じてやってきた。その際たる事例がフットゴルフだ。
本来であれば、2020年に40か国・1000人が集まるフットゴルフワールドカップがセブンハンドレッドで行われ、歴史に残る年になるはずだったが、コロナ禍のため残念ながら中止になった。ただ、僕たちはワールドカップ招致・開催の夢を諦めていない。国際フットゴルフ連盟では、フットゴルフの振興を促進するために2年ごとにワールドカップを開催しており、日本に誘致すべく今でも僕たちは水面下で取り組みを進めている。今回はその様子をお届けしたい。
承:フロリダで行われたワールドカップ
2023年5月27日から6月6日にかけて、フットゴルフワールドカップが米フロリダ州のOrlandoにて行われた。開催コースはなんと、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内にある、Walt Disney World Golf Courses。アメリカを象徴するエンターテインメント・リゾートの最高峰の場所で、39か国・1300人のフットゴルファーが集結した大会となった。
まず驚いたのは、その大きさ。ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートは世界最大の広さのリゾートで、その面積は実に山手線内側の約1・5倍もある約12万2000km2。広大な敷地の中には、複数のラグジュアリーホテル・ビラ、巨大なスーパーからレストランまである最高の環境での開催。加えて、大会中はアプリで見られる生放送の映像も入れ、複数のスポンサーが付くなど2028年ロサンゼルスオリンピックでの種目化を目指した用意をしていた。
主催のアメリカフットゴルフ協会の会長は、このワールドカップを成功させるために、家族でフロリダに移住して用意を重ねていたそうだ。2025年は日本に招致を!とロビー活動のため勇んで乗り込んだものの、見事にその規模・本気度の違いを見せつけられた気分だった。
転:日本のゴルフ場の可能性は周辺地域の活用にある
ワールドカップを通じてフットゴルフは勿論、ゴルフというスポーツが如何に身近であるか、日米の差を感じられたのは収穫だった。
Walt Disney World Golf CoursesはPGAツアーが行われるようなコースでもありながら、常設でフットゴルフが楽しめ、リゾートのパッケージとしても販売されていた。Magic Kingdom Theme Park(日本のいわゆる「ディズニーランド」)の真横にゴルフコースがあり、家族でレジャーに来て、ゴルフ組とテーマパーク組に分かれて楽しめる設計だ。
ゴルフが主目的でなく、レジャーや地域に遊びに来た人が、気軽にゴルフを楽しめる。これこそ、日本に必要なゴルフの文化だと確信した。アメリカ式のテーマパークは作れなくても、日本ならではの地域の魅力を磨き込み、活性化を通じて観光地に押上げ、そこにゴルフ場が存在するという姿。そんなセブンハンドレッドの未来を創りたいと、改めて強く心に決めた。
結:今後のセブンハンドレッドとフットゴルフ
規模の差を見せつけられ、諦めるなんて生半可な気持ちで取り組んでいる僕たちではない。2023年11月には日本で3回目となる、大規模な国際フットゴルフ大会の開催をセブンハンドレッドでは控えており、世界各国から約150名のフットゴルファーが集まる見込みだ。
既にイギリスやオランダ、マレーシア、アルゼンチン等からの問い合わせがあり、フロリダでもしっかりと彼らとコミュニケーションを取りながら「日本に行きたい!」という声をしっかり獲得できた。世界随一のリゾートでなくても、地域資源をフル活用しながら、独自のワールドカップ開催を目指して。
2025年に日本でフットゴルフワールドカップの招致が出来るよう、世界各国の選手と密にコミュニケーションを取りながら「日本への期待」を集めるべく、これからも頑張っていきたい。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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