今年7月末、中条カムイから発売された『TP-Xnitrogen Kai』。『TP-Xnitrogen』(ガスのみ、ガス+発泡剤)の進化バージョンだが、そこにはエンドユーザーから強い要望があった。
「発泡+ガスだと打球音が静か過ぎて飛んだ気がしない!」
「ガスのみだと打球音が甲子園の金属バット。周りが振り向くし、高反発だと思われてしまう」
そんな声に応じて、内部構造を工夫して、ガスのみでも余韻の残らない心地よい打球音を実現。副産物として、打感はさらに軟らかくなり、芯が広がり、つかまりも良くやさしいヘッドに仕上がっている。
開発責任者の中条恭也常務は、「内部構造は、企業秘密です」と、口を閉ざすが、今回はギアの賢者、ソクラテス永井延宏プロが、『TP-Xnitrogen』(ガスのみ)、『TP-Xnitrogen』(ガス+発泡剤)、そして『TP-Xnitrogen Kai』をテスト。実力を検証するとともに、内部構造の改良点まで推測する
[surfing_voice icon="https://gew-web.com/wp-content/uploads/2017/05/photo_nagai.jpg" name="永井延宏プロ" type="l big" bg_color="eee" font_color="000" border_color="eee"]1969年埼玉県生まれ。アメリカ・オーストラリアでの経験をもとに、グローバルな視野と独自のティーチングメソッドを構築。NPO法人ゴルフアミューズメントパークの理事として、ゴルフ市場の発展や指導者の育成にも携わる。2006年度レッスンオブザイヤー受賞[/surfing_voice]
打感打音がちょうど良い『TP-Xnitrogen』ドライバーを試打!飛距離性能もアップ
ソクラテス永井の『TP-Xnitrogen』分かりやすい解説
永井:全体的な印象は、3種類とも打音が大きく違う点ですね。
まず、ガス入りの『TP-Xnitrogen』は、高校球児が使う金属バットのような打音。だからといって、高反発モデルではない。この打音を敬遠したいゴルファーに提案するのが、発泡剤を追加したバージョンですね。
GEW:窒素ガス+発泡剤入りの『TP-Xnitrogen』は、金属バットのような打球音は抑制できましたが、「静かすぎて飛んでいない気がする」というのが消費者の声で対応したモデルです。
永井:ゴルファーは贅沢ですね。ただ、ゴルファーにとって打音や打感は重要。
それを改善したのが、今回の『TP-Xnitrogen Kai』。フェースのロゴが青のタイプ。打音も「ちょうどいい」という表現がマッチします。同じヘッドがベースで、これだけ打音が異なると試打結果にも大変興味があります。
ガス入り『TP-Xnitrogen』は、弾くヘッドだからHSが低いゴルファーに合う
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TP-Xnitrogen(ガス入り)試打データ[/caption]
永井:音が反響する室内で試打したので、少し怖々試打したのでHSも少し遅めでしたが、窒素ガスの影響でヘッド全体が撓んで弾くフィーリングが強い。
試打のHS(41.5m/s)より遅いゴルファーにヘッド全体の撓みがマッチし、HSが遅くなれば打球音も少し抑制されます。
結果、ヘッドの性能が生きる可能性は高いと思われます。
ガス+発泡剤は中身がある鍛造製法が生きた厚い打感低スピン・高打ち出しで飛ぶ
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TP-Xnitrogen(ガス・発泡剤入り)試打データ[/caption]
永井:続いてガス+発泡剤の『TP-Xnitrogen』です。音が変わっているのが顕著で打感も異なります。
ガスのみの『TP-Xnitrogen』はヘッド全体が撓み弾く感覚ですが、ガス+発泡剤の『TP-Xnitrogen』は中身がある打感。厚いインパクトを実現でき、ヘッドの重量感を最も感じられました。
クラブの構造的な特長から表出する打感や重量感が、ゴルファーにクラブの特性として伝わりやすいことで振りやすく打ちやすい。
インパクト効率も1・48と高く、ディープなヘッド形状が寄与してスピン量も1630回転と低い。また、発泡剤が挿入されていることで重心特性が浅く、それも低スピンに繋がっている。とはいえ、打ち出し角は14・2度と高い。飛距離が稼げる弾道特性になっています。
改良点が飛距離に繋がっている『TP-Xnitrogen Kai』
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TP-Xnitrogen Kai試打データ[/caption]
永井:最後に『TP-Xnitrogen Kai』です。
試打データでは、スピン量が1990回転と増えています。発泡剤がないことでの重心の深さ、そして改良によりヘッドの剛性感が高まっており、HSの速いゴルファーにもマッチします。
インパクト効率は1.46と少しガス+発泡剤と比べて落ちましたが、キャリーは『kai』の方が出ています。クラブに慣れれば、『kai』はトータル的に飛距離が出るはずです。
GEW:構造的に何が改良されたと推測できますか?
永井:音に関してはリブを改良したことが推測できます。また、フェースやボディは肉厚、熱処理を変更している可能性はありますね。重心設計よりも打音の改良は難しいですから、良い点を集約したモデルです。
全体的には3タイプの特性が明確に違いますので、ゴルファーの特性や好みによって推奨すると大きな飛距離が実現できそうです。
TP-Xnitrogen Kai
ヘッド単価:7万2000円
クラブ単価:9万7000円
ヘッド重量:186g~
中条カムイ
TEL:0766-24-5624
http://kamuipro.co.jp/