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  • 地域愛に根差した 練習場の終焉が意味するもの

    嶋崎 平人
    1951年生まれ。東京都立大学工学部機械学科卒業。ブリヂストン(タイヤ)入社後は主に製造技術畑を歩き、その後ブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発等を担当。クラブ開発に携わり、特許を二十数件出願している...
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    東京都大田区にあるゴルフ練習場「馬込ゴルフガーデン」の主要ターゲットは、33歳の女性だという。これを23年前の1999年に提唱したというから、異彩を放つ。運営ソフト、屋内外の設備などもこのターゲットを意識して構築した。   現在のゴルフ界で言えば、まさに喉から手が出るほどほしい顧客層だが、当時、この層をターゲットにすると従業員に話したら、 「鼻で笑われました」 大竹章裕社長はそう振り返る。そのコンセプト通り、入り口は木製の外壁で、植栽が美しく施され緑があふれる。入り口横には自転車が30台以上停められる屋根付きの駐輪スペースがある。 町家風の受付回りは雰囲気があり、その奥のラウンジは古材を活用した「和」を感じさせる内装で、照明も昔の器具を使ったエコロジーでお洒落なこだわりを感じさせる。 ネット外周には木道が整備され、緑の植え込みが施されている。 大竹社長には、都心のゴルフ練習場のトレンドをつくり続けた自負がある。2003年に打席を塗装し、2005年に前述の玄関前を駐輪場にした。 近隣の女性が自転車で乗りつける時代を予測して、中年男性がセドリックやグロリアで来場する光景が当たり前だった当時の「常識」を大きく変えた。商圏は半径1・5kmを想定、広告・宣伝も地域密着を重視している。 「創業は昭和48年ですが、当時から地域住民のお庭がわりに使って頂きたいとの思いを込めて『馬込ゴルフガーデン』と命名しました。これを企業理念に掲げ、大人からお子さんまで、広く地域社会の憩いの場としてご利用頂けるよう、様々な工夫を取り入れてきたのです」 だが、先月の本誌で速報したように、来年1月に閉場する。東京都大田区北馬込1丁目の住宅街の好立地にあって、なぜなのか。その理由を同氏は努めて淡々と話す。 「相続にからんで、土地を手放すことになってしまい、泣く泣く心血を注いだ施設も手放すことになったのです。1000坪の土地に、駐車場を含めて2階建28打席、40ヤードで800坪です。 この打席数で年商は1億8000万円前後だから、小規模の屋外練習場としては打席当たり売上は国内トップクラスだと思っています。 それでも坪当たりの売上を考えると、10坪の喫茶店に換算したら1日5000円程度しかなく、土地効率が悪いビジネスになっている。これが根本問題です」 東京の城南地域で、かつ環状7号線の内側には特殊要因があるため、土地を使ったビジネスは、 「割に合わないと思いますね。うちのケースは特殊でしょう。全てのゴルフ練習場に共通する事情ではないと考えています」―。 2020年10月に父親が他界、相続税対策の検討を重ねてきたが、最終的に土地を手放さざるを得なかったのが実情だろう。 この地域の路線価格は36万~40万円/㎡で、約1000坪の相続税は数億円となることが推定できる。 城南地域で環状7号線の内側にあり、土地を活用したゴルフ練習場ビジネスを継承することの難しさを表す事例なのだ。都内の練習場が現在、あるいはこれから直面していく問題であることは間違いない。

    元は言語研究者だった

    馬込ゴルフガーデンラウンジ内装
    大竹社長の家は370年、東京の久が原で代々農業を営んできたが、祖父が昭和37年に現在の馬込の土地と等価交換。野菜を中心に畑を耕し近隣住民に安く販売などしていたという。 昭和48年に祖父が高齢で農業をやめ、ほかに何かできないかと考えて閃いたのがゴルフ練習場だった。ゴルフブームの台頭期だ。 「その祖父は生涯ゴルフをやりませんでしたが、家訓は『地元の人に貢献する』で、練習に来たお客さんに奥座敷でお酒をふるまうなど、近隣住民が集まる場所でした」 昭和56年に祖父が亡くなり、父親が継承した。 「父はもともとゴルフをしていましたが、私は1993年に入社して家業に加わりました。それまでは言語研究者で、言語の普遍的な法則を研究していたんですよ」 というから、面白い経歴である。20年間ゴルフをやったが、あまり面白くなくなってきて、8年前にやめてしまったという。 名刺には、会社の代表取締役とは別に、肩書として伝統文化・芸能研究家。裏側には小唄伊吹派伊吹清太郎の名前も記されていた。このような話を聞くにつけ、施設の植栽や内装の妙にも頷ける。 ゴルフ練習場経営にも独自の視点を入れている。 例えば、1997年スタートのゴルフスクールは「練習方法を習う場所」をコンセプトにしており、座学とスクールは生徒が2人1組で、お互いのスイングをチェックしながら進めていく。 効率の良さだけではなく、「仲間づくり」を意識してのことである。 繰り返すが、来年1月に閉場する。業界にとっても大きな損失と言えるだろう。ただし、大竹社長は、 「30年間心血を注いできましたが、いったんお休みさせてもらいます」 との表現で、培ったノウハウがゴルファーに役立つならば、協力したいとの意思を口にする。
    馬込ゴルフガーデン入り口
    「ゴルフ界に欠けているのはコンセプトだと思うんです。ピークで2兆円以上の産業になったのは、ゴルフのキーワードが『アダルト』『ビジネス』『ステータス』で、高度経済成長に合わせて伸びました」 中年男性が、仕事に使えるツールとして、豪華なクラブハウスに代表されるゴルフ場の「機能」を利用してきた。いわゆる接待需要を中心にゴルフビジネスは大きく伸びた。 「でも、若い世代には当然響きません。じゃあ何が響くのか? コロナ禍で若者の注目がゴルフに集まる中、私はこれまでやってきた経験から次の仮説を立てました。『ファッション』『レジャー』『エコロジー』がこれからのキーワードになる。そう実感しています」 今後「馬込ゴルフガーデン」は取り壊わされ、大手デベロッパーが再開発する。しかし、地域の庭として愛されてきた「馬込の精神」が、何らかの形で継承されることを筆者は期待したい。 大竹家の家訓である「地域貢献」は筋金入りで、余談だが、社長の弟は地元・徳持神社の神主でもある。地域に根差し、祭司を執り行う。そんな家柄が、練習場ビジネスとどこかで重なっていたのかもしれない。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年9月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
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