2012年9月に産声を上げた朝日ゴルフのヘッドパーツブランド「METALFACTORY(メタルファクトリー)」から
『A9 SKY』ドライバーが新たにラインアップされた。
他に類を見ないコスメで、反発係数をSLEルール上限ギリギリとし、飛距離も徹底的に追求した工房専用モデルという位置づけになる。ギアに精通し、試打経験が豊富なギアの賢者・ソクラテス永井プロがトラックマンを用いて『A9 SKY』ドライバーを検証する。
[surfing_voice icon="https://gew-web.com/wp-content/uploads/2017/05/photo_nagai.jpg" name="永井延宏プロ" type="l big" bg_color="eee" font_color="000" border_color="eee"]1969年埼玉県生まれ。アメリカ・オーストラリアでの経験をもとに、グローバルな視野と独自のティーチングメソッドを構築。NPO法人ゴルフアミューズメントパークの理事として、ゴルフ市場の発展や指導者の育成にも携わる。2006年度レッスンオブザイヤー受賞[/surfing_voice]
初速がとにかく速い!メタルファクトリー『A9 SKY』 ルール上限ギリギリドライバー
永井プロの解説『A9 SKY』はどんなドライバーか
先ず目を引くのが、鏡面研磨加工にイオンプレーティングを施した独特のカラーリング(スカイブルー、コスモブラックの2種類を用意)。金属素材の魅力を最大限に活かして、メッキや塗装では表現できない深みのある色彩を贅沢に表現しているのが特徴的です。
ヘッド体積は455㎤、フェース面はスクエアに見えます。形状的にはややシャローで投影面積が大き目な綺麗な丸型ヘッド。太鼓型の反発性能に優れる形状といえ、さらにクラウンも薄肉化。
「ボールの上がりやすさ」、「方向性の良さ」を視覚的に訴えかけ、そのことは、実際にティーアップして構えてみても同様です。
ソール部に目を向けてみますと、フェース寄りに配置された「スリット」が反発力を高めて、いかにも高初速を生み出しそう。『A9 SKY』ドライバーは、「独自のカラーリング」と「拘りのデザイン」を融合させたヘッドといえると思います。
トラックマンを使って『A9 SKY』ドライバーを検証
トラックマンの測定値をみていきましょう。非常に良い結果が出ていますね。ミート率は1.49、ボールスピン量2570回転、打出角13.7度。最適弾道でキャリー232.3Y、ランを含めた総飛距離は257Yを記録。
自分の中では飛んでいるほうで、「キャリーがしっかり出る」点が評価されます。
『A9 SKY』は、前作『A9』よりも投影面積を拡大、さらに慣性モーメントを高めて深重心化を図っていますが、それが数値として表れています。スピン量、キャリーの安定に加え、ボール初速63.1というインパクト効率の高さは、現代的なヘッドの作りこみが反映された証。
「ポテンシャルの高いヘッド」というのが、データを見ても明らかです。
フィッティング時のヘッドの選び方
このタイプの形状は「やさしさ」がでてくるので、極端に好き嫌いは出にくいでしょう。オーソドックスでクセがありませんから、あらゆるタイプのゴルファーに合わせやすいヘッドといえます。
ただ、実際の見た目のイメージよりも球のつかまり方や上がり方というのは、平均的なところに落とし込んでいます。
ロフト角は9.5、10.5度の2タイプをラインアップ。今回、私が試打したのは10.5度ですが、重心角(25度)、重心距離(40.5mm)、ライ角(59.5度)などのヘッドスペックを見ると、ニュートラルなんですね。
あまり、個性がないような印象ですが、HS42.3で初速63.1を叩き出すヘッドは稀有。『A9 SKY』はパーツブランドですので、シャフトの組み合わせと長さのバリエーションにより、さらに飛距離を伸ばすことができると思います。
フィッティングの際は長さ、重さに加え、シャフトをアレンジすることによって、クラブを変化させるといいでしょう。つまり、フィッターの腕が試されるということで、「味」をどんどん出していける。そういう意味で『A9 SKY』はオンリーワンを作ってあげやすいヘッドといえます。
個人的にはブルーのカラーが気に入りました。ヘッド性能は「優等生」なのに、ちょっと突っ張ったところが男心を燻りますね。そして、他と被らないクリアメタルの輝きは「所有感」があり、唯一無二の存在といえます。
やはり、メタルファクトリーの魅力というのはひとつひとつのモノ作り、丁寧さに集約されると思います。出来上がったヘッドの全数検査やCT値をルールギリギリの250μsに設定するこだわり…。手のかけ方は、パーツメーカーでもトップクラスですよ。