ネット販売で人気あり
7戦5敗……今年のラウンドは雨ばかり。たまにやって来る季節先取りの夏日が恨めしい。仕事のPCに向き合いながら、合間に新しいゴルフギア選びで気持ちを紛らわす日々が続いている。
昨年からよく目にし、気になっていたレーザー距離計がある。ネット通販で人気の『EENOUR』だ。3月のゴルフフェアでも見かけたが、売場で見たことがないし、いつかは試してみたいと思っていた。 「イイノウ」と読めばいいのか、もしや日本語で「良いのう」というダジャレをブランド名にしているのだろうか、その程度の認識しかなかった。
その『EENOUR』から新しくプレミアムラインが出るとGEWの担当者から聞き、資料を取り寄せ、早速デモ機を拝借してもらった。
まずは動画で
新たなラインの誕生
日本語読みは「イーノウ」だという。調べてみると中国深圳を拠点とし、主にポータブル電源や発電機などの電気製品を開発する会社だった。日本語のダジャレをブランド名にしたのでもなく、ゴルフブームに便乗した新規参入のメーカーでもなかった。
届いたデモ機は白と黒の2機種。本体がシボ加工された革で、高級感を醸し出していた。サイドには『SILLAID』の文字。初めて目にしたその文字は「シライド」と読み、新たなプレミアムラインのシリーズ名だという。
白ボディは『VOYAGE』、黒ボディは『VOYAGE PRO』。ともに程良いサイズ感(99.5×66.7×38.5mm)と、程良い重量感(161g、PROは169g)。そしてシボ加工の革で手にフィットし構えやすい。
ファインダーを覗くと文字や線の色が異なった。すべてが黒色の『VOYAGE』に対して『VOYAGE PRO』は赤と緑色。ディスプレイも液晶から有機ELにアップグレードし、視認性が上がる。このあたりが最もわかりやすい製品の違いであるようだ。
これまで多くの機種を試してきた筆者は、赤文字の方が見やすく感じるが、天気が良すぎると光って見えにくくなる弱点もあるので、「PRO」に内蔵された文字表示の明るさが、4段階で調整できるのは大きなメリットだ。
その他に「PRO」の呼称をつけている意味は何だろうと気になり、資料を比較する。20ページ以上にわたりさまざまな機能が説明されているものの、2つの資料はほぼ同じ構成で違いを見つけるのに苦労した。前述の文字の色、明るさの調整に加えて、雨や霧でも計測可能なモードが「PRO」には内蔵されている。この3点が2機種の大きな違いのようだ。すなわち『VOYAGE』を基準に位置づけて、そこに付加価値をつけたアップグレード版が『VOYAGE PRO』ということだ。
実戦向きの高機能
さっそくコースに持ち込んでテストしてみた。熊谷ゴルフクラブ、 10番ホール PAR4。400ヤード超えの真っ直ぐなホールだが、フェアウェイの真ん中に大きな木が2か所。ちょうどドライバーショットの落とし所となりそうな地点と、そこまでの弾道をイメージすると邪魔になりそうな100ヤードほど手前の位置。実は広いフェアウェイだが、左半分しか使えないぞ、というコース設計者の意図を強く感じるレイアウトだ。
まず『VOYAGE PRO』を手に奥の木に当てる。速い。瞬時に計測完了。4段階で一番明るくした赤文字は見やすく、邪魔な木はやはり240ヤード付近にあることがわかった。次に手前の高さ10mはあろうかという大きな木のてっぺんに当てる。すると真ん中に141ヤードの表示。下には2段で高さ10ヤードと距離134ヤードの表示。「水平、垂直距離測定モード」で計測すると、目標物への1)直線距離、2)垂直高さ、3)水平距離がわかる。1回の計測で便利だ。事前に説明書を見た時は多くのモードがあるため操作が面倒そうだなと思ったが、実際にはモードボタンを押す度にディスプレイに機能を表すマークが現れ、直感的に理解できてわかりやすい。
セカンド地点からは、まだ200ヤードは残っていそうだ。「ピンロックモード」にする。ピンフラッグのマークがディスプレイに現れるから安心。ピンフラッグを狙い、手前のボタンを長押しする。瞬時にブルッと2回の振動アラーム。200ヤードを超えているのにグリーン奥の木を拾うことなく、正確に手前のピンフラッグを捉えて測定が完了した。
3点計測は使い方次第
12番ホール、358ヤード、右ドッグレックのPAR4。グリーンは見えず、おおよそ45度に曲がっている。ティーショットの距離感と狙い場所が大切だ。コースを眺めると、ちょうど曲がる辺りの奥に背の高い木が植えてある。この木を目標物にしてくださいということだろう。『VOYAGE』で狙う。木まで204ヤード。ナイスショットしても200ヤード未満しか飛ばないクラブをチョイス。上出来なマネージメントだ。自信を持って振り抜くと、u4のショットはフェアウェイの狙った地点付近に置けた。
カートで2打目付近に移動すると、右ドッグレッグゆえに遠目からは残り距離の予想がつきにくい。以前ならクラブを3本持って2打目付近に歩いていくのだろうが、今は「3点間距離測定モード」がある。同伴者のショットを待つ間に、カートの位置にいながらボールとフラッグまでの距離を測れるのだ。モードボタンを押すとディスプレイに三角形のマークが出た。まずボールを狙い手前のボタンを押す、すると三角形の一辺が点滅。次にピンフラッグを狙いボタンを押す。すると162ヤードの表示、下2段には31ヤードと204ヤード。見事に三角形のそれぞれの「辺」の長さが表示された。
昨今、3点間距離測定の機能が内蔵された機種は増えてきたが、それぞれの距離が同じ画面で表示されるのは初めてだった。これなら計算が間違いではないことがひと目でわかる。いくら便利な機能でも信頼感がなければ意味がない。『VOYAGE』の「3点間距離測定モード」は、使いこなせれば便利な機能のようだ。他に使えるシーンはないか妄想する。ショットを曲げてラフや林に入った時にも重宝しそうな気がする。
便利な機能満載でプレミアム感に溢れていても『VOYAGE』は2万円台後半、『VOYAGE PRO』は3万円台前半で発売されそう。
筆者が感じた『EENOUR』ブランド『SILLAID VOYAGEシリーズ』の魅力と優れている点を3つ挙げてみる。
・実戦向きの高機能満載
・直感的な操作のしやすさ
・上質感を纏ったコスパの高さ
これまでネット通販のみの販売だったから、ブランド力があったわけではない。が、地道に販売を続け、多くのゴルファーの評価を得て、販売実績を重ねてきた。今回新たなステージに挑戦すべく、新シリーズを投入する。
ユーザービリティとゴルファー特有のマインドをくすぐる面白い製品であるようだ
「14本の次は距離計測器」。ゴルフを楽しむ大切なゴルフ用品として、自分のスタイルにあったものを全てのゴルファーに愛用してほしいと願う。
お問い合わせ:www.eenour.jp