新年明けましておめでとうございます。昨年はROYALGREENMitoのリニューアルなど多くの挑戦をした年でしたが、今年も失敗を恐れずチャレンジしますので、よろしくお願い申し上げます。
さて、2021年11月は、当店にとって最高のひと月となりました。
当店独自の施策が実を結んだという手応えを感じましたので、本号ではその内容を紹介します。具体的な数字は控えますが、前年比で記載しますので、参考にしてみてください。売上と前年比は次のとおりです。
ゴルフ練習場=166%
レッスンスクール=600%
物販=300%
以上に法人売上が加わり、合計で243%と大きく飛躍しました。
当店では「練習場部門」の売上に関して、データ分析と施策に関わる議論をスタッフ全員で行っております。図1は11月現在、約8000名にICカードを発行し、顧客の住所、チャージ金額、来店頻度などを抽出、細かく分析したものです。
最初に「商圏分析」(※図1)です。リニューアル前は、顧客全体の70〜80%が半径10㎞圏内(車で約15分)の近隣客でしたが、4月のリニューアル後は確実に商圏が広がり、茨城県内でも遠距離、さらに東京・千葉・埼玉・栃木・神奈川からの来店客も増えました。しかし、来店頻度を見てみると、半径10㎞圏内からが45%にも関わらず、月1回以上の来店客が全体の35%に留まっているため、近隣客を再来店につなげる余地はまだまだありそうです。

課題は、近隣客のリピート率の向上と、中域・広域客が再来店したくなる仕掛けづくりです。そこで、10月から様々な仕掛けを行いました。
エリア別顧客へのアプローチ
当店では、初来店のお客様に対して顧客情報(住所や年齢)を確認した上で、必ず次の質問をします。
◯近隣客の場合
・普段はどちらの練習場を利用されていますか?
・ゴルフの練習の頻度はどのくらいですか?
近隣客は継続利用が見込めます。
当店の良さを一度で感じて頂くのは難しいかもしれませんが、二度三度来店されれば必ず満足頂けるので、再来店につながる初回来店特典を用意しました。

新規客は「2000円チャージ」が圧倒的に多いのですが、初回ICカードの発行手数料300円と、1日利用単価平均1200~1300円で考えると、2000円では次回来店分のチャージがほとんど残りません。そこで、チャージ残高が多ければ再来店の動機づけになるという仮説を立て、「3000円以上チャージ」には特典(60分の打ち放題券をプレゼント。3000円チャージ1枚、5000円チャージ2枚、1万円チャージ3枚)を付与。その結果、練習回数の多い人はほぼ3000円以上、さらには初来店にもかかわらず1万円のチャージも見られるようになりました。数字で見ると、実に73%のお客様が3000円以上のチャージをしてくださることになりました。こうして、近隣客の当月中の再来店獲得に繋げることに成功したのです。
一方、広域客へのアプローチは、当日利用の「現金払い」よりも、ICカードにメリットを感じてもらうため、ICカード利用時は現金払いよりも安くなるように設定していることを積極的に告知、高額チャージの促進を図りました。
さらに県外利用者のほとんどが、当店近隣のゴルフ場でプレーする前後に来店していることが分かりました。そこで、当日のゴルフ場のレシート提示で割引になる特典を用意。
今後、近隣ゴルフ場にもこのサービスを伝え、積極的に相互送客を促進していきます。
LINEでコミュニケーション

次に、LINEを使ったマーケティングについて説明します。
2021年夏以降、LINEの「お友達登録促進キャンペーン」を打ち出しました。これにより4か月間で約2500人が増加、11月現在の登録者数は6409名です。一般的な店舗アカウントでのLINEブロック率の平均は、広告代理店調べによると40%前後。当店のブロック数は569(8・8%)と非常に良い数字になっています。なぜ、登録数を伸ばしながらブロックされず、顧客と良好なコミュニケーションがとれたのか? その要因は次の通り。
◯四半期毎の施策とセグメント配信
例:「10月~12月LINEキャンペーン LINEお友達で最大10倍ポイント(P)付与」
100球利用 通常10P→50P
打ち放題 通常10P→100P
このキャンペーンは12月末で終了し、1月以降は新たなキャンペーンメッセージを配信します。引き続き特典を受けるには、配信画面をフロントスタッフに見せてICカードへ登録する仕組みです。そのためアカウントをブロックすると、メッセージが受信できず、1月以降の特典を受けられません。初回のLINE登録案内時に、当店スタッフから、
「ブロックすると次回の特典を受けられないので、ブロックせずにメッセージをお待ちくださいね」
と伝えることで、低いブロック率を維持できているのです。
また、メッセージ配信をする際には十分な注意を払います。それはブロックされるタイミングで最も多いのが、「不要だと感じるメッセージを受け取った時」だからです。
性別、年齢、活動エリア等を分析した上で、サービスの対象客にセグメントして配信することで受信のストレスを軽減。受信者が喜ぶメッセージを届けています。
私たちが大切にしているのは「安売りをしない」ことです。単純な値引きで来店を促すのではなく、再来店につながる特典を用意し、「当店の魅力を二度三度の来店で感じてもらうことによる顧客化」をゴールに設定しています。
現在、ICカード登録者数では年齢構成が20〜60代で満遍なく分布していますが(9月号参照)、一般的に年齢と来店頻度は比例して高くなる傾向です。そのような状況を踏まえれば、冬場は寒くて来場者が減少したから値引きで集客しよう! ではなく、顧客属性ごとに、どのタイミングで、どんな特典を、どのように提供すれば喜んで頂けるのか? そのことを常に考えています。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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