ゴルフと学童保育には高い親和性がある 有馬カンツリー倶楽部社長 谷光高 

ゴルフと学童保育には高い親和性がある 有馬カンツリー倶楽部社長 谷光高 
2024年に入ってから、大阪YMCAしろがねこども館の担当者と、ちょくちょく話をさせていただいている。先だっては、こどものゴルフ体験だけでなく、こども館がある兵庫県川西市が公立中学校部活の教員顧問制を廃して「社会移行」を進めていることなども含め、数時間に及ぶ議論をした。   有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)と大阪YMCAが関わりをもつようになったきっかけは、弊社が加盟している一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会(以下NGK)が参画している、文部科学省の「土曜学習応援団」プログラムを通じたゴルフ体験教室の開催依頼だった。 春休みの3月27日に約40人が参加した「土曜学習応援団」ゴルフ体験教室を、有馬CCで開催したことを皮切りに、夏休みに入ったばかりの7月29日には大阪YMCA松尾台こども園にて、こちらも約40人の小学生が参加したスナッグゴルフによる出張ゴルフ体験教室を実施。さらに8月27日には、ファーストティ有馬教室サマーデイキャンプに、約15人の大阪YMCAの小学生が参加してくれた。 大阪YMCAしろがねこども館のアフタースクールでは、学童保育として、平日の放課後や夏休み、春休みなどに小学生を預かり、適切な教育、遊びを通じて安心して過ごせる環境を提供されている。 また、楽しみながら取り組める社会体験プログラムなども積極的に行い、子どもたちが自ら「したい」「学びたい」という気持ちを伸ばすように努められている。 春休みや夏休みには、早朝から夕方遅くまで子どもたちを預かられている。そのため、日々子どもたちの新たな学びを作ることは本当に大変な業務といえる。

日本とアメリカの違い

そうした学童保育のご苦労に対し、弊社では微力ながら今後も協力していきたいと考えている。なぜなら、弊社が推進しているこどもたちのゴルフ体験教室である「ファーストティプログラム」の活動は、学童保育との親和性が高いと考えているからである。 「ファーストティプログラム」発祥のアメリカでは、学校教育や放課後教育に広く活用され、子どもたちを事件や事故から防ぐ放課後の安全な見守り活動の一旦を担っている。例えば、アメリカのバージニア州にあるファーストティ ハンプトンローズは、サウス ハンプトンローズYMCAの専門プログラムの一つとなっている。 バージニアビーチナショナルゴルフクラブの敷地内にファーストティの拠点があり、専用の9ホールコース、練習場、学習センターに加え、地域内にある複数のゴルフコースでプログラムを提供されている。 このように、アメリカではYMCAのプログラムの一つとして、子どもたちの健全な成長に「ファーストティプログラム」を通じてゴルフが活用され、日常生活に欠かせないものとなっている。 一方、日本の現状はどうだろう?周知のように、日本では学校教育にゴルフが活用されている事例はほんの一握りで、放課後教育についてはいまだ皆無といえるのではないだろうか。 ゴルフやゴルフ場の存在は、日本の子どもたちの日常生活にとってはまだまだ遠いものであり、ゴルフが持っている公益性を広く理解してもらうことなど全く考えられないのが現実である。 日々の放課後教育にゴルフ場を活用することは、まだまだ困難かもしれない。しかし、春休みや夏休みの教育プログラムでは、「ファーストティプログラム」を通じてゴルフが学童保育に一役買うことができるということは分かった。 こうした小さな積み重ねが、将来においてゴルフの公益性を広く世間に知ってもらう礎になるかもしれない。そう願って今後も活動を続けていく。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら