【新春特別対談】ステップゴルフ、ザンダー・シャウフェレがブランドアンバサダーへ、「ゴルフの魅力」を最大化する!

【新春特別対談】ステップゴルフ、ザンダー・シャウフェレがブランドアンバサダーへ、「ゴルフの魅力」を最大化する!
昨年11月9日、創立12周年を迎えたステップゴルフが127店舗の開業に漕ぎつけた。 設立以来、首都圏を中心にインドアスクールの出店攻勢を仕掛けた同社は、レッスン相場の半額程度という価格破壊とFCをメインにした展開で地歩を築き、全国展開を視野に入れる。 代表取締役の榎本考修氏は、新規ゴルファーの創出が企業ミッションだと語る。 このほど今季メジャー2勝で世界ランキング2位のザンダー・シャウフェレ(米国)がステップゴルフのブランドアンバサダーに就任した。 ゴルフの魅力を素早く、効率的に最大化するのが目的で、世界戦略も描いている。 聞き手:片山哲郎、構成:浅水敦 ―昨年11月9日で創業12周年を迎えたというプレスリリースが届きました。おめでとうございます。 [caption id="attachment_84515" align="aligncenter" width="1000"] 代表取締役の榎本考修氏[/caption] 榎本 ありがとうございます。 ―でも、12周年でプレスリリースを配信する企業はめずらしい。15周年とか20周年ならわかりますが。 榎本 経営者って、会社設立日には強い思い入れがあるんですね。例年3日前ぐらいからソワソワするんですが、社内にはそんな空気が感じられなくて、私だけ一人でソワソワしてるんです(苦笑)。 ―創業社長だから思い入れがあるんでしょうね。その10日ほど前の10月29日、ステップゴルフ渋谷桜丘でザンダー・シャウフェレ選手との契約会見を行いました。まず、彼との馴れ初めから教えてください。 榎本 わかりました。今年10月、スポーツチャンネルのDAZNからお声掛けを頂いて、トントン拍子に話が進んだんですよ。昨年12月にサッカー界、プロ野球界、オリンピック競技などで活躍するトップアスリートやレジェンドが集って、チーム戦でゴルフの腕前を競う『DAZN GOLF CUP Powered By STEPGOLF』の冠スポンサーになったのが縁で、ザンダーとの話が舞い込んできた。 ―ちょうどステップゴルフが100店舗を突破した時期ですね。 榎本 はい。冠スポンサーは次のフェーズを意識して、私が出演した対談番組の放送もパッケージで含まれますが、実はDAZNは「全米プロ」の独占放映権をもっていて、その優勝者がザンダーで、先頃開催された『ZOZOチャンピオンシップ』(千葉県)にも出場した。来日のタイミングでミーティングをもち、契約に至ったという経緯です。

メジャー2勝のビッグネーム

―今年5月の「全米プロ」でメジャー初優勝を飾り、7月の「全英オープン」も制している。東京五輪の金メダリストだから契約金もかなりですよね。契約交渉もDAZNと行った? 榎本 いえ。ザンダーの叔父にあたる方がマネージャーを務めていて、直接折衝しました。ザンダー家は日本とも縁が深く、母親が日本育ちで、祖父母は今も東京に在住と伺ってます。 ―ファミリーでザンダーチームを形成しているわけですね。他にどのようなスポンサーと契約してますか? 榎本 キャロウェイとデサントに加え、『アビス』というワッペンが右腕に入ってますが、これは石油タンカー会社です。この3社に当社が新たに加わることになります。 ―初めてのミーティングは? 榎本 10月に入ってからオンラインで初めて行なって、直接会ったのは『ZOZOチャンピオンシップ』3日目の土曜日です。最初のオンラインミーティングでは、『ステップゴルフ』はインドアゴルフスクールをグローバル展開したいと考えていることを熱心に話して、ガオさんというマネージャーがとても共感してくれましてね。それで直接会いましょうという話になりました。 ―オンラインを含めた2回のミーティングにザンダーは同席した? 榎本 いえ、してないです。 ―では、ザンダーとの初対面は? 榎本 実は記者発表の当日なんですよ。ただ、日本で試合をこなしながらファミリーで毎日食事をしている中でマネージャーさんが説明してくれ、ザンダーも我々のビジョンに共感してくれたそうです。 ―つまり、全幅の信頼を得た。 榎本 そうですね。マネージャーいわく『ザンダーもぜひやりたい』と話していると。私の気持ちとしては半永久的に契約したいという想いです。 ―契約金は高いでしょう。 榎本 ですが、ハッキリ言えることは、金額で決めたわけではなく、お互いの想いが重なった部分が大きいんですよ。もちろん、大人の金額が動いてますが(笑)。 ―多額の契約金について、FC店舗は納得するんですか。 榎本 それをFC加盟店から徴収するなんていう考え方はもってのほかですよ、片山さん(笑)。FCには負担をかけない形のお金です。

