数値に表れないゴルフ場の魅力 三田市内7コースの「ゴ朱印めぐり」

数値に表れないゴルフ場の魅力 三田市内7コースの「ゴ朱印めぐり」
いつもは子どもや学生に向けた「ゴルフチャレンジ」について書く機会が多いのだが、今号は、有馬カンツリー倶楽部が加盟している地元兵庫県三田市ゴルフ協会の新規プロジェクトについて紹介したい。 2024年7月より、三田市ゴルフ協会加盟のゴルフ場七か所をプレーしてめぐる『ゴ朱印めぐり』プロジェクトを始めた。「ゴルフ」と「御朱印」を掛けたわかりやすいネーミングである。 当コースのほか、有馬冨士カンツリークラブ、神戸三田ゴルフクラブ、サングレートゴルフ倶楽部、三田ゴルフクラブ、三田レークサイドゴルフクラブ、千刈カンツリー倶楽部の7か所のゴルフ場を七福神の神様になぞらえ、オリジナルの朱印シールを専用ゴ朱印帳に貼って収集していくスタンプラリーである。 近年、寺社の御朱印だけでなく、「御城印(お城)」「御船印(船舶)」「御湯印(温泉)」「御鉄印(鉄道)」「御翔印(空港)」など様々な御朱印があり、流行しているが、ゴルフ場やゴルフについては、まだ行われていないようだったので、全国に先駆けてゴルフ場専用の「ゴ朱印」と専用のオリジナル「ゴ朱印帳」を考案。三田市ゴルフ協会の新たなプロジェクトとして実施するもの。 このプロジェクトの実施で、三田市へのマイクロツーリズム及びインバウンドツーリズムの活性に一石を投じ、地元地域の振興に寄与していくことを目的としている。そのため「ゴ朱印帳」にはゴルフ場の情報だけでなく、近隣の観光スポットやグルメスポットも掲載している。 ゴ朱印帳は、初版1000部限定とし、販売価格は原価ギリギリの1100円(税込み)。 また各ゴルフ場でプレー時にゴ朱印帳を持参の方のみ、無料で「ゴ朱印」シールをお渡しする。すべてのゴルフ場をプレーした場合には、満願シールも配布する。

評価は「数値」だけ?

三田市ゴルフ協会の会長は元三田市長が担っているが、実際に協会の運営を担っているのは7か所のゴルフ場支配人である。事務局は現在有馬カンツリー倶楽部にある。そのため、本プロジェクトについてもゴルフ場及び発案した当クラブが中心となって進めている。 地域振興及び協会の取り組みの活性のために実施するプログラムではあるが、「ゴ朱印」には、もうひとつ目的があった。 それは、市内7か所のゴルフ場それぞれの個性を差別化して可視化することである。 ポータルサイトによるゴルフ予約が一般化している現在、ゴルフ場を決める3大要因はすべて「数値」である。 1つ目に「価格」、2つ目に「最寄りインターチェンジからの距離や時間」、3つ目は「口コミなどの評価ポイント」である。いずれも数値でのみ判断され、ゴルフ場が本当に伝えたいそれぞれの特徴がなかなか伝わらない。 そこで、「ゴ朱印帳」を制作するにあたり、お互いのゴルフ場を比較しながら、他のゴルフ場にはない特徴を引き出し、それを掲載してゴルファーに知っていただく。そうすることで、同じ市内でも特徴が異なるゴルフ場を見つけて「次はここに行ってみよう!」と思ってもらえるかもしれない。そうしたものを作りたかった。 近隣ゴルフ場の特徴を理解し、自社のゴルフ場の特徴との差別化を明確にする。そうすることで、近隣ゴルフ場同士が「数値」のみで競争する原理から脱却し、近隣同士がお互いで送客し合う方向に舵を切る。このような工夫を重ねることで、地域全体に多くのゴルファーを引き寄せることができるのではないかと考えている。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら