ゴルファーとゴルフ産業が幸せになる 24時間無人インドア ゴルフネクスト 24
吉村真
1974年生まれ、長崎県出身。 パーツブランド、ゴルフ場経営、中古ゴルフチェーン、ゴルフ雑誌を渡り歩き、現在は「月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド」で地クラブの担当として取材、執筆。 国内を始め、中国、台湾、米...
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グループ総合力で挑むインドアゴルフ運営
昨今、インドアゴルフ施設が雨後の竹の子の如く世に表れている。特に都市圏では屋外ゴルフ練習場の閉鎖も相次ぎ、「練習場難民」という言葉さえ使われるようになった。その代替練習場として、インドアゴルフが隆盛を極めている。 もちろん、コロナ禍で低迷した企業活動の再生を目指した事業転換や、本業での安定経営での新規事業もある。 その多くが本業のノウハウをインドアゴルフ事業で活用する場合も多く、そのひとつがワイム総合企画を含め、ワイムグループ総出でゴルフ市場に参入した『GOLF NEXT24』だろう。ワイム総合企画は昨年12月16日、地域密着型の個室シミュレーションゴルフ施設『GOLF NEXT24』を相模原市に2店舗同時オープンした。 ワイムグループは不動産業を中核とし、その所有、事業企画する「ワイム総合企画」を親会社に、デザイン・設計・施工を担う「ディシディア・ワイム」、オーダーメイドのユニットハウス製造の「ワイムユニットハウス」、シェアオフィスなど無人施設の運営業務を行う「ワイムシェアリング企画」、1人用テレコミュニケーションブースを展開する「チャットボックス」、不動産施設管理をメインとする「リロンライフパートナーズ」、自動車運行管理業務を生業とする「ワイムオート企画」から構成される。 換言すれば、インドアゴルフ施設を企画し利用する土地を含め不動産選定などが「ワイム総合企画」、インドア施設の建屋をデザイン・設計・施工するのが「ディシディア・ワイム」、ユニットハウスの躯体製造するのが「ワイムユニットハウス」、無人インドアの24時間運営は「ワイムシェアリング企画」、土地仲介や施設の管理等を請け負う「リロンライフパートナーズ」となる。そのほか、インドアゴルフ施設に設置する1人用テレコミュニケーションブースを請け負うのが「チャットボックス」ということになる。「GOLF NEXT24相模原店」は先のグループの総合力で生み出したインドアゴルフ施設というになる。 ところで、そのビジネス的な特徴はどこにあるのだろうか?ユニットハウスという軽量鉄骨で遊休地活用
「GOLF NEXT24」は、郊外型・無人・24時間営業で高い価格競争力と安定収入を実現することをコンセプトに掲げている。 まずは、専用設計で実現した高品質・低価格ユニットハウス型。断熱性、防音性、耐震性を高いレベルで実現。運営は首都圏でインドアゴルフ事業やシェアオフィス事業(無人)の実績があるワイムシェアリング企画が担う。 特に、ユニットハウス型という構造が特筆すべき点で、遊休地にインドアゴルフ施設を建築する際、施工期間、施工費用共に重量鉄骨構造(鉄筋コンクリート構造)と比較して大きく費用も期間も抑えられる点だろう。 ワイム総合企画の松尾洋佑経営企画部長によれば、 「重量鉄骨と比較して6割くらいのコストで、施工期間も3割減のイメージです」 ユニットハウスを組み合わせることも可能だ。敷地の形状に応じて、低コスト、短施工期間でインドアゴルフ施設のビジネスをスタートできるのだ。 ある調査によれば、国内の遊休地は3万件以上を数える。 ワイムシェアリング企画の菅原孝社長は、 「このビジネスは10年スパンの事業です。ただ、都心部には貸地が少なく、地方には多い。ロードサイドでなくても良いですし、郊外ではアクセスが良くない練習場でも人が集まる。だから郊外の遊休地なんです」 しかし、インドアゴルフ施設は先述の通り、数多く誕生している。その差別化はビジネスの根幹であり、継続的な安定経営の肝となる。ゴルファーにとって如何にメリットがあるのか? ビジネスメリットは? その点に注目したい。完全個室で1回500円以下ビジネスとしての成立要件
