テーラーメイドの新ドライバー
『SIM』、『SIM MAX』が2月7日、いよいよ市場投入。
前々作の『M3/M4』では、オフセンターヒット時の曲がり幅を抑えるため、フェースをねじる「ツイストフェース」を採用。そして『M5/M6』では、「ツイストフェース」に加え、ヘッドの反発力をSLEルール規定値ギリギリに設定した「スピードインジェクション」の搭載が話題になった。
今回の『SIM』シリーズは、これらのテクノロジーをベースにどのような進化を遂げたのか。ギアに精通するソクラテス永井延宏プロが前作『M5/M6』と実際に打ち比べて検証していく。
[surfing_voice icon="https://gew-web.com/wp-content/uploads/2017/05/photo_nagai.jpg" name="永井延宏プロ" type="l big" bg_color="eee" font_color="000" border_color="eee"]1969年埼玉県生まれ。アメリカ・オーストラリアでの経験をもとに、グローバルな視野と独自のティーチングメソッドを構築。NPO法人ゴルフアミューズメントパークの理事として、ゴルフ市場の発展や指導者の育成にも携わる。2006年度レッスンオブザイヤー受賞[/surfing_voice]
テーラーメイド『SIM』『SIM MAX』を試打検証!M5、M6との違いは?
永井プロによる『SIM』『SIM MAX』解説

まず、両モデルに共通するのが非対称のソール形状。前モデルの『M6』に似ていますが、よく見るとロゴの入った「イナーシャジェネレーター」が斜めに配置され、後方に向かって長くなっている。
ソールを並べると『SIM』の非対称が一目瞭然で、空力効率に着目。ハーフウェイダウン時のヘッド入射角に合わせて傾かせているのが分かります。
また、重心設計においても、超低重心・深重心を高めている。さらにクラウンのデザインを薄いグレーへ変更。シャローに見えるので、球が上がりやすそうです。早速、『SIM』から打ってみましょう。

インパクト時のフィーリングは、『M5』よりも明らかに厚く芯を感じます。
トラックマンの計測結果は、へッドスピード40.5m/sでボール初速61.2m/s、スピン量2410rpm、打出角17.4度、キャリー224.4Y、トータル飛距離248.4Y。インパクト効率(1.51)も良く、前作よりもさらに低スピン弾道が打ちやすくて高さも出る。

スライディングウエイトを搭載しているので、操作性もいいですね。
特筆すべきは、スイング中のヘッドの位置を把握しやすい点。スイングプレーンを感じやすく、まるでレールに導かれているよう。「イナーシャ ジェネレーター」の効果を感じ、HS38m/sのイメージで振っても自然に40m/sを超えてしまいます。
『SIM』と『SIM MAX』の違いは?

『SIM MAX』ドライバーのフェース面積は、『SIM』よりも8%大きくなっていますので、やさしいモデルといえそう。
ウエイト調整機能は付いていませんが、その余剰重量をヘッド後方へ集中させて前作の『M6』に比べより深重心設計になっています。

構えた印象は、フェースに対し全体のボディ形状がトゥ側へ膨らんでいるため、ダウンスイングは左のリードで一気に引っ張り込みたくなりますね。
実際に打ってみると、打感は『SIM』よりもやわらかく感じました。

HS41.6m/sでボール初速62.6m/s、打出角16.3度、キャリー233.4Y、トータル飛距離260Y。直進性の高いストレート弾道で、前作よりも低スピン&高慣性モーメントを実証。
高弾道・低スピン弾道で『SIM MAX』の方が球をつかまえやすく、スピン量もやや多めの印象。私のスイングは、フェースをシャットに上げて下ろしてきますが、『SIM』同様「イナーシャ ジェネレーター」効果による空気抵抗の抑制を感じました。
また、ソール後方に配置されたウエイト(18g)により、一層の低重心・深重心設計になっています。
『SIM MAX』と『M6』の横顔を比べると、『SIM MAX』のヘッド形状は明らかに空気抵抗を重視した流線型で、ソール後方が上がっている。
つまり、より重心を低く深くして慣性モーメントを大きくする意図が反映されている。
スイングスピードを減速して振ってみても、基本的なクラブ挙動は変わりません。つまり、ヘッドスピードのあまり速くない方でも、シャフトを合わせれば使いこなせるということ。扱いやすさという部分で『SIM MAX』は高水準にまとまっているクラブといえます。クラブがスイングをリードしてくれるのが最大の魅力。私なら『SIM MAX』を選択します」
永井プロの総括
一般的に重心位置が高くなると、慣性モーメントなどが犠牲になるトレードオフの関係が発生します。
これを解決するために『SIM』、『SIM MAX』では、「イナーシャ ジェネレーター」を後方の低い位置に配し、さらに最後方へウエイトを配置(SIM=10g、SIM MAX=18g)。
その結果、低重心かつ高慣性モーメントを実現。前作よりも高打出し・低スピンで曲がりにくい仕組みになっています。
さらに直線位置からスイング軌道に合わせて斜めに搭載して、ハーフウェイダウン時の空気がスムーズに流れるという図式。HSのアップが体感できるドライバーですので、是非、皆さんも打ってみてください。