1. 練習場・インドア

第3回  早くも現れたゴルフ練習場「挑戦」の結果

練習場・インドア 礒﨑博文

4月24日、ROYAL GREEN Mito(茨城県水戸市)は全面改修を終えてグランドオープンを迎えました。当日の来場者は400名超と大きな手応えをつかみ、その1か月後、5月24日時点で発行したICカードは約4000人分。

この数字は、目標の135%と絶好調でした。そこで今号では、スタートダッシュに成功した私たちのマーケティング戦略につき、その一部を紹介します。

広告費をかけず1万4000名(4月24日~5月24日)


まず、オープンに際しては折り込み広告やWeb広告など、一切費用をかけませんでした。その一方、有名ゴルフ業界誌から地元誌、新聞各紙含め10媒体以上、さらにはNHKのTVニュース(茨城版)でも放送されるなど、多くの取材を受け、認知度が高まったことがあります。

なぜ、これだけ多くの取材があったのか? 私なりの回答は、当施設が「旧来のゴルフ練習場ビジネスの枠を超えた」と受け取られ、メディアが興味を覚えたのではないかというものです。

弊社が新たな概念でリニューアルに踏み切った背景には、ゴルフ業界を取り巻く『負』を解消したい想いがありました。

この理念を実現するには、前回までにお伝えした通り、『顧客軸』×『業界(ゴルフ)軸』×『地方軸』の3軸を有機的に絡ませ、その結果「従来の枠を超える形」になったわけです。。

「顧客軸」で言えば、新規ゴルファーと既存ゴルファーに加え、ゴルフに全く興味がない地域住民へのアプローチ。それぞれどのような価値を提供すれば笑顔になっていただけるかという観点で、接客サービス・商品開発・リニューアル店舗デザインを設計しました。

「ゴルフ軸」で言えば、過去から現在を俯瞰的に分析して、未来志向の必須要件を考え、取り入れました。

「地方軸」として茨城県内に目を向ければ、魅力度ランキングが毎年のように最下位であるため、『観光』の切り口で『県外から集客して地元経済を刺激する』ビジョンを掲げました。

いずれも、過去の『負』を解消する新たな機軸であり、メディアが注目した所以でしょう。

オープンから1か月、毎日店頭に立ち、接客をしていて驚いたのが、こういったメディアを見た来場者が非常に多かったことです。

報道では弊社の事業コンセプト・経営戦略などの紹介が多く、こういった記事も集客につながりました。

特に、ゴルフ業界関係者や企業経営者が弊社のビジネスに興味を持ったうえで、ゴルフの練習を目的に「顧客」として来店頂いたことは大きな自信です。

独自のSNSマーケティング


広告費をかけずにリニューアルに踏み切れたもう一つの理由は、私たちならではの『SNSマーケティング』に自信があったからです。SNSというと猫も杓子もTwitterやInstagramが使われていますが、当社が生成に注力したのはUGC(User Generated Content)です。

UGC生成とは、簡単に言うと、一般ユーザーによって作られたコンテンツを生成するということです。

自社としては当然、魅力的な店舗情報をInstagram上で発信しますが、それよりも大事なことは、如何に一般ユーザーがSNSで投稿したくなるか、の仕掛けづくりです。これで火がつけば、当店のコンテンツが一般ユーザーの手によってつくられます。その着火は爆発的で、圧倒的なスピードでROYAL GREENがリーチされていくのです。

私たちが生成したUGCは沢山ありますが、もっとも戦略的に仕掛けたのが「レディースシート」「グループソファ」「プライベートルーム」の世界観でした。写真を撮りたくなる、SNSにアップしたくなる仕掛けです。

インスタ映えという言葉をよく聞きますが、まさにそれです。レディースシートは1脚60万円と高額ですが、夜間には内蔵された照明が内側から灯をともし、幻想的な世界を演出します。

また、グランドオープン前に影響力のあるインフルエンサーを招待。練習打席だけではなく、ビリヤード、ダーツ、カフェなどで楽しんで頂き、みなさん楽しそうに写真を撮っていました。

が、その写真の公開日(オープン3日前)をこちらでコントロールしたのでインフルエンサーが一斉に情報発信、一気にムーブメントを起こせました。

オープン初日からInstagramを見た若い来場者がたくさん見られ、インフルエンサーが撮影した箇所で同じポーズを撮りながら写真を撮影し、自身のInstagramにも投稿する。

それを見て別の人が来店するという連鎖が起きて、今の時代の言葉でいう『バズる』状態になったのです。

その効果も測定しました。当社では公式HPとGoogleマイビジネスの双方で「流入チェック」をしていますが、グランドオープン後、Instagramの投稿数を増やしたことに比例して検索閲覧数が伸び続け、昨年の同時期に比べ5倍を記録。

注目すべきはGoogleマップの検索件数と電話問い合わせで、リニューアル前と比べ約8倍になりました。この二つは実際の来場につながると思われます。

20~30代の比率が激増


次にUGC生成のポイントについて触れます。Instagramのアカウント開設は4月24日ですが、当社独自で写真の投稿をしなかったものの、1か月足らずで800人近くにフォローされました。

ROYAL GREEN Mitoのアカウントをご覧頂くと、我々の戦略を感じ取れると思いますが、このあたりはSNSマーケティングの肝なので、詳細を知りたい方はご連絡ください(笑)。以上の結果、オープン後ほぼ1か月の段階で、来場動態に大きな変化が表れています。

日本のゴルファーは圧倒的に男性・高齢者が多く、女性比率は全体の1割程度ともいわれています。

リニューアル前のROYAL GREENも市場データとほぼ同じでしたが、リニューアル後、4000名にICカードを発行して驚いたのは、60代以上の割合が、なんと19%。女性比率も17%と、市場平均とは良い意味で乖離しているのです。

嬉しいのは、60代以上の顧客が離れたのではなく、若年層の来場が増えて結果的に60代以上の占有率が下がったことです。肌感覚ですが、『家族や友人などのグループ客が増えた』ことが影響したのでしょう。

今までのゴルフ練習場は単身客が中心でしたが、大きな変化が伺えます。次号ではさらに踏み込んだデータを踏まえて現状報告をしていきます。


この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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礒﨑博文

礒﨑博文

株式会社ウィルトラスト 代表取締役社長
2013年、株式会社ライフルから独立。多重債務を抱えたゴルフ練習場の運営事業を引き受け、事業再生に。現在はゴルフ練習場2店舗に対し、新たな業態、『Golf&Entertainment空間』の開発に着手。ゴルフ業界を活性化することで地方経済を活性化することを事業ビジョンとする。

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