明日の活力を高める! 休養ツールとしてのゴルフの価値(前編)

明日の活力を高める! 休養ツールとしてのゴルフの価値(前編)
皆さんはゴルフでリフレッシュできていますか? ゴルフの翌日は疲れて仕事にならないとか、余計にストレスが溜まっては本末転倒。 そこで、私が主管するゴルフスクールにて「疲労ストレス度の計測」を実施。スクール会員対象のゴルフコンペで、参加者全員のプレー前後の疲労ストレス度を計測し、ゴルフで疲労ストレスがどう変化するかを比較しました。スコアによるコンペ順位も勘案して、疲労ストレス度の計測結果も順位化しました。

日本人は疲れている?

一般社団法人日本リカバリー協会が2017年に始めたインターネットによる10万人規模の調査があります。最新の2021年調査では「疲れている」と答えた人が8割超。また、経済協力開発機構(OECD)が加盟33ヵ国を対象に行った調査では、日本人の一日の睡眠時間は7時間22分と最低で、平均の8時間28分より1時間以上短い。(図1)ゴルフは早朝だけに、睡眠不足でプレーする人も多いでしょう。疲れていても頑張るのが美徳という、日本人特有の価値観が影響しているのかも知れません。 日本リカバリー協会は休養の重要性を訴え、休養を科学的に体系化。休養に関する正しい知識を広めることを目的に2021年、「疲労を防ぐ!健康指導に活かす~休養学基礎」(MCメディカ出版、以下:休養学)を出版しました。(図2) [caption id="attachment_80803" align="aligncenter" width="273"] 図2書籍「休養学基礎」[/caption] 健康の三要素は「運動」「栄養」と「休養」といわれますが、運動学と栄養学はあったものの休養学はありませんでした。日本リカバリー協会が「休養学」をまとめるまでは、学ぶ場がなかったのです。 「休養学」の著者の一人、日本リカバリー協会代表理事の片野秀樹先生は次のように述べています。 多くの人の日常は①活動(仕事)して、②疲労がたまったら③休養(睡眠など)をとり、そのまま①の活動に戻るという、三角形のサイクルで回っています。(図3左)しかし本来の「休養」は「休んで養う」と書く通り、仕事などの活動を休んで体力や気力などの活力を養うこと。多くの現代人が陥ってしまう三角形のサイクルでは「活力を養う」ことが抜けてしまっていると。 そこで片野先生は①活動→②疲労→③休養、の後に、④活力を加えて四角形の循環サイクルを推奨。活動によって低下した活力を再び向上させることで、持続可能な循環サイクルになるからです。(図3右) [caption id="attachment_80804" align="aligncenter" width="1000"] 図3休養サイクル【出典】株式会社ベネクス WEBマガジン 「Recovery Lab MAGAZINE」 2022/11/30より引用[/caption] さらに片野先生は同書の中で、低下した活力を上げるための方法を「休養モデル(杉田・片野モデル)」と名付け、次のように提唱しています。それはまず、「休養」を「生理的休養」「心理的休養」、そして「社会的休養」の3つに分類。次にそれらを7つの細かいモデルに仕分けたものです。(図4) [caption id="attachment_80805" align="aligncenter" width="1000"] 図4休養モデル【出典】株式会社ベネクス WEBマガジン「Recovery LabMAGAZINE」 2022/11/30より引用[/caption] 片野先生いわく、休養とは単にカラダを休めることではなく、7つのモデルを複合的に取り入れ、活力を上げることが大事とのこと。そこで私は、ゴルフが休養といえるのか?活力を上げるツールであるなら、ゴルフが7つの休養モデルのどれに当たるかを考えてみました。

ゴルフは最強の休養ツール

まず、生理的休養の「運動型」になります。同伴者との会話を楽しむ社交性や自然にふれあう要素もあるため、心理的休養の「親交型」も。余暇を楽しむ趣味で「娯楽型」ですし、コースの攻略法を考えたりショットをイメージ(想像)するので「造形・想像型」の要素もあるでしょう。非日常の空間に身を置くリフレッシュ性や、ゴルフ用品やウェアを買う楽しみもあるため、社会的休養の「転換型」ともいえます。ゴルフは7つの休養モデルのうち、5つを網羅した最強の休養ツールと言えるでしょう。 とはいえ、18ホール回れば疲れます。休養モデルでは適度な運動(活動)により、老廃物の除去や新陳代謝を促進し、活力の向上に繋がることから、これを「積極的休養」と呼んでいます。つまり〝適度な〟というところがポイントで、疲れ過ぎないことが肝要なのです。そこで疲れ過ぎないゴルフの仕方を、次号で詳述しようと思います。 [caption id="attachment_80806" align="aligncenter" width="1000"] 図5休養モデルとしてのゴルフの特性[/caption]
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら