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  • 練習場専門の検索サイト 若手起業家がゴルフの魅力に着目

    嶋崎 平人
    1951年生まれ。東京都立大学工学部機械学科卒業。ブリヂストン(タイヤ)入社後は主に製造技術畑を歩き、その後ブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発等を担当。クラブ開発に携わり、特許を二十数件出願している...
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    「ゴルフメドレー」というウェブサイトをご存じだろうか。2021年創業のマイキャディー株式会社が運営する、ゴルフ練習場・スクールの紹介サイトだ。代表者は29歳の阿部晋氏。1991年生まれだから、バブル崩壊の年に産声をあげた。 なぜ、練習場ビジネスに参戦したのか? 今回はそのことに焦点を当て、若い世代のゴルフ市場に対する取り組みを紹介しよう。 阿部氏は静岡大学工学部を卒業した技術屋である。卒業後は浜松ホトニクスに就職した。同社は知る人ぞ知る会社で、「素粒子ニュートリノの観測による新しい天文学の開拓」でノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊教授が、素粒子を観測することになったカミオカンデの検出装置の、超高性能な光電子増倍管を開発製造した会社。阿部氏は、同社で歯のレントゲン装置やCCDカメラの研究開発をしていた。 浜松ホトニクスはゴルフが盛んでゴルフ部もあり、会社の先輩もゴルフ会員権をもっていた。そんな環境で阿部氏もゴルフにハマった。 「それで、こんなに楽しいゴルフをなぜ周りの若者はやらないのか?と疑問がわいてきたのです。私は気になるとすぐに行動するタイプで、日本のゴルフ業界がどうなっているのかを含めて知りたくなって」 GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)に転職した、というから筋金入りだ。さらに、もうひとつの理由を素直に話す。 「浜松ホトニクスでは東大や東工大卒で、趣味でプログラミングを楽しむような天才肌、研究肌の人がとても多く、そこで勝つのは難しいと感じたこともあります。自分の好きなことを突き詰めれば、勝てるんじゃないか。そう考えて、ゴルフビジネスの道を選びました」 GDOでは、一番興味のあったゴルフ予約部門で仕事をした。現場で人の消費行動を知りたかったからである。ゴルフ界、特にゴルフ場経営の現状を、仕事に携わりながら知ることができた。 「仕事を通じて、ほとんどのゴルフ場は収支が厳しいことがわかりました。どんなに切り詰めても4000円台の食事付では利益をあげることはできませんし、料金は8割ほどが立地によって決まってしまう。近場であればサービスが悪くても価格は高く、遠方ではどんなにコースや従業員のサービスが良くても値段を上げられない。つまり、従業員の努力やサービスが価格に反映されにくいわけです。でも、ゴルフ場の収益は立地条件だけではなく、営業努力がもっと反映されるべきですよ」 と熱く語る。また、若者世代がゴルフと疎遠な現状についても一家言もっている。 「ルールが厳しすぎるのです。野球の場合、初心者に対しては下からゆっくりボールを投げて、打ちやすいように楽しんでもらう。ほかの球技も同様ですが、ゴルフは初心者にも同じ土俵でプレーさせる。初心者はバンカーから出せない、グリーン周りでは往復ビンタ、ラフから脱出できないなど、難しすぎて嫌になる。おまけに『自分が審判』だからちゃんとしなければならないなど、押し付ける体質だと思います」

    日本の大人は学ばない

    GDOでは競合他社を意識しながらの営業で、必ずしもゴルフ場にとってベストな提案はできなかったというが、もともと起業志向が強かったこともあり、4年間働いた後に独立したという経緯。ゴルフ場の課題解決だけではなく、従来のゴルフスタイルから脱して、新たな楽しみ方を提案することも視野に入れ、2019年7月、まずは個人事業主として独立した。ゴルフ場コンサルや、そのゴルフ場の情報がグーグルなどの検索エンジンで上位表示されるためのSEOの指導が中心だった。 同時に、ゴルファーの課題を解決できるビジネスを構想した。ゴルファーは何を求めているのか、初心者が感じるゴルフの難しさをどのように取り除くかなど、課題を検討していった。そんな日々の中で、パーソナル総合研究所の「日本は大人になってから世界一学ばない国」という調査結果と出会ったという。 日本人の生産性が低いのは、大人になって学ぶ機会が少ないからだと思うんです。その『学び』のひとつにゴルフがあれば嬉しいです。学ぶ場として、自己投資のひとつとしてゴルフ練習場やスクールがある」 そう考えて、冒頭の新会社を設立したのだという。特に若者世代にとって、『学びの場』として練習場の敷居を下げたかった。その際、練習場はレッスンを含めて、直接練習場に行かないと申込みや予約ができないことが多く、古い世代には当たり前のこの作業が、若い世代には苦痛になることもある。換言すれば「わずらわしい」――。そこで、ゴルフ練習場・スクールの検索サイトとして、2020年10月にゴルフメドレーを立ち上げた。 「レストラン検索の『食べログ』の練習場版を目指したのです。社名は水泳のメドレーリレーから発想しました。メドレーは背泳、平泳ぎ、バタフライ、自由形の多様な泳ぎでつなぎます。ゴルフもいろいろな楽しみ方があっていいし、違う形のゴルフ練習場やレッスンがメドレーリレーでつながれば、市場の活性化にもつながると思います」 このサイトにはゴルファーが練習場の良さを投稿できる機能も付いており、「川崎市のゴルフ練習場」と検索すると「ゴルフメドレー」のサイトが上位にきて、「川崎市のおすすめゴルフ練習場」の口コミや施設概況、打席数が表示される。2020年10月にサイトを開設してから1年2か月。月間20万ビューまで広がり、人気検索サイトに成長した。 2021年4月にゴルフメドレーの運営、システム開発、SEOとゴルフ場コンサルを事業とするマイキヤディーを設立したが、従来の会社のイメージとは違った仕事の進め方も面白い。たとえばシステムを開発する場合、SNSなどでつながりのある独立したエンジニアが集まってプロジェクトを進め、得られた利益を分配する。諸事、従来の形にとらわれない新しい発想で、ゴルフ界に新風を吹き込んでもらいたい。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
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