異色の組み合わせで市場参入 目標インドア1千店舗の舞台裏

またひとつ、沸騰するインドアゴルフ市場に参入した。総売上43億円の「創建グループ」と、ゴルフクラブのOEM製造やパーツ卸を手掛ける日幸物産という、異色の組み合わせで、
「インドア1000店舗を目指してゴルファー増にも寄与したい」(創建メガ・萩一久社長)―。
同社は12月11日、日幸物産と共同で「GOLF革命決起大会」という勇ましい題目を掲げ、業界参入の狼煙をあげている。
そのチーム編成は少々複雑なので、簡単に説明したい。まず、日幸物産の子会社・ゴルカク社が、シミュレーションゴルフ機器『SGS』を展開していたゴルフパラダイス社より『SGS』事業を譲受。その総販売元を創建メガが担う。
創建メガは『SGS』を販売する一方で、『SGS』を設置したインドアゴルフ1000店舗の出店を目指し、インドア運営は日幸物産が手掛けていく。創建メガは東証スタンダードに上場する創建エースの子会社で、これまでコスメ・衛生用品等の販売が主事業だったが、新たにインドアゴルフ事業の「GOLF-Revo,」を立ち上げるわけだ。
創建エースは、プライム市場に上場する売上高570億円超のNACの関連会社で、NACの創業者で名誉会長の西山由之氏が創建エースの会長も務める。同氏は経団連の幹事を務めた経歴の持ち主で、経済界に太いパイプをもつ。それだけに「1000店舗構想」の実現には様々な仕組が配されている。
そのひとつが「節税対策」というものだ。実は、シミュレーション機器の『SGS』は日本スポーツ工業協会の認定機器となっており、中小企業経営強化支援法に基づき、経済産業省の認定のもと、経営革新等支援機構がオーナー企業の必要に応じてサポートする。これにより『SGS』は「節税対策の機械」に位置付けられるという。
さらに、インドア施設内の打席ごとに投資家を募り、営業成績によって投資家に利益を配当する。自己資本による出店コストを削減する狙いからで、1打席のオーナー料金は2310万円を予定する。
後ろ盾になるNACの西山名誉会長は、600店舗を超える「コインランドリーピエロ」を運営するセンカク社の会長も務めており、多店舗展開の実績もある。
前出の創建メガ・萩社長は、
「1000店舗を達成するためには、競合他社に協力をお願いすることもあるでしょう」
と、意外なことを口にした。その心は、不採算のインドア施設を買収することを含め、すべてを自前でこなすのではなく、ある種の合従連衡も視野に入れる。「節税」「打席オーナー」などを駆使しながら、1000店舗達成に邁進する。
一方、日幸物産の石川卓社長は、
「当社は現在、相手先ブランドのクラブを作るOEMが売上の35%で、パーツ卸業が65%です。この先、百年企業を目指すためには新規事業が必要。私は35年間、ゴルフの仕事で生きてきました。そのゴルフ界への恩返しとして、ゴルファーを増やす事業を命懸けでやっていきたい。それが生涯の目標です。創建グループの後ろ盾を得たのは大きなチャンス。日本一になりたいですね」
沸騰するインドア市場は、群雄割拠の様相を呈す。その熱気は当分冷めそうにない。