これまで連載してきた「練習場行脚録」が、先月号から「進化するゴルフ練習場の裏舞台」にタイトルが変わり、練習場におけるデータ分析の活用法を中心に紹介することになりました。前回はざっと概要を紹介。本号から各論に入ります。
[surfing_other_article id=81502]前回のお話[/surfing_other_article]
本当は各練習場の生データを紹介したいのですが、特に金額関連の生データは開示したくない施設が多いでしょうから、主に架空のデータを使います。また、生データの方がわかりやすいケースで金額が出てこないものは、個別の練習場が特定できないよう配慮しつつ紹介したいと思います。了解が得られた場合は、練習場経営者の生の声もできるだけ紹介するつもりです。
さて、各論に入りましょう。今回紹介するのは「ダッシュボード」です。これは、弊社の分析システムにログインして一番最初に表示される画面のこと。日々の様子をざっと確認したり、昨年比や天候との相関を確認する目的の画面です。
図1のように、上にグラフ表示、下に数字が表示されます。表示する期間は自由に指定でき、まずは「売上げ」がグラフ表示されています。売上げはお客さんがICカードにチャージした金額です。このチャージは税務上「売上げ」にするか「預かり金」にするかは練習場により異なりますが、分析としてはチャージした分を売上げと表現しています。
昨年比は日付で合わせて表示できますが、土日を合わせて表示する方が比較しやすいという意見もありましたので、切り替えができます。
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図2[/caption]
図2が曜日合わせで表示した様子で、土日祝日は大きな○マークで表示されます。
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図3[/caption]
図3では「利用額」を表示しています。チャージした分はその日のうちに全て利用せず、チャージしなくても貯まっていた分で打つことがありますので「売上げ」とは違うデータになります。期間を限定して、プレミアムが沢山つくチャージキャンペーンなどを行うと「売上げ」が非常に高くなりますが、「利用額」は連動しないものです。
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図4[/caption]
図4では「総来場者数」を表示しており、これも重要な情報です。土日祝日と平日を比較して、平日にどのくらい伸ばせる可能性があるかが想定できます。後述する天候との相関も観察すると良いでしょう。
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図5[/caption]
図5では「新規来場者数」を表示しています。新規来場者は昨年比を見たいデータで、コロナの影響でゴルフを新たに始めた人が多かった一昨年・昨年に比べて現在がどうなっているか、さらにこの先の動向を考える上で大事な指標です。
より詳しく新規来場者を分析する画面もあり、この点は別の機会に紹介しますが、まずはざっくりとこの画面で日常の動きを確認しておくと安心です。常連客もいつかは諸事情により来場しなくなることもありますので、常に新規来場者の獲得施策を打ち続けることが大事です。
データの裏付けは必須
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図6[/caption]
図6では天候情報の「気温」と「総来場者数」を表示しています。気温と来場動態の関係がわかりやすく見られるよう、雪国の生データを出しましたが、地点名は塗りつぶしてあります。「気温」は最高気温を折れ線グラフで表示しています。冬で気温が低い日は来場者が減る傾向にあり、高温の夏日も減ります。冷暖房設備の導入等を検討する際、参考になる情報です。
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図7[/caption]
図7は天候情報の「降水量」と「総来場者数」のグラフです。多少の雨ならラウンドをやめて練習場に、という人も多いのですが、大雨では外出を控えるため「雨の日特典」を検討するのも良いでしょう。
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図8[/caption]
図8は「降雪量」と「総来場者数」のグラフです。大雪の日は来場者数が減る傾向ですが、練習場を休場することもあり、翌年以降の振り返りデータとして重要な観点です。
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図9[/caption]
図9は「最大風速」と「総来場者数」のグラフです。強風の日も外出を控える人が増えますが、練習場がネットを下げて長いクラブを使えない営業にするなどの影響もありますので、振り返りに重要な観点です。
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図10[/caption]
図10はダッシュボード下部に表示される数値データで、昨年比も表示されています。グラフになっていないデータでは、1回の来場で利用した1人当たりの平均金額(平均利用額)、1回の来場で打った平均球数(平均打球数)、1人が期間中に平均何回来場したか(平均来場回数)、1打席が1日に平均何回利用されたか(打席回転数)も数値で表示。各数値を詳細に確認できる画面もあり、別の機会に説明します。
ここ数年、コロナ禍で市況は大きく変動しました。そのため営業形態の変更が検討課題になるかもしれませんが、営業会議では現状をしっかり把握することが重要です。裏づけなく変更しても効果は期待できず、お客さんの不満が増えて逆効果になってしまう恐れもあります。
今回紹介したような分析システムがあると、経営者は練習場にいなくてもネット環境があれば常に確認できます。また、このような機能がなくても日報・月報などはどこの練習場でも作成していることでしょう。日々現状把握を行うことが、練習場改革の第一歩です。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2023年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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