昨年12月16日にオープンした相模原店を例にとれば、利用者の会員プランは、月額5500円から利用できる。オールタイムでも月額利用料は1万4300円。1コマ80分の利用時間で、最大限の利用で1回あたり500円以下となる。既存の個室インドアゴルフにはないリーズナブルな価格設定だ。 さらに、1人の利用会員に対して、同伴者1名が追加料金なしで利用できる。そのほかには無料のレンタルクラブや、使いたい時だけ利用するチケット会員などのプランもある。ゴルフナビ社のシミュレーション機器を導入し、多彩なプレーモード、50コースをラウンド可能と、練習でもラウンドでもゴルファーのニーズに応えている。さらにオプションで個人レッスンも受けられ、至れり尽くせりなのだ。 一方でゴルファーのメリットだけではない。ビジネス的なメリットも大きい。相模原2店舗を例に取れば、施設は個室合計8ブースに、1人用テレコミュニケーションブースが1室。想定では限界会員数を400名で設定し、収入見込みが月額430万円、借地料は月額50万円程度で無人運営の為、運営経費を差し引いても高利益率が見込める。すでに1か月足らずで会員は300名を超えており、いかに需要が高いかも証明されている。 「相模原店の立地は住宅地の中に加え、近隣にインドア施設がありません。さらに、インドアゴルフという施設の存在を知っていても、利用したことがない方々が多い。それに対してリーズナブルな利用料で、会員が集まったと考えられます」 それも完全個室である。誰にも邪魔されることなく、ラウンドや練習に勤しめる。インドアゴルフを利用したことないゴルファーだからこそ、興味が湧き、会員獲得につながる。 収益モデルでも、3室で運営する場合の投資額は5400万円、6室で運営する場合の投資額9600万円で、償却後でも4年~5年の投資回収が可能なビジネスとしている。共に条件等が合えば事業再構築補助金を活用でき、その場合の投資回収は大幅に短縮する事も可能である。 ゴルファーにメリットがあり、事業者にもビジネスとしての価値がある。そのプロジェクトを展開するワイムグループの理念を聞いた。ゴルフをボウリングのようにひとや社会を幸せにする事業
中核となるワイム総合企画は、安田生命保険相互会社の不動産子会社として、約70年前に創設され現在に至る。 ひとの幸せを不動産という価値を通して提供してきた会社だ。だから、その使命を「人と社会に役立つ会社であること」と位置付けている。 もちろん、社内にゴルファーは多い。不動産を中核とした事業会社でありながら、そこで培ったノウハウで「ひとと社会」=「ゴルフ産業」に役立つ会社である、という使命感のもと、「GOLF NEXT24」を展開していく。 事業計画は、3年で直営店舗100室、同じく3年でライセンス店舗100室を目標として掲げている。積極的に「GOLF NEXT24」のブランド化を推し進めるだけではなく、パッケージを販売しながら個室シミュレーションゴルフの文化を熟成させていきたいと松尾洋佑部長は語気を強める。 「24時間好きな時に、誰にも邪魔されることなくラウンドや練習を楽しみたい。シミュレーションゴルフをボウリングやカラオケなどと同様のレジャーにしたいんです。それを当社グループの総合力で実現して、遊休地を有効活用してビジネスになれば、ゴルファーも事業者もハッピーだと思います」 松尾部長自身、年間50ラウンドをプレーするヘビーゴルファー。社内でもゴルフを最も愛する一人でもある。だから、ゴルフを通してできた仲間の重要性も知る。 「24時間無人運営の『GOLF NEXT24』ですが、現在ラウンドレッスンやコンペも計画しております。それによってコミュニティーを創っていくことも重要だと思っています」―。 ワイムグループが展開する「GOLF NEXT24」は単なる24時間無人運営のインドアゴルフ施設ではない。ゴルファーとゴルフ産業が幸せになる。それが「GOLF NEXT24」だと言えるだろう。昨日多く読まれた記事TOP25
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