静かな佇まい

―契約の中身はどうなりますか?  榎本 ステップゴルフの公式アンバサダーという契約で、世界に向けてゴルフの素晴らしさを発信する、伝えていく内容です。何度もいいますが、ここが重要な部分ですね。 ―とはいえ御社のマーケティング戦略にも活用するわけですよね。 榎本 すでにスチールや動画撮影も行ってます。記者発表当日、ザンダーのショットを片山さんも間近で見たと思いますが、そういったシーンもCMの中に挿入して、全国127店舗の店頭モニターで流したり、ポスターにも起用する方針です。 ―つまり御社のイメージを担っていく。その際、メジャーチャンプということ以外に、彼自身の「メッセージ性」をどう考えますか? 榎本 先ほども少し触れましたが、ザンダーは日本にゆかりがあるんですね。日本の食事も文化も大好きだし、静かな佇まいや彼の所作に日本由来の何かを感じるんですよ。 当社はここ数年、年間2万人以上のペースで会員が増え、500店舗に拡大したら年間10万人以上の会員増を見込んでいます。つまり、ゴルフの未経験者にゴルフの魅力を伝える会社なので、ザンダーの優しく人を包み込むような人柄は、完全にマッチすると考えています。 ―彼の中で、自分がゴルフをやったことで生まれた「何か」とか、そういったエピソードはありますか。 榎本 記者発表の場で日本のジュニアゴルファーにメッセージをもらいましたが、彼はこう言ったんです。『まずはゴルフを楽しんでほしい。レッスンやスコアは大人になってからでいいんだよ。まずは友達を作って、ゴルフを楽しむことが大事なんだ』と。彼に一貫してるのは、自分がゴルフを通じて世界に知ってもらえる人になった。そのことにとても感謝してるんだと。常にその言葉が出てきます。

「福くん」の功績も大

―さきほどのCMについてですが、具体的な内容はどうなります? 榎本 まずは12月25日放映の『第2回DAZN GOLF CUP Powered By STEPGOLF』のCM枠でお披露目になります。第1回大会はDAZNのYouTube公式チャンネルで150万回再生されたので、今回どれくらい見られるのか楽しみです。 内容は、記者発表の様子も含まれていますが、ザンダーが第一声で『ステップゴルフ』の社名を発して、ゴルフの素晴らしさを表現する内容です。長さは30秒と1分ぐらいのバージョンになると思います。 ―DAZN以外の番組でも流れる? 榎本 そうですね。ザンダーが勝った全英や全米プロ、あるいはマスターズの地上波もあり得るかもしれません。あと、ジュピターゴルフネットワークの『100切り選手権』も応援していて、「福くん」を起用したCMも流しています。 ―その福くんは「クビ」と言ったら語弊があるけど、要するに首ですか? 榎本 えっ? ―ゴルフ未経験者の福くんが、100を切るまで成長するというストーリーでイメージキャラクターにしましたが、今回一気にメジャーチャンプと契約した。二人の整合性がとれませんよね。 榎本 違う違う(笑)。福くんはステップゴルフでイチから始めて100切りをしてもらう。めでたく100を切ったので、クビではなくて卒業です! 当社のYouTube公式チャンネルで配信して、100切りの様子も配信していますから。 福くんのおかげでゴルフへの敷居がどんどん下がって、視聴者に親しみを覚えていただいた。コンテンツとしては成功だったと思ってます。

ESGホールディングスの考え方

[caption id="attachment_84516" align="aligncenter" width="1000"] 片山哲郎[/caption] ―今、インドア市場が激戦になっている中で、御社もセカンドステージに入っていく。そこで求める方向性と、ザンダーとの契約がどのように関わってくるのか。この点は? 榎本 ふたつあると思います。ひとつめはザンダーによるブランディングで、ふたつめはゴルフマーケット全体に投資するという考え方です。繰り返しますが、ザンダーの考えは「ゴルフを通じて子どもたちが友達を作り、楽しみながら続けてくれれば、ゴルフの素晴らしさが世界に広がっていく」というものです。この想いはステップゴルフというよりも、ESGホールディングスのビジョンに最適だと考えているんですよ。 ―ESGホールディングスはステップゴルフの親会社ですね。 榎本 はい。私はESG・HDの代表も務めていますが、この会社はM&Aをするための会社ではなく、我々のビジョンに共感してくださる会社なら、いつでもグループジョインしてくださいと。そのような環境づくりを主体に考えてるんですね。 ―ある種の受け皿会社ですか。 榎本 という言い方になるのかもしれません。ゴルフ市場が大きくなれば、当社の事業だけではなく、世の中にとって小さなゴルフの存在をより大きく価値あるものにできる。すると人々の関心を集められるし、三世代ゴルフや健康寿命の延伸がやりやすくなる。僕らは『アカデミー』って呼んでますが、興味があれば他の練習場さんなどに門戸を開くつもりです。ESGグループと一緒にやることになれば、ザンダーとの環境も共有できますし、ゴルフを始める、楽しめる環境づくりが一気に早まると思うんですよ。 ―つまりESGホールディングスがアンブレラになって、いろんな事業体をぶら下げていくと。今はステップゴルフのほかにいくつですか。 榎本 今の事業は大きく3つで、ひとつはゴルフのオペレーション事業、次にコラボレーションを中心にしたイベント事業で、温泉旅行やイチゴ狩りとゴルフを組み合わせるとかの発想です。3番目は先述したアカデミーで、ここではゴルフ関連の人財採用や育成を行っているので、オペレーション事業と絡めればゴルフ場運営もありだと思ってます。 ―ESGをハブにして、放射的に広げるわけですね。 榎本 その観点で申し上げれば、僕は吸い上げる側の人間ではなく、供給することに価値を見出してるんですね。これまで我々が培ったノウハウはインドア以外のゴルフ関係者にも好影響を与えられると思ってますが、それで僕らが何かを吸い上げるんじゃなく、提供したいんです。今回のザンダーとの契約は、その序章に過ぎませんし、とにかくゴルフ界を盛り上げていきたいですね。