1都10県をカバーする関東ゴルフ練習場連盟は先頃、2022年12月の景況を発表したが、これによると同月の入場者数は昨対7%減だった。住宅地に近接する練習場の入場者動態は、ゴルフ需要の変化を表す先行指標ともいえるのだが、前11月も利用者数・ボール売上・スクール売上共に昨対5%程度の減少で、「コロナ特需」の鈍化を漂わせる。
ところが、ここにきて第二次インドアゴルフ参入ともいえる動きが目立つ。一次は2020年後半頃に始まった動きで、都市部の空き室率の上昇を埋める形でビルオーナー等がインドアを始めた。
最近の二次は、比較的大きな企業が経営戦略の柱としてインドアを立ち上げるケースが目立ち、これから紹介するカトウコーポレーション(埼玉県桶川市)もそのひとつ。
「ゴルフはジュニアからシニアまで楽しめる息の長いスポーツ。まずは最新のゴルフシミュレーターを使って、インドアでも楽しくゴルフができることを体感してもらいたいですね」
今年1月、フィットネスジム『ワールドプラスNEO塩釜店』(宮城県)内にインドアゴルフレンジを開業した同社の佐々木和也取締役は語気を強める。
同社はガソリンスタンドを母体としマッサージ店、コインランドリーなど多角的に経営している。その事業の1つとして、フランチャイズ展開をしている『ワールドプラス』(大阪府大阪市阿倍野区)の加盟店となり、フィットネスジムの経営を始めた経緯がある。『ワールドプラスジム』は北海道から鹿児島県まで全国展開を行っており、カトウコーポレーショングループが運営する同ジムとしては、塩釜店で14店舗目となる。
年中無休・24時間営業が特徴で、「ランニングマシン」をはじめ、「クライムミル」、「スミスパワーラック」といった人気のトレーニングマシンが使い放題。利用者は入会時に指紋認証登録をし、館内には部外者が入れないシステムになっている。
オープニングスタッフの武藤優合奈さんは「当店はトレーナーを配置していません。トレーニングジムなどに通ったことのある方や、自分のペースで取り組みたい方、好きな時間に来たい方に向いていると思います」
と話す。
店舗面積は約160坪。店内にはシャワー室、サウナを備え、館内はフリーWi‐Fiとなっている。
ゴルフシミュレーター設置で冬のクローズ時期に勝機
その同社がなぜ、ゴルフ業界に参入したのだろうか。
「会社や社員が成長するには他の継続的な事業が必要と考えていました。ゴルフとフィットネスは健康増進という部分で親和性もありますし、コロナ禍で若年ゴルファーも増えている。相乗効果が期待できると注目したのです」
背景には降雪による地域性もあるようだ。佐々木取締役に詳しく聞いてみると、
「練習場はゴルファー創造の最初の場所。一方で屋外の練習場は老朽化で減少し、宮城県の冬はゴルフができない。俄かブームで終わらせないことが重要です。また、スクールも上達にコミットするものばかりで、初心者には敷居が高い。手軽に楽しく練習できる場にすれば、商機があると考えたのです」
「ジョイゴルフスマート+」選定の理由
インドアゴルフ施設は、完全個室の計2打席へゴルフランド社の『Joygolf smart+(ジョイゴルフスマートプラス)』を設置。導入の決め手について聞いてみると、
「国内メーカーであることに加え、サブスク料金が決めてとなりました。また、世界140コースを収録しており、国内有名コースも盛りだくさん。ラウンド前の練習をはじめ、AIスイング診断も搭載しているので、自身の好調時のスイング比較も動画で容易に確認できる。フィットネス同様、インストラクターを置かない24時間無人営業には最適なシミュレーターと判断しました」
使用料は、フィットネス会員(月額6,570円)が一回60分1,500円(要予約)で24時間利用でき、チェックインはスマホのQRコードを打席へかざすだけの気軽さだ。
「今夏中に『ワールドジムNEO青森店』を新規出店しますが、ここではインドアゴルフ単独でも利用できる店舗づくりにしたいと考えています。インドアゴルフからフィットネスへの流入も期待できる」
と意気軒高だ。
ワールドプラスジムNEO塩釜店
〒985-0014 宮城県塩釜市舟入1丁目6‐7
TEL:022‐362‐0213