今回は、最近追加したばかりの機能である「打席商品分析」を紹介します。「打席商品」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、簡単に言えば「時間貸し」や「球貸し」など、打席で練習する際の「プラン」だと考えてください。
時間貸しと球貸し以外にも何かあるの? と思うかもしれませんが、このシステムでは時間貸しに「球数制限」をつけたり、球貸しに「時間制限」をつけたりできます。
打席商品の構成によって、集客や客単価は大きく左右されます。経営の重要課題と言えますので、今回は打席商品を効果的に構成しているいわき市の荒川ゴルフクラブのデータを使いながら、現状分析をしていきます。同施設の佐藤社長が、データの公開を快く承諾してくださいました。先に荒川ゴルフクラブの料金体系を説明しておきます。
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図1[/caption]
まず「球貸し」です。図1のように時間帯や平日・土日祝日で単価が違い、ボール代の他に入場料・照明料がかかります。
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図2[/caption]
図2が時間貸しの説明です。時間貸しだけで4種類設定されていることが分かります。
では、分析画面を見ていきましょう。まず、図3のように分析の期間を指定できますが、今回は2024年3月の様子を紹介します。分析の時刻範囲を指定することもできますので、後で説明します。
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図3[/caption]
「家事の邪魔」の男性客
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図4[/caption]
荒川ゴルフクラブでは平日と土日祝日で料金体系が大きく違うため、まずは平日の様子から見ていきましょう。図4は、時間帯ごとにおける打席商品ごとの来場回数です。9時のオープンと同時にほとんどの来場者は「打ち放題」を選択していることが分かりますね。佐藤社長は分析システムが完成する遥か前から来場者の様子を観察し続け、その結果、
「平日午前中の客層は、奥様から『家事の邪魔だからどこかに行ってきて』と言われた年配の男性」
と判断。そこで、9時のオープンから12時までは、打っても打たなくても気兼ねなく滞在してもらえるプランを考えました。9時に利用開始した人の多くは12時まで打席を利用するので、9時オープン時点で満席になるとお昼を過ぎるまで打席に入れません。そのためオープン前に行列ができます。
ちなみに、この時間帯でも「球貸し」を選択できますが、多くの来場者は佐藤社長の見込み通り「打ち放題」を選択しています。
午後になると300球の上限付きの「サービスタイム」を選択する人が増えます。「球貸し」を選択する人よりも少し多い感じでしょう。平日の午後も、平日休みの若い人が来場して、12時から16時半までのサービスタイムに300球の上限を設けています。「300球上限つき時間貸し」などと制限があるようなネーミングではなく、単に「サービスタイム」と名付けたのは流石だと思います。サービスタイムが終わる16時半以降は、仕事を終えた人たちが「球貸し」で利用しています。
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図5
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図5は、それぞれの打席商品の打球数です。9時から12時までは、お友達とゆっくりお話しできるよう、「打ち放題」の時間制料金にしていますが、荒川ゴルフクラブの常連さんは熱心なゴルファーが多いので、実際にはかなりの球数を打っています。午後のサービスタイムは平均すると、300球に少し届かないくらい。「球貸し」の平均打球数は150球弱なので、ほぼ倍ということがわかります。
この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2024年7月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